【完結】奇跡の魔女

4章 ※アナタのために

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「確かに代償はもらったよ」

えっ！待って！代償をもらったって何？
何で？代償を払わなくていいって話だったのに！

「私から奪ったものを返してください！」

私は止まってた涙が溢れ出すのを感じながら、それでも必死で【奇跡の魔女】に云った。

「それなら……願いを無かったことにしてもいいけれど、どうする？なかったことにする？」

えっ……それは嫌！だって願いが叶ったのに……無かったことにされるなんて！そんなの酷すぎる！

「そんなの酷すぎます！」

私は当然の主張をした。
なのに【奇跡の魔女】は冷酷な人だった。

「それなら代償は払ってもらわないと……ね？」

「そんなの変です！何で私が！」

私が当然の権利を主張していたとき、全身が光に包まれて【奇跡の魔女】が微笑みながら何か云ってた気がするけど、聞き返せないまま元の場所に戻っていた。

（奇跡の魔女視点）

面倒なお客様が何やら代償を踏み倒そうとしているようだったので、ノエルと相談し強制的に代償を払わせることになった。
お客様を元の場所に返す直前に、彼女に最初で最後の助言をした。

「その性格と…すぐに泣く癖を治せばいいと思うよ？」

彼女は何を云ったのか聞き取れなかったようだけれど、そこまで面倒を見る気は毛頭ない。
それよりも、ノエルの機嫌を取る方が遥かに大切だからね。
悪いけれど、他人の喧嘩に口を挟んで【助けてあげた】なんて……厚かましいにも程がある。
【願いを叶えた結果】としては面白いけれど、僕とノエルの穏やかな生活に割り込んで【一緒に住んであげてる】なんて思われるのも厭わしい。

「アステル様、お疲れ様でございました」

ノエルが満面の笑みを浮かべているところを見るに、心の声を聞くまでもなく不安だったのだろうね。

「ノエル、僕の我が儘に付き合ってくれてありがとう」

「アステル様、我が儘は大歓迎でございます」

昔から僕のことを最優先に考えてくれる。
それにしても【願いの結果】はどうなったのだろう？
僕を背後から抱きしめるノエルの機嫌が治ったら、少しだけ覗いてみような？