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第7話
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「ぷぅ!」
私が目を下ろすと、そこにいたのはもこもこの毛を持つイタチような姿をした小動物だった。
しかし、そのモフモフの毛皮には彼が不機嫌であることを示すようにばちばちと静電気のようなものが発生していて、その小動物がただの動物でないことを示していた。
「あれ?ノーレ、貴方出てきちゃったの?」
けれども、その小動物の姿に私は一切驚きを見せることはなかった。
それどころか、私は笑顔でノーレと呼んだそのイタチのような小動物を抱えあげた。
私がノーレを恐れない理由、それはただ単純にノーレの正体を知っているからだった。
そうノーレこそが私と契約している神獣の子供なのだ。
何時もは契約者、つまり私の魔力の中に身を隠しているのだが、何故か出てしまったらしい。
「ぷぅっ!」
神獣と言えば強力な存在として知られているが、ノーレはまだまだ子供でまだまだ可愛い。
抱えているとふわふわで、可愛い顔がすぐ近くに来るので私は思わず顔を緩めてしまいそうになる。
「もう!貴方はすぐにどっか行っちゃうから、まだ出てこないでて言っていたのに!」
けれども、私は緩みそうになる唇を何とか締め上げて、ノーレに向かってそう口を開いた。
ノーレは神獣の子供であり確かに強力な力を持つ。
けれどもまだまだ子供で鈍臭い所のあるノーレはよく道に迷って帰ってこれなくなるのだ。
だから私は移動の最中はノーレに出てこないように言い聞かせていた。
それにかかわらずノーレは途中で外に出てきてしまったのだ。
だから私はノーレを怒ることに酷い胸の痛みを覚えながら、それでも必死にノーレを叱ろうとする。
「………ぷぅ」
「うっ!」
……けれども、落ち込んだ様子で顔を俯かせるノーレの姿に私の口は途中で動きを止めることになった。
まるで母親から見捨てられた子犬のようにしょげ返るノーレの姿をみて私は思わず言葉に詰まってしまったのだ。
けれども、ここで叱るのを止めるわけにはいかないと、私は覚悟を決めた目でノーレを見つめて口を開き。
「……次からは気をつけましょうね」
「ぷぅ!」
……叱れなかった。
「私も大概甘いわね……」
私はノーレをあっさり許してしまった自分の甘さに思わずため息を漏らしてしまう。
「ぷぅ」
「まあでも大丈夫でしょうか」
けれども、私に言われた通りすごすごと私の魔力の中に戻ろうとするノーレの姿を見て、私は口元を緩めた。
どうやらノーレは私が叱るまでもなくきちんと反省してくれていたらしい。
本当に私にはもったない程のいい子だ。
「ま、待たんか!」
「ぷぅ?」
……けれども、そこで話が終わることはなかった。
憤然致し方がないといった様子の竜姫様が、魔力に戻ろうとするノーレを指を指しながらの叫んだのだ。
「貴様は妾とまーせりあが仲睦まじく過ごしているのが気に入らず邪魔に入ってきたのだろう!貴様は何時もまーせりあと一緒にいれる癖に、何故私がまーせりあと一緒に居られる時間ができると邪魔しに来るのだ!」
ノーレとの契約を私は隠していないので、私はノーレの存在を周囲に隠していない。
いやそれどころかノーレの存在が私の証となりつつあるので、殆ど一緒にいると行っても良いだろう。
けれども、イレギュラーな精霊である竜姫様は色々と隠さなければならない存在であるので、人目のあるところでは一緒にいられないのだ。
だからこそ、竜姫様はノーレに怒っているらしい。
「ぷぅ?」
けれども竜姫様の言葉に対するノーレの反応は何のことか分からないと言うように首をひねってみせるというものだった。
それはまるで竜姫様の言葉にまるで心当たりがないというような、そんな反応だった。
……残念ながらその目は明らかに泳いでいたが。
そしてそのことに竜姫様が気づかない訳が無かった。
「お、おのれ!この狸め!成敗してくれる!」
「ぷぅ!」
次の瞬間、怒りを露わにした竜姫様がノーレへと飛びかかり、ノーレと竜姫様の間で恒例の喧嘩が始まる。
魔術を使えば私が全力で起こり、夕食抜き、一晩喋らない、などの刑があるため両者とも魔力を使わない。
だから一見、より小さいノーレの方が不利に見えるが実はそうでもない。
何せ竜姫様は人間でいう5、6歳程度の身体なのだが、全く身体を動かし慣れていない。
「あぅ!」
「ぷぷぅ!」
……率直に言ってしまえば運動神経が凄く悪いのだ。
「ま、待たんかこの狸!」
「ぷっぷ!」
「くっ!こ、この…ばぁか!」
……そして今回も竜姫様の惨敗で勝負の幕は落ちるのだった。
ついでにその時、竜姫様が涙目であったことを私は見なかったことにしたのだった……
私が目を下ろすと、そこにいたのはもこもこの毛を持つイタチような姿をした小動物だった。
しかし、そのモフモフの毛皮には彼が不機嫌であることを示すようにばちばちと静電気のようなものが発生していて、その小動物がただの動物でないことを示していた。
「あれ?ノーレ、貴方出てきちゃったの?」
けれども、その小動物の姿に私は一切驚きを見せることはなかった。
それどころか、私は笑顔でノーレと呼んだそのイタチのような小動物を抱えあげた。
私がノーレを恐れない理由、それはただ単純にノーレの正体を知っているからだった。
そうノーレこそが私と契約している神獣の子供なのだ。
何時もは契約者、つまり私の魔力の中に身を隠しているのだが、何故か出てしまったらしい。
「ぷぅっ!」
神獣と言えば強力な存在として知られているが、ノーレはまだまだ子供でまだまだ可愛い。
抱えているとふわふわで、可愛い顔がすぐ近くに来るので私は思わず顔を緩めてしまいそうになる。
「もう!貴方はすぐにどっか行っちゃうから、まだ出てこないでて言っていたのに!」
けれども、私は緩みそうになる唇を何とか締め上げて、ノーレに向かってそう口を開いた。
ノーレは神獣の子供であり確かに強力な力を持つ。
けれどもまだまだ子供で鈍臭い所のあるノーレはよく道に迷って帰ってこれなくなるのだ。
だから私は移動の最中はノーレに出てこないように言い聞かせていた。
それにかかわらずノーレは途中で外に出てきてしまったのだ。
だから私はノーレを怒ることに酷い胸の痛みを覚えながら、それでも必死にノーレを叱ろうとする。
「………ぷぅ」
「うっ!」
……けれども、落ち込んだ様子で顔を俯かせるノーレの姿に私の口は途中で動きを止めることになった。
まるで母親から見捨てられた子犬のようにしょげ返るノーレの姿をみて私は思わず言葉に詰まってしまったのだ。
けれども、ここで叱るのを止めるわけにはいかないと、私は覚悟を決めた目でノーレを見つめて口を開き。
「……次からは気をつけましょうね」
「ぷぅ!」
……叱れなかった。
「私も大概甘いわね……」
私はノーレをあっさり許してしまった自分の甘さに思わずため息を漏らしてしまう。
「ぷぅ」
「まあでも大丈夫でしょうか」
けれども、私に言われた通りすごすごと私の魔力の中に戻ろうとするノーレの姿を見て、私は口元を緩めた。
どうやらノーレは私が叱るまでもなくきちんと反省してくれていたらしい。
本当に私にはもったない程のいい子だ。
「ま、待たんか!」
「ぷぅ?」
……けれども、そこで話が終わることはなかった。
憤然致し方がないといった様子の竜姫様が、魔力に戻ろうとするノーレを指を指しながらの叫んだのだ。
「貴様は妾とまーせりあが仲睦まじく過ごしているのが気に入らず邪魔に入ってきたのだろう!貴様は何時もまーせりあと一緒にいれる癖に、何故私がまーせりあと一緒に居られる時間ができると邪魔しに来るのだ!」
ノーレとの契約を私は隠していないので、私はノーレの存在を周囲に隠していない。
いやそれどころかノーレの存在が私の証となりつつあるので、殆ど一緒にいると行っても良いだろう。
けれども、イレギュラーな精霊である竜姫様は色々と隠さなければならない存在であるので、人目のあるところでは一緒にいられないのだ。
だからこそ、竜姫様はノーレに怒っているらしい。
「ぷぅ?」
けれども竜姫様の言葉に対するノーレの反応は何のことか分からないと言うように首をひねってみせるというものだった。
それはまるで竜姫様の言葉にまるで心当たりがないというような、そんな反応だった。
……残念ながらその目は明らかに泳いでいたが。
そしてそのことに竜姫様が気づかない訳が無かった。
「お、おのれ!この狸め!成敗してくれる!」
「ぷぅ!」
次の瞬間、怒りを露わにした竜姫様がノーレへと飛びかかり、ノーレと竜姫様の間で恒例の喧嘩が始まる。
魔術を使えば私が全力で起こり、夕食抜き、一晩喋らない、などの刑があるため両者とも魔力を使わない。
だから一見、より小さいノーレの方が不利に見えるが実はそうでもない。
何せ竜姫様は人間でいう5、6歳程度の身体なのだが、全く身体を動かし慣れていない。
「あぅ!」
「ぷぷぅ!」
……率直に言ってしまえば運動神経が凄く悪いのだ。
「ま、待たんかこの狸!」
「ぷっぷ!」
「くっ!こ、この…ばぁか!」
……そして今回も竜姫様の惨敗で勝負の幕は落ちるのだった。
ついでにその時、竜姫様が涙目であったことを私は見なかったことにしたのだった……
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