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6章:8歳になったらしい
56話:光の精霊の怒り
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紅葉の表情に口角が引き攣る零維王子兼扇木和羽。
「は、は?なんで庇うわけ!?あんなのただの化け物じゃない!!!庇う必要なんてないわよ!私の大切な人を奪った白百合も殺したかったけど別にもうどうでもいいし。でも・・・羽流様と白百合から生まれてあの人の血を持って生まれたのがあんな化け物だなんて可哀想じゃない!!」
私を指さしながら叫ぶ零維王子兼扇木和羽。
「本っ当に可哀想。化け物生まれてきっと屋敷の人達みんなあの化け物が生まれたことに後悔しているはずだわ!だから、殺してあげるのよ!!貴方達が怒る必要ないんじゃないの?それに、私が怒られる理由なんてないし。あなた達ならわかるでしょ?」
ニヤリと悪魔のような笑みを浮かべる扇木和羽。
零維王子の纏う黒い物が膨れ上がった。
あれはもう・・・零維王子ではない。
恨みが大きくなりすぎて悪魔に成り果てた扇木和羽だ。
その光景はあまりにも怖すぎて冷や汗が流れ体が震える。
その異様な空気を会場の人たちも感じたのか気絶しそうな人や壁にもたれかかっている人が続出している。
湖乃美ちゃんも少し震え扇木和羽から距離をとっている。
「はあ・・・これだから誰かを恨みすぎるやつは嫌いなのよ。はっきり言うけど貴女の言ってることは私にはよく分からないわ。ひとつ言っとくけど意味もなしに生まれてこないから人間って。」
般若顔から一変呆れた顔をして扇木和羽を見つめる紅葉。
「貴女は人の生命を決める神様かなにかですの?違うでしょ。貴女は一人の人間ですわ。脆くて弱い人間でしょ?貴女が一人の人間の生死を決めないでくださる?この世界に生まれたのはしっかりとした理由があるのよ!化け物と言われるために生まれてきたわけじゃありませんし貴女のような人になぜ、私の主が悪く言われなくてはならないのかしら?貴女は貴女。主は主。そういうのをはっきりして下さいませんと困りますわ。この世界にいる人は皆それぞれの使命があります。決して価値がなく生きている意味が無いなんて・・・・・・言わないでいただけませんか?馬鹿馬鹿しすぎて笑えますので。」
喋りながらゆっくりと扇木和羽の元へ近づいて行く紅葉。
紅葉の纏う空気は近づくことは許されないようなそんな威圧が感じられる。
コツ・・・コツ・・・コツ
靴音が会場中に響く。
「・・・な、なによ、偉そうに!!あんたも人間でしょ!?勝手なことを口にしないでよ!馬鹿馬鹿しい?あんたの言っていることが馬鹿馬鹿しいのよ!神なんてものは本当にいるわけじゃないし見たこともないのによく言えるわよ。逆に言うけどあんたの言う神様が間違えて生みだしたものを私は排除しようとしてるの!!それのどこが悪いの?」
その言葉を聞き紅葉の動きが止まる。
紅葉の目が鋭く扇木和羽を捉える。
確かに、前世では神様なんて見た事なかったし半信半疑だった。
扇木和羽の言う事は少し同感できる。
本当に少しだけど。
でも、私は神様に会ったし話した。
力だって私達より凄くあるし抗うことなんて出来ないと思う。
そして、扇木和羽の言葉は完全に神に対する侮辱だ。
扇木和羽は何を思ったのか何も言わない紅葉に冷たい眼差しを送る。
「ほら。何も言い返せないじゃない!所詮餓鬼は餓鬼よ。偉そうなことを言ったって大人には負けるわよ。長生きしてないんだから勝手なことは言わない方がいいわよ!」
勝ったみたいな顔をしている扇木和羽。
少しイラッとした。
それと、餓鬼餓鬼言ってるけど多分紅葉は1000年以上生きているような・・・?
しかも、精霊だし。
あんなに精霊を侮辱するようなこと言ったら流石に扇木和羽もヤバいんじゃないんだろうか。
「餓鬼・・・ね。生意気なところは1000年前から人間はお変わりないようで素晴らしいですわね~。長生きしてないのはどっちかしら?扇木和羽。貴女は分かっていらっしゃらないようだけど、あなたの放つ言葉の数々神と精霊に対しての侮辱だと判断致します。はあ、久しぶりに見たわ往生際が悪くて汚い言葉を放ち無駄に魔力が高い。最悪ね。」
そういった後に紅葉はじっと扇木和羽を見つめ言い放った。
「扇木和羽・・・神と精霊に対しての侮辱するような言い方で私達に怒りを買いましたね。貴女は神から近いうちに罰を受けるでしょう。そして、精霊からも・・・・・・罰が降るでしょうね。」
そう低く言い放った瞬間零維王子の体から眩しいほどの光が放った。
「流石に、罪もない王様と零維王子も一緒に罰を受けさせる訳にはいけないですね。罰を受けるのは・・・扇木和羽・・・貴女ひとりです!!!」
眩しい光が落ち着いた時には零維王子が舞台の床に倒れていた。
そして、零維王子の頭上には黒い扇木和羽の形をした靄があった。
その黒いモヤの周りにはグルグルと白い光の縄が巻かれている。
「は、離して!!何するのよ!!!私は何もしてないわ!!!離しなさいよ!!!!」
「本っ当に往生際が悪いですね!!!・・・あなたに与える罰は魔力を失うことにしましょうか。まあ、あとは神様からの重い罰が与えられるでしょう。では・・・・・・いい夢を。」
そう紅葉が言った瞬間眩しさが増しぎゅっと目を瞑る。
「い・・・いやああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
扇木和羽の悲鳴が会場中に響き渡った。
数秒後に光が和らいできて目を明ける。
舞台を見渡しても扇木和羽はいないし黒く粘ついた気持ち悪い感じもしない。
私はほっと息をつく。
それにしても凄かったな。
あれが・・・光の精霊の力なの、かな?
威厳があって恐怖も少しあったでも、どこか清々しくてとても心地がいい力だった。
「王子!零維王子大丈夫ですか!?」
その声で少しぼっーとしていた意識がはっきりする。
そうだ!!王子!!零維王子が倒れたんだった!
零維王子の元へ行く白いマント男の1人。
腕に抱えて少し零維王子を揺さぶる白いマント男。
「・・・・・・・・・んっ・・・むぅ。・・・・・・あ、あれ?なんで僕こんな所に?」
首をかしげて周りを見渡す零維王子。
どうやら無事だったようだ。
良かった良かったー!
舞台から湖乃美ちゃんと紅葉が降りてくる。
「大丈夫ですか?璃杏ちゃ、様!!」
心配そうな顔で私の顔をのぞき込む湖乃美ちゃん。
でも、その顔はどこか浮かない顔をしている。
「どうかしたの?」
心配になり湖乃美ちゃんに聞く。
「・・・・・・璃杏ちゃん・・・ごめんなさい!!私、全然役に立てなくてっ!!全て紅葉様にお任せしてしまって。助けたかったのに・・・ごめんなさい。」
何度も頭を下げて謝る湖乃美ちゃん。
えっと・・・えっとー・・・役に立てないって言ってもあれはしょうがなかった気が。
それに、湖乃美ちゃん役立たずじゃなかったし。
「私は、すごいと思ったけどな。まさか、王子の頬を叩くなんて思いもしなかったよー。私のためにありがとう。」
私は心から思ったことを口にする。
私の言葉に少し目を見開いた湖乃美ちゃん。
「い、いえ。璃杏ちゃんっ!!こちらこそありがとうございますっ!!!」
花が咲いたみたいな綺麗な笑みを浮かべる湖乃美ちゃん。
はうわあ!!!天使がいる!!!!
さすが主人公!!!!
あなたの笑顔で世界が救われます!!!
笑顔に癒されていると上から呆れた声が聞こえてきた。
「そんなことより、雪都さんと璃杏ちゃんはいつまで引っ付いているつもり?流石に離れた方がいいわよ。」
えっと思い紅葉を見上げれば、紅葉が呆れた眼差しを向けてくる。
雪都様と引っ付いている?・・・・・・はっ!!!
私は横をむく。
もちろん横には雪都様の綺麗な綺麗な顔がある。
しかも間近に!!
わ、わ、忘れてたああああああああぁぁぁ!!!
私は恥ずかしさのあまり顔が思いっきり赤くなる。
私は勢いよく立ち上がり土下座をして謝った。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいいぃぃぃぃ!!!重かったですよね!?いいえ、重かったはず!!うわああごめんなさいいい!」
ひえええええええええええええええええええええええええええええ恐れ多ぃぃぃぃ!!
「えっ、い、いや、そんな!!重くなかったです!気にしないでください!!!璃杏様が助かっただけで嬉しいですから!顔を上げてください。」
その言葉に恐る恐る顔を上げる。
「僕は大丈夫ですから。」
そう言ってニコッと微笑む。
ゴンッ
「「「!!!?」」」
その微笑みに思っきり床に頭を打ち付けた。
美形の威力は凄まじい。
そう改めて思った今日この頃でした。
その後、無事に加護・契約検査を終え私達は一緒に門まで向う。
そして、私は混乱していた。
何に混乱しているのかと言うとお礼を言うタイミングだ。
ど、どうしよう!?お礼って今言った方がいいかな?いや、でも帰り際?いや、それだと逆に迷惑なんじゃ!?
あばばばばばばばばばばあぁぁぁ!!!
よ、よよよよし!ここはもう、あれだ、き、気合いでもうどうにかするしか!!
まずは深呼吸を・・・すうーはあーすうーはあー
すうー「何してるのよ。璃杏ちゃんは。」
心を落ち着かせるため深呼吸をしていたらまだ人間化している紅葉が聞いてきた。
その言葉に湖乃美ちゃんと雪都様とお付きの人と陽夏凛さんが立ち止まった。
「どうかしたんですか?璃杏様。」
首を傾げる雪都様。
「具、具合でも悪くなりました!?」
心配してくれる湖乃美ちゃん。
そんな人達に思わず笑みが零れ少し緊張がほぐれた。
私はばっとお辞儀をする。
ぐっと拳に力を込め言う。
「今日は本当に本当にありがとうございました!!湖乃美ちゃんに雪都様に紅葉がいなかったらきっと、私は死んでました。だから、助けていただきありがとうございます!!」
そう言って顔を上げるとお付きの人と陽夏凛さんは困惑してるものの湖乃美ちゃん・紅葉・雪都様は優しく微笑んでくれた。
「「「どういたしまして。」」」
本当に本当に仲間は大切だと実感しました。
門につき湖乃美ちゃんはお母さんと手を繋ぎ帰っていった。
いやはや、湖乃美ちゃんのお母さんもさらに美形度がUpしてたな~。
雪都様ともお互い別れて馬車に乗る。
馬車の扉が閉まり馬車が出発する。
紅葉は精霊界に帰っていった。
紅葉曰く呼べばいつでも来れると言っていた。
さすがは精霊だなーと感心しながら私は馬車の中で眠ってしまった。
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
璃杏と湖乃美と別れて馬車に乗る雪都。
馬車が出発し数分だった頃。
雪都はじっと手を見つめる。
ふと思い出した行動に思わずため息がこぼれる。
そして、思い出す璃杏との距離。
「う、ううううぅぅぅ~・・・。」
頭を抱え下を向く雪都の顔は塾したトマトのように赤かった。
「は、は?なんで庇うわけ!?あんなのただの化け物じゃない!!!庇う必要なんてないわよ!私の大切な人を奪った白百合も殺したかったけど別にもうどうでもいいし。でも・・・羽流様と白百合から生まれてあの人の血を持って生まれたのがあんな化け物だなんて可哀想じゃない!!」
私を指さしながら叫ぶ零維王子兼扇木和羽。
「本っ当に可哀想。化け物生まれてきっと屋敷の人達みんなあの化け物が生まれたことに後悔しているはずだわ!だから、殺してあげるのよ!!貴方達が怒る必要ないんじゃないの?それに、私が怒られる理由なんてないし。あなた達ならわかるでしょ?」
ニヤリと悪魔のような笑みを浮かべる扇木和羽。
零維王子の纏う黒い物が膨れ上がった。
あれはもう・・・零維王子ではない。
恨みが大きくなりすぎて悪魔に成り果てた扇木和羽だ。
その光景はあまりにも怖すぎて冷や汗が流れ体が震える。
その異様な空気を会場の人たちも感じたのか気絶しそうな人や壁にもたれかかっている人が続出している。
湖乃美ちゃんも少し震え扇木和羽から距離をとっている。
「はあ・・・これだから誰かを恨みすぎるやつは嫌いなのよ。はっきり言うけど貴女の言ってることは私にはよく分からないわ。ひとつ言っとくけど意味もなしに生まれてこないから人間って。」
般若顔から一変呆れた顔をして扇木和羽を見つめる紅葉。
「貴女は人の生命を決める神様かなにかですの?違うでしょ。貴女は一人の人間ですわ。脆くて弱い人間でしょ?貴女が一人の人間の生死を決めないでくださる?この世界に生まれたのはしっかりとした理由があるのよ!化け物と言われるために生まれてきたわけじゃありませんし貴女のような人になぜ、私の主が悪く言われなくてはならないのかしら?貴女は貴女。主は主。そういうのをはっきりして下さいませんと困りますわ。この世界にいる人は皆それぞれの使命があります。決して価値がなく生きている意味が無いなんて・・・・・・言わないでいただけませんか?馬鹿馬鹿しすぎて笑えますので。」
喋りながらゆっくりと扇木和羽の元へ近づいて行く紅葉。
紅葉の纏う空気は近づくことは許されないようなそんな威圧が感じられる。
コツ・・・コツ・・・コツ
靴音が会場中に響く。
「・・・な、なによ、偉そうに!!あんたも人間でしょ!?勝手なことを口にしないでよ!馬鹿馬鹿しい?あんたの言っていることが馬鹿馬鹿しいのよ!神なんてものは本当にいるわけじゃないし見たこともないのによく言えるわよ。逆に言うけどあんたの言う神様が間違えて生みだしたものを私は排除しようとしてるの!!それのどこが悪いの?」
その言葉を聞き紅葉の動きが止まる。
紅葉の目が鋭く扇木和羽を捉える。
確かに、前世では神様なんて見た事なかったし半信半疑だった。
扇木和羽の言う事は少し同感できる。
本当に少しだけど。
でも、私は神様に会ったし話した。
力だって私達より凄くあるし抗うことなんて出来ないと思う。
そして、扇木和羽の言葉は完全に神に対する侮辱だ。
扇木和羽は何を思ったのか何も言わない紅葉に冷たい眼差しを送る。
「ほら。何も言い返せないじゃない!所詮餓鬼は餓鬼よ。偉そうなことを言ったって大人には負けるわよ。長生きしてないんだから勝手なことは言わない方がいいわよ!」
勝ったみたいな顔をしている扇木和羽。
少しイラッとした。
それと、餓鬼餓鬼言ってるけど多分紅葉は1000年以上生きているような・・・?
しかも、精霊だし。
あんなに精霊を侮辱するようなこと言ったら流石に扇木和羽もヤバいんじゃないんだろうか。
「餓鬼・・・ね。生意気なところは1000年前から人間はお変わりないようで素晴らしいですわね~。長生きしてないのはどっちかしら?扇木和羽。貴女は分かっていらっしゃらないようだけど、あなたの放つ言葉の数々神と精霊に対しての侮辱だと判断致します。はあ、久しぶりに見たわ往生際が悪くて汚い言葉を放ち無駄に魔力が高い。最悪ね。」
そういった後に紅葉はじっと扇木和羽を見つめ言い放った。
「扇木和羽・・・神と精霊に対しての侮辱するような言い方で私達に怒りを買いましたね。貴女は神から近いうちに罰を受けるでしょう。そして、精霊からも・・・・・・罰が降るでしょうね。」
そう低く言い放った瞬間零維王子の体から眩しいほどの光が放った。
「流石に、罪もない王様と零維王子も一緒に罰を受けさせる訳にはいけないですね。罰を受けるのは・・・扇木和羽・・・貴女ひとりです!!!」
眩しい光が落ち着いた時には零維王子が舞台の床に倒れていた。
そして、零維王子の頭上には黒い扇木和羽の形をした靄があった。
その黒いモヤの周りにはグルグルと白い光の縄が巻かれている。
「は、離して!!何するのよ!!!私は何もしてないわ!!!離しなさいよ!!!!」
「本っ当に往生際が悪いですね!!!・・・あなたに与える罰は魔力を失うことにしましょうか。まあ、あとは神様からの重い罰が与えられるでしょう。では・・・・・・いい夢を。」
そう紅葉が言った瞬間眩しさが増しぎゅっと目を瞑る。
「い・・・いやああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
扇木和羽の悲鳴が会場中に響き渡った。
数秒後に光が和らいできて目を明ける。
舞台を見渡しても扇木和羽はいないし黒く粘ついた気持ち悪い感じもしない。
私はほっと息をつく。
それにしても凄かったな。
あれが・・・光の精霊の力なの、かな?
威厳があって恐怖も少しあったでも、どこか清々しくてとても心地がいい力だった。
「王子!零維王子大丈夫ですか!?」
その声で少しぼっーとしていた意識がはっきりする。
そうだ!!王子!!零維王子が倒れたんだった!
零維王子の元へ行く白いマント男の1人。
腕に抱えて少し零維王子を揺さぶる白いマント男。
「・・・・・・・・・んっ・・・むぅ。・・・・・・あ、あれ?なんで僕こんな所に?」
首をかしげて周りを見渡す零維王子。
どうやら無事だったようだ。
良かった良かったー!
舞台から湖乃美ちゃんと紅葉が降りてくる。
「大丈夫ですか?璃杏ちゃ、様!!」
心配そうな顔で私の顔をのぞき込む湖乃美ちゃん。
でも、その顔はどこか浮かない顔をしている。
「どうかしたの?」
心配になり湖乃美ちゃんに聞く。
「・・・・・・璃杏ちゃん・・・ごめんなさい!!私、全然役に立てなくてっ!!全て紅葉様にお任せしてしまって。助けたかったのに・・・ごめんなさい。」
何度も頭を下げて謝る湖乃美ちゃん。
えっと・・・えっとー・・・役に立てないって言ってもあれはしょうがなかった気が。
それに、湖乃美ちゃん役立たずじゃなかったし。
「私は、すごいと思ったけどな。まさか、王子の頬を叩くなんて思いもしなかったよー。私のためにありがとう。」
私は心から思ったことを口にする。
私の言葉に少し目を見開いた湖乃美ちゃん。
「い、いえ。璃杏ちゃんっ!!こちらこそありがとうございますっ!!!」
花が咲いたみたいな綺麗な笑みを浮かべる湖乃美ちゃん。
はうわあ!!!天使がいる!!!!
さすが主人公!!!!
あなたの笑顔で世界が救われます!!!
笑顔に癒されていると上から呆れた声が聞こえてきた。
「そんなことより、雪都さんと璃杏ちゃんはいつまで引っ付いているつもり?流石に離れた方がいいわよ。」
えっと思い紅葉を見上げれば、紅葉が呆れた眼差しを向けてくる。
雪都様と引っ付いている?・・・・・・はっ!!!
私は横をむく。
もちろん横には雪都様の綺麗な綺麗な顔がある。
しかも間近に!!
わ、わ、忘れてたああああああああぁぁぁ!!!
私は恥ずかしさのあまり顔が思いっきり赤くなる。
私は勢いよく立ち上がり土下座をして謝った。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいいぃぃぃぃ!!!重かったですよね!?いいえ、重かったはず!!うわああごめんなさいいい!」
ひえええええええええええええええええええええええええええええ恐れ多ぃぃぃぃ!!
「えっ、い、いや、そんな!!重くなかったです!気にしないでください!!!璃杏様が助かっただけで嬉しいですから!顔を上げてください。」
その言葉に恐る恐る顔を上げる。
「僕は大丈夫ですから。」
そう言ってニコッと微笑む。
ゴンッ
「「「!!!?」」」
その微笑みに思っきり床に頭を打ち付けた。
美形の威力は凄まじい。
そう改めて思った今日この頃でした。
その後、無事に加護・契約検査を終え私達は一緒に門まで向う。
そして、私は混乱していた。
何に混乱しているのかと言うとお礼を言うタイミングだ。
ど、どうしよう!?お礼って今言った方がいいかな?いや、でも帰り際?いや、それだと逆に迷惑なんじゃ!?
あばばばばばばばばばばあぁぁぁ!!!
よ、よよよよし!ここはもう、あれだ、き、気合いでもうどうにかするしか!!
まずは深呼吸を・・・すうーはあーすうーはあー
すうー「何してるのよ。璃杏ちゃんは。」
心を落ち着かせるため深呼吸をしていたらまだ人間化している紅葉が聞いてきた。
その言葉に湖乃美ちゃんと雪都様とお付きの人と陽夏凛さんが立ち止まった。
「どうかしたんですか?璃杏様。」
首を傾げる雪都様。
「具、具合でも悪くなりました!?」
心配してくれる湖乃美ちゃん。
そんな人達に思わず笑みが零れ少し緊張がほぐれた。
私はばっとお辞儀をする。
ぐっと拳に力を込め言う。
「今日は本当に本当にありがとうございました!!湖乃美ちゃんに雪都様に紅葉がいなかったらきっと、私は死んでました。だから、助けていただきありがとうございます!!」
そう言って顔を上げるとお付きの人と陽夏凛さんは困惑してるものの湖乃美ちゃん・紅葉・雪都様は優しく微笑んでくれた。
「「「どういたしまして。」」」
本当に本当に仲間は大切だと実感しました。
門につき湖乃美ちゃんはお母さんと手を繋ぎ帰っていった。
いやはや、湖乃美ちゃんのお母さんもさらに美形度がUpしてたな~。
雪都様ともお互い別れて馬車に乗る。
馬車の扉が閉まり馬車が出発する。
紅葉は精霊界に帰っていった。
紅葉曰く呼べばいつでも来れると言っていた。
さすがは精霊だなーと感心しながら私は馬車の中で眠ってしまった。
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
璃杏と湖乃美と別れて馬車に乗る雪都。
馬車が出発し数分だった頃。
雪都はじっと手を見つめる。
ふと思い出した行動に思わずため息がこぼれる。
そして、思い出す璃杏との距離。
「う、ううううぅぅぅ~・・・。」
頭を抱え下を向く雪都の顔は塾したトマトのように赤かった。
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