【完結】奇跡の魔女

蛇姫

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3章 地獄に堕ちても構わない

9(奇跡の魔女視点)

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「ノエル、神の御業という事にしてくれたみたい」

「そのようですね」

「神殿にとっては迷惑かと思ったのだけれど……」

「寧ろ犯人が神によって裁かれたとするのは、極めて自然かと……」

「そうかい?」

「神に身分は通用しませんから」

「………確かに。それが通じる相手は人間だけ」

「そう云うことです」

ノエルの説明で神殿が協力的だった理由に納得した僕は、頑張って考えた彼の【願いの結果】を眺めた。
…………思った通りになったようだね。
貴族と云えども、精神世界で裁かれ続けているご子息に価値は無い。
最も、僕が願いを叶えていなければ、件の犯人は誰にも知られること無く消えていったことだろうね。
あの男の父親は貴族らしい貴族だからね。
その証拠に後継であった男が精神世界から戻ってこなくなった直後に、優秀な養子を迎えているからね。
最初からそう云うことだったのだと理解できるよ。

あの男は最後まで気が付かなかったようだけれど、ただ放置されていた訳ではないよ。
状況証拠しか無かった為に、苦肉の策としてあの男に病死してもらい、仕方なく養子を迎える……という手筈だったようだから。
養子となった男とは、婚約者込みで家に受け入れるところまで話が進んでいた。

それは兎も角、精神世界で確りと後悔するまで裁かれてくれると嬉しいな。
それでこそ頑張った甲斐があるというもの。

珍しくノエルに匹敵する一途さを持っている彼には、沢山の土産話を持って奥さんと子供に再会してほしいな。そのためには、たくさん長生きしないとね。
応援しているよ。
君が精一杯生き抜くことを。

君の心の奥底に、奥さんと子供は生き続けている。
だから、再会したときに「一緒にいたわよ」なんて、君の奥さんが微笑みを浮かべながらそう云ったなら、とても面白い反応が見られると思うな。
僕はそれを想像して愉しむとするよ。

性格が悪い?
分かっているよ、そんなこと。
僕は魔女だからね。
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