【完結】奇跡の魔女

蛇姫

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2章 命の重さは平等であり、不平等でもある

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「確かに願いを叶えたよ、君からは既に代償をもらっているからね。安心して帰るといい」

私は【奇跡の魔女】に願いを叶えて頂いた。
支払った代償は【子供たちの父親が誰か】ということのみ。
どうなるかは分からないけれど、私は誰か知らない人の子供を産んだことは覚えている。
戸籍上の父親すらいなかったのだから、今更そんなことを忘れた程度では問題にならない。
これで平穏な生活を送れる。
感謝しています、魔女様…これで安心して暮らせます。
ああ、光が私達を包み込む……きっと、あの場所に戻るのだろう。子供たちが怯えないようにしないとね。

「お母さん」

子供たちの声で目を覚ました私は、周囲を見渡した。
三人の可愛い顔が私を覗き込んでいる。

「魔女様、美しい人だったね」

長男ルイの言葉を聞いて、次男アレンが

「でも魔王は怖かった」

と云って震えてみせる………私は笑った。
あの光景は現実だったのだと、私の願いは叶ったのだと心から嬉しくなった。
そんな事を考えていると、長女のラナが

「お兄ちゃんたちは察しが悪いから!」

と二人の兄を嗜める姿に、逞しさを感じた。間違いなく、私の娘だと確信した瞬間でもある。

ただ……この子達の父親のことを欠片も思い出せない。
貴族であったのは覚えているけれど……。
ああ……これが代償か……。
大したことではないわね♪子供たちが生きていることは間違いない!

この子たちに聞かれたら何と答えましょうか?
それだけは考えておかないとね。
最も娘は勘が鋭いから教えてもいいかも知れない。
子供たちの【奇跡の魔女】に対する思いが強いままならば、息子たちにも教えようかな。

それにしても欠片も思い出せないとは……
流石は二度とは戻らないとおっしゃるだけあるわね
本当に私達には大した代償ではなかった
子供の命を奪おうとする奴を父親とは認めない
父親が欲しいと云われた時には、子煩悩な父親を探してみよう………娘に相談は必須だけれど
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