【完結】奇跡の魔女

4章 ※アナタのために

5

私は諦めきれずに他の人に聞いて回ることにした。
誰に私の悪口を吹き込まれたのか突き止めなくちゃ！

それからも私は、私が助けてあげた色んな人達に聞いて回ったのに、誰も私の話を聞いてくれない。
酷すぎる！私がこんなに頑張ってるのに！

「あ………あの！」

「何だよ！？」

酷い………何で怖い顔されなくちゃいけないの？
私は助けてあげたことのある男の人に声をかけたのに、凄く怖い顔で睨まれた。

「ひ………酷い」

私の両目からは涙が溢れて止まらなくなった。
彼はそんな私を慰めてくれたことがある。
直ぐに怖い女の人を追いかけて行っちゃったけど。
【奇跡の魔女】に願いを叶えてもらって直ぐに助けてあげた人なのに、何で私を信じてくれないの？

「あ……悪女の話が聞きたかったの」

「はっ！」

えっ……何で笑うの？
私は真剣なのに！酷い！もういい！

「もういいです！他の人に聞くから！」

「他の奴に聞いたって無駄だ！その悪女には自覚ってもんがないからな！」

自覚がないって……そんな酷い人がいるの！？
そんな人が私を………彼が知ってるってことは、あの怖い女の人が悪女なんじゃ……私ってば天才！

「あっ……あの！」

「まだ何か用があんのかよ！？」

「あの女の人！」

「はぁ？」

「あの怖い顔してた女の人が悪女なんでしょ！？」

「違うに決まってるだろう！？」

「隠さなくていいの……私、分かってるから」

「何も分かってねぇだろう！？」

「庇わなくても………」

「庇ってねぇ！アイツは優しいやつなんだ！悪女と一緒にすんなよ！！」

そう怒鳴って……彼は去って行った。
何であんなに怒るの？
私はあの怖い女の人かもって思ったから云っただけなのに……何で？
私の瞳から止まったはずの涙が再び溢れ出した。
皆……どうして悪女の云うことを信じるの？