侯爵様に婚約破棄されたのですが、どうやら私と王太子が幼馴染だったことは知らなかったようですね?

ルイス

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33話 エドモンドとの会談 その1

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 フューリは短期決戦をエドモンド様に仕掛けているようだった。彼から直接、事前に聞いたわけではないけど、間違ってはいないと思う。

「フューリ王太子殿下……私はとても困っているのですが?」

「どういう意味かな、エドモンド殿?」


 エドモンド様は本当に困ったような表情をしていた。とても、演技だとは思えないけれど……。


「私にはよく分かりません。あなたが何をおっしゃっているのか……私がビクティムの犯した罪の軽減や無効を考えている? なにか根拠があるのですか?」

「内偵調査の結果、とだけ言っておこうか。貴殿が中心として、クラウス家の親戚一同を集めていることは分かっている」

「むう……そんなところまで、調べていたとは」


 いきなりエドモンド様の表情が変化した。痛いところを突かれたのかもしれない。


「それだけではない。貴殿は婿養子として入ったデューイ家の力も使おうとしているはずだ」


「面白いことを言いますな、王太子殿下……」


「……」


 カリス・デューイ夫人も痛いところを突かれているという自覚があるのか、先ほどから黙っている。でも、その目つきはとても鋭くなっていた。


「仮に、私がその……ビクティム・クラウスの解放に協力している場合、私はどんな罪になるのですかな?

「そうだな、貴族として褒められたことかどうかはともかく、貴殿が罪になるということはないか。現状の法律ではな」

「フューリ……」

「残念だが、レオーネ。身内を助ける為の弁論であれば、相当に広く認められているのが我が国だからな」


 確かにそれはその通りかもしれない。エドモンド様が真に自らの甥の為を思って行う行為なら、許される可能性が高い。もちろん、議会で認められずに意見そのものが潰されるだろうけど。そのことで罪にに問われることはない。


「エドモンド……貴殿らの目指そうとしているものは、ビクティムの解放ではあるまい?」

「……では、なんだと言うのです?」


 明らかに雰囲気が変わっていく……フューリとエドモンド様の二人を包む空気が、異様に叫んでいるように感じられた。


「貴族至上主義……お前は今回、ビクティム・クラウスの解放を大義名分にしてその裏にある真の狙いを遂行するつもりだな?」


「真の狙い……?」


「あ、あなた……」


 明らかにエドモンド様の呼吸が乱れ始めている。本当に確信を突かれているかのように……やはり、フューリの内偵調査は正しかったようね。夫人も焦っているようだ。


「新たな国家を成立させるつもりだろう? 議会すら利用して、仲間を募る舞台もしっかりと用意しているということか。流石は、あのアーロン殿の弟なだけはある。賢いというか、なんというか……」

「誉め言葉と受け取っておきましょう……」


 エドモンド様の呼吸はいつの間にか落ち着いていた。まるで開き直ったかのように……。これから、どうなるのかしら?
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