25 / 48
3章 地獄に堕ちても構わない
3
しおりを挟む
俺が色褪せた世界で孤独に耐えることが出来ないと嘆いていたときだった。
家中が突然光に包まれて、気が付けば森の中にいた。
俺は何が起こったのか分からず、声を発することも出来ずに周囲をキョロキョロ見回した。
ここは森か?何で森にいる?家にいたはずなのに。
どういうことだ?寝落ちしたのか?
そんな風なことを色々と考えていた訳だが、傍らに誰かいることに気が付いた俺は、徐ろに人の気配がする方を見た。
………すっごい美人が微笑みを浮かべながら立っているのは反則だと思う。
「ごきげんよう」
美しい人からは美しい声が発せられたのだが、俺にそれを気にする余裕は欠片もなかった。
何故なら、美しい人の後ろで殺気を放つ黒髪の青年が、明らかに俺を睨みつけていたからだ。
「ノエル、嬉しいけれど今は控えて」
美しい人が黒髪の悪魔をノエルと呼んだ。
名前だけなら天使かと思うだろ?
違う……あれは悪魔の目だ。
俺がリズを見る野郎どもにしていたのと同じ威嚇か?俺に?
「おい!そんな目で見るなよ!黒髪の方!俺にはリズって名前の女神がいるんだ!」
俺は黒髪の青年に、俺も一途な男なんだと訴えかけたが、まあ俺と似た感覚をしてるなら、信じねぇよなぁと思い直し苦笑する。
「ここが何処だか分かる?」
痺れを切らした美しい人が俺に問いかけた
「いや、分からねぇ。夢じゃねぇってのは、黒髪の野郎の殺気で分かったけどよ……」
俺は美しい人に自棄糞になって返答した
「ここは【奇跡の魔女の森】だよ」
「奇跡の魔女?」
「ああ、聞いたことは無いかな?」
「……妻が……リズが……そんな噂を聞いたことがあるって云ってた気がする」
「フフッ、その噂の正体が僕なんだ」
「………は?」
いや……どう見ても男だろう?
何で魔女なんだ?心が女なのか?
だとしたら失礼になるから…これ以上は云わねぇけどよ………まあ、美人だし?女装とか絶対に似合うし?
いいんだけどよ……噂だろ?
「自分で流したのか?」
「いや、流したのは神殿の人間だった人だろうね」
「………何で神殿?」
「ああ、昔お世話になっていたんだ……今も本当の意味でお世話になっているけれど」
………黒髪の野郎の殺気が【神殿の人間だった人】に向けられてる気がするのは何でだ?まあ、俺も神殿の人間は好きじゃねぇんだけど。
リズを聖女として連れて行こうとしてたからな。
……まだリズも俺も子供だった頃だけど。
「リズさん、聖女にされるところだったの?」
「何で知ってんだ」
「心で考え事をしていただろう?」
「してたけどよ……心でも読めんのか?」
「そんなところだね」
読まれて困るほどのことは考えてねぇけど、何かムカつく!俺の心だけ読まれてんのは!
「ごめんね、君だけではないから許してね」
「そういうんなら別にいい」
「……………そう、君も面白い人なんだね」
そう云うと、【奇跡の魔女】が微笑んだ
「僕達の家に案内するよ」
拒否権はなさそうだから、取り敢えず俺は【奇跡の魔女】について行った。
黒髪の男に睨まれながら………
家中が突然光に包まれて、気が付けば森の中にいた。
俺は何が起こったのか分からず、声を発することも出来ずに周囲をキョロキョロ見回した。
ここは森か?何で森にいる?家にいたはずなのに。
どういうことだ?寝落ちしたのか?
そんな風なことを色々と考えていた訳だが、傍らに誰かいることに気が付いた俺は、徐ろに人の気配がする方を見た。
………すっごい美人が微笑みを浮かべながら立っているのは反則だと思う。
「ごきげんよう」
美しい人からは美しい声が発せられたのだが、俺にそれを気にする余裕は欠片もなかった。
何故なら、美しい人の後ろで殺気を放つ黒髪の青年が、明らかに俺を睨みつけていたからだ。
「ノエル、嬉しいけれど今は控えて」
美しい人が黒髪の悪魔をノエルと呼んだ。
名前だけなら天使かと思うだろ?
違う……あれは悪魔の目だ。
俺がリズを見る野郎どもにしていたのと同じ威嚇か?俺に?
「おい!そんな目で見るなよ!黒髪の方!俺にはリズって名前の女神がいるんだ!」
俺は黒髪の青年に、俺も一途な男なんだと訴えかけたが、まあ俺と似た感覚をしてるなら、信じねぇよなぁと思い直し苦笑する。
「ここが何処だか分かる?」
痺れを切らした美しい人が俺に問いかけた
「いや、分からねぇ。夢じゃねぇってのは、黒髪の野郎の殺気で分かったけどよ……」
俺は美しい人に自棄糞になって返答した
「ここは【奇跡の魔女の森】だよ」
「奇跡の魔女?」
「ああ、聞いたことは無いかな?」
「……妻が……リズが……そんな噂を聞いたことがあるって云ってた気がする」
「フフッ、その噂の正体が僕なんだ」
「………は?」
いや……どう見ても男だろう?
何で魔女なんだ?心が女なのか?
だとしたら失礼になるから…これ以上は云わねぇけどよ………まあ、美人だし?女装とか絶対に似合うし?
いいんだけどよ……噂だろ?
「自分で流したのか?」
「いや、流したのは神殿の人間だった人だろうね」
「………何で神殿?」
「ああ、昔お世話になっていたんだ……今も本当の意味でお世話になっているけれど」
………黒髪の野郎の殺気が【神殿の人間だった人】に向けられてる気がするのは何でだ?まあ、俺も神殿の人間は好きじゃねぇんだけど。
リズを聖女として連れて行こうとしてたからな。
……まだリズも俺も子供だった頃だけど。
「リズさん、聖女にされるところだったの?」
「何で知ってんだ」
「心で考え事をしていただろう?」
「してたけどよ……心でも読めんのか?」
「そんなところだね」
読まれて困るほどのことは考えてねぇけど、何かムカつく!俺の心だけ読まれてんのは!
「ごめんね、君だけではないから許してね」
「そういうんなら別にいい」
「……………そう、君も面白い人なんだね」
そう云うと、【奇跡の魔女】が微笑んだ
「僕達の家に案内するよ」
拒否権はなさそうだから、取り敢えず俺は【奇跡の魔女】について行った。
黒髪の男に睨まれながら………
2
あなたにおすすめの小説
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
悪役令嬢、休職致します
碧井 汐桜香
ファンタジー
そのキツい目つきと高飛車な言動から悪役令嬢として中傷されるサーシャ・ツンドール公爵令嬢。王太子殿下の婚約者候補として、他の婚約者候補の妨害をするように父に言われて、実行しているのも一因だろう。
しかし、ある日突然身体が動かなくなり、母のいる領地で療養することに。
作中、主人公が精神を病む描写があります。ご注意ください。
作品内に登場する医療行為や病気、治療などは創作です。作者は医療従事者ではありません。実際の症状や治療に関する判断は、必ず医師など専門家にご相談ください。
9時から5時まで悪役令嬢
西野和歌
恋愛
「お前は動くとロクな事をしない、だからお前は悪役令嬢なのだ」
婚約者である第二王子リカルド殿下にそう言われた私は決意した。
ならば私は願い通りに動くのをやめよう。
学園に登校した朝九時から下校の夕方五時まで
昼休憩の一時間を除いて私は椅子から動く事を一切禁止した。
さあ望むとおりにして差し上げました。あとは王子の自由です。
どうぞ自らがヒロインだと名乗る彼女たちと仲良くして下さい。
卒業パーティーもご自身でおっしゃった通りに、彼女たちから選ぶといいですよ?
なのにどうして私を部屋から出そうとするんですか?
嫌です、私は初めて自分のためだけの自由の時間を手に入れたんです。
今まで通り、全てあなたの願い通りなのに何が不満なのか私は知りません。
冷めた伯爵令嬢と逆襲された王子の話。
☆別サイトにも掲載しています。
※感想より続編リクエストがありましたので、突貫工事並みですが、留学編を追加しました。
これにて完結です。沢山の皆さまに感謝致します。
悪役令嬢カタリナ・クレールの断罪はお断り(断罪編)
三色団子
恋愛
カタリナ・クレールは、悪役令嬢としての断罪の日を冷静に迎えた。王太子アッシュから投げつけられる「恥知らずめ!」という罵声も、学園生徒たちの冷たい視線も、彼女の心には届かない。すべてはゲームの筋書き通り。彼女の「悪事」は些細な注意の言葉が曲解されたものだったが、弁明は許されなかった。
転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す
RINFAM
ファンタジー
なんの罰ゲームだ、これ!!!!
あああああ!!!
本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!
そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!
一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!
かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。
年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。
4コマ漫画版もあります。
【短編】男爵令嬢のマネをして「で〜んかっ♡」と侯爵令嬢が婚約者の王子に呼びかけた結果
あまぞらりゅう
恋愛
「で〜んかっ♡」
シャルロッテ侯爵令嬢は婚約者であるエドゥアルト王子をローゼ男爵令嬢に奪われてしまった。
下位貴族に無様に敗北した惨めな彼女が起死回生を賭けて起こした行動は……?
★他サイト様にも投稿しています!
★2022.8.9小説家になろう様にて日間総合1位を頂きました! ありがとうございます!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる