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第八章
78.真相解明
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ハーバルがそこまで話すと部屋の中は静まり返った。
ゆっくりとジュノが立ち上がり、ループがジュノに近づく。
二人は一緒に並ぶとハーバル、アガサ、クロッグにお辞儀をした。
「驚かせてすみませんでした。私は隣にいるジュノと結婚します」
「お父様、お姉様、そしてお義兄様(クロッグ)、ジュノです。よろしくお願いします」
呆然としていたアガサが正気を取り戻し口を開く。
「あの、それはいいとして」
その言葉にびっくりするクロッグがアガサに声をかける。
「え?いいの?」
アガサは今一番気になっていたことを尋ねる。
「どうしてお父様とジュノが深夜、連れ込み宿で一緒にいるのか、それを聞かせてちょうだい!」
クロッグが呆れて呟く。
「関心事は……そっち?」
ジュノが答える。
「今日は連れ込み宿の取材に来たんです。でも一人だと心配だったのでお父様にお願いしたんです」
そこでクロッグがループを問い詰める。
「おい、ループ、使用人のメイサから入った報告は嘘だったのか?お父上は夜な夜な朝帰りをして香水をつけて帰ると言ってなかったか?」
アガサが急に立ち上がりジュノのそばに立ちクンクンと匂いを嗅ぎ始める。
「な、なんですか?お姉様」
アガサがクロッグに報告する。
「クロッグ、ジュノからは香水の匂いはしないわ。かすかに匂うのは爽やかな石鹸の香りよ?」
そのやり取りを聞いていたハーバルが狼狽え始める。
そしてジュノが決定的な一言を言う。
「あのう、私、お父様と深夜に会ったのは今回が初めてなんですけど……」
全員がハーバルに注目する。
ハーバルはできるだけ父親としての威厳を保ちながらごまかして話すことにした。
「実はノーマンに誘われてな……仕方なく付き合っていたのだが……もう断ろうと思っていたところだ」
これで十分だろうと話を切り上げてみんなに声をかけた。
「さ、もう遅い。帰ろうじゃないか」
腰かけていたベッドから立ち上がった瞬間にアガサが声をかける。
「お父様、お座りください」
「あ、はい」素直に座るハーバル。
アガサは追求の手を緩めない。
「それで?お父様はノーマンとどこへ行ってらしたのですか?」
「アガサ、仮にも私の友人であり、お前よりも年上なんだぞ?ノーマン様と言わんか、ノーマン様と」
「お父様、ノーマンとどこへ行ってらしたんですか?」
「あ、はい。えー、この近くに年老いた女性がお酌をしてくれる飲み屋があってそこに通っていたんだ」
クロッグが興味を抱いて質問する。
「父上、年老いた女性とはおいくつぐらいなのですか?」
ふいの質問に油断したハーバルが正直に答えてしまう。
「20歳前後かな……あ、じゃない、私よりも20歳くらい年上かな?」
慌てて訂正したが遅かった。
「お父様、夜遊びはもうおやめください。ノーマンの誘いに乗りませんようにお願いします」
「あ……はい」
ジュノがクスクスと笑っていた。
❖
その後、ループとジュノは結婚した。ループは平民だったので、一度ギャラン伯爵家の養子として迎え入れ、ハーバル・ギャランの息子としてクルーズ伯爵家に婿養子として入ることになった。
ハーバルは夜遊びを止めて今では真面目に屋敷にこもっている。
ループがいなくなって一番困ってるのがクロッグだった。
「アガサ、新しい執事、雇わない?」
「執事はね……そんな簡単には見つからないのよ、特にループのように優秀で信用のおける人物はね」
クロッグがボヤく。
「私たちはループの手の平の上で泳がされていたんじゃないの?」
その言葉にアガサも同意する。
「多分ね……。でも久しぶりに楽しかったわねクロッグ」
「そうだな、楽しかった。だけど……一番得をしたのはクルーズ家だよな?」
アガサが微笑みながら返事をする。
「そうね、一度に優秀な婿殿と執事を手に入れたんだから」
執務室の開いた窓から爽やかなそよ風が吹き込んできた。
アガサはそよ風に包まれながらクロッグに言葉をかける。
「ループ、幸せになるといいわね」
その言葉にクロッグが返事をする。
「大丈夫、ループならもうとっくに未来の設計図を描いているさ」
ゆっくりとジュノが立ち上がり、ループがジュノに近づく。
二人は一緒に並ぶとハーバル、アガサ、クロッグにお辞儀をした。
「驚かせてすみませんでした。私は隣にいるジュノと結婚します」
「お父様、お姉様、そしてお義兄様(クロッグ)、ジュノです。よろしくお願いします」
呆然としていたアガサが正気を取り戻し口を開く。
「あの、それはいいとして」
その言葉にびっくりするクロッグがアガサに声をかける。
「え?いいの?」
アガサは今一番気になっていたことを尋ねる。
「どうしてお父様とジュノが深夜、連れ込み宿で一緒にいるのか、それを聞かせてちょうだい!」
クロッグが呆れて呟く。
「関心事は……そっち?」
ジュノが答える。
「今日は連れ込み宿の取材に来たんです。でも一人だと心配だったのでお父様にお願いしたんです」
そこでクロッグがループを問い詰める。
「おい、ループ、使用人のメイサから入った報告は嘘だったのか?お父上は夜な夜な朝帰りをして香水をつけて帰ると言ってなかったか?」
アガサが急に立ち上がりジュノのそばに立ちクンクンと匂いを嗅ぎ始める。
「な、なんですか?お姉様」
アガサがクロッグに報告する。
「クロッグ、ジュノからは香水の匂いはしないわ。かすかに匂うのは爽やかな石鹸の香りよ?」
そのやり取りを聞いていたハーバルが狼狽え始める。
そしてジュノが決定的な一言を言う。
「あのう、私、お父様と深夜に会ったのは今回が初めてなんですけど……」
全員がハーバルに注目する。
ハーバルはできるだけ父親としての威厳を保ちながらごまかして話すことにした。
「実はノーマンに誘われてな……仕方なく付き合っていたのだが……もう断ろうと思っていたところだ」
これで十分だろうと話を切り上げてみんなに声をかけた。
「さ、もう遅い。帰ろうじゃないか」
腰かけていたベッドから立ち上がった瞬間にアガサが声をかける。
「お父様、お座りください」
「あ、はい」素直に座るハーバル。
アガサは追求の手を緩めない。
「それで?お父様はノーマンとどこへ行ってらしたのですか?」
「アガサ、仮にも私の友人であり、お前よりも年上なんだぞ?ノーマン様と言わんか、ノーマン様と」
「お父様、ノーマンとどこへ行ってらしたんですか?」
「あ、はい。えー、この近くに年老いた女性がお酌をしてくれる飲み屋があってそこに通っていたんだ」
クロッグが興味を抱いて質問する。
「父上、年老いた女性とはおいくつぐらいなのですか?」
ふいの質問に油断したハーバルが正直に答えてしまう。
「20歳前後かな……あ、じゃない、私よりも20歳くらい年上かな?」
慌てて訂正したが遅かった。
「お父様、夜遊びはもうおやめください。ノーマンの誘いに乗りませんようにお願いします」
「あ……はい」
ジュノがクスクスと笑っていた。
❖
その後、ループとジュノは結婚した。ループは平民だったので、一度ギャラン伯爵家の養子として迎え入れ、ハーバル・ギャランの息子としてクルーズ伯爵家に婿養子として入ることになった。
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クロッグがボヤく。
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その言葉にアガサも同意する。
「多分ね……。でも久しぶりに楽しかったわねクロッグ」
「そうだな、楽しかった。だけど……一番得をしたのはクルーズ家だよな?」
アガサが微笑みながら返事をする。
「そうね、一度に優秀な婿殿と執事を手に入れたんだから」
執務室の開いた窓から爽やかなそよ風が吹き込んできた。
アガサはそよ風に包まれながらクロッグに言葉をかける。
「ループ、幸せになるといいわね」
その言葉にクロッグが返事をする。
「大丈夫、ループならもうとっくに未来の設計図を描いているさ」
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