【完結】奇跡の魔女

1章 醜い嫉妬の炎を消す方法

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私は学園内において【愛し合う二人を引き裂く悪女】と呼ばれておりますが、そんなことは良いのです。
いえ、決して良くはありませんけれど、貴族の娘ですもの…多少のことは聞き流せます。
けれど、婚約者に近付く異性を嗜めることが【悪女】の定義であるなどと、私は教わりませんでしたわ。

「いい加減にしてくれ！俺が学生の間くらい自由にさせてくれよ！卒業したら結婚するんだから！」

私の婚約者ジルベール・グランツ子爵令息は、自らの幼馴染である男爵令嬢の腰を抱きながら、私の手を振り払い、そう…おっしゃいました。

胸が苦しい…息が出来ない…。
泣いてはいけません…私は侯爵家の嫡女なのだから。

これは政略結婚などではないの…私が貴方を愛したからこそ結ばれた婚約ですもの。
貴族の娘としては失格の私、愛する貴方を縛り付ける私は確かに【悪女】なのでしょうね。

嫉妬してしまいましたの、貴方に護られる彼女に。
あぁ、あの噂は本当かしら？
【どんな願いも叶えてくれる奇跡の魔女】の噂…。

私の内側から溢れ出る醜い嫉妬の炎を消せば、貴方は私を愛してくださるかしら？

「奇跡の魔女に縋ってみようかしら？醜い嫉妬の炎を消して頂けるのならば、何を差し出しても構いませんわ…私が差し出せるものであるならば、何でも…」

私は急ぎ帰路についた。
お父様に【奇跡の魔女】の居場所を教えて頂く為に。