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第1章 初恋の彼は、私の運命の人じゃなかった
Ep.77 証拠を求めて三千里
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状況が飲み込めないまま案内された先は、品の良い天体モチーフの雑貨が並ぶ小さな街角のお店だった。
(こんなお店あったんだ……)
「お待たせいたしました、ご確認お願い致します」
「ーっ!」
ルドルフさんに促されるまま店員さんに預けたリボンは、店内を見ている内に一時間と掛からずに修繕されて帰って来た。丁度同じパーツがあったらしい。
黒いビロードの敷かれたトレーに乗ったそれを手に取って少し回してみる。ヒビはもちろんほつれも汚れもない、元通りだ。ほっとしつつ、清楚な雰囲気の店員さんに頭を下げる。
「大切な物なので綺麗に直って安心しました、本当にありがとうございます。あの、お支払は……」
「いいえ、当店の商品をお気に召して頂けて幸いです。修繕費なら既にお連れ様から頂きましたよ?」
「えっ!?」
驚く私を不思議そうに見つつ、店員さんが手で小窓の外を示す。その先に見えた人混みの中遠ざかっていくルドルフさんの背中を慌てて追いかけた。
「るっ、ルドルフさん!」
「ーっ!なぁに?リボンは直ったでしょう。今日俺非番じゃないし、もうこれ以上君に構ってる暇はないんだけど?」
息を切らしながら袖を引いた私に振り向いて、うんざりとため息を溢すルドルフさん。それは私もわかってるんですけども。
「す、すみません。でもあの、リボンの修理代!あとこのお洋服の分も支払いを……!」
「あぁ、その事か……。いいよ、別に。釈放され次第ガイアスに請求するから」
「いや全く良くないですよ!?ガイアが払う理由無いですし、ここまで良くして頂く理由も無いです!」
「いや、だってあの街中で健気に泣く女の子無視して立ち去ったら俺とんだクズ野郎じゃん……。いや、まぁ実際クズだからいいけどさ」
ボソッとした呟きはよく聞き取れなかったけど、とにかくルドルフさんは意地でもお金を受け取る気はないらしい。くるっと踵を返したその背中を小走りに追いかける。
「ルドルフさん待ってください」
「……待つ理由がない、追いかけて来ないで」
「ちゃんと支払ったら離れますから!せめて修理代だけでも……ちょっと、ルドルフさん待って!」
「あーもうしつこいな要らないったら!俺にそんなことで構ってる間があったらガイアスの救出に全力を尽くしなよ。散々尽くさせてきた女に冤罪かけられたまま親友に死なれるなんざ俺だって御免だね!」
「ーっ!!」
その言葉に一瞬、辺りの音が消えたような気がした。少しの間の後ふふっと漏れた笑みに、ルドルフさんが訝しげな顔になる。
「……何笑ってんのさ」
「すみません、つい。ルドルフさん、実はガイアのこと大好きですよね?」
「なっ……、はぁぁぁぁっ!?何馬鹿な事言ってるんだよもう……!あぁ馬鹿らしい、付き合ってらんない!」
「ごめんなさい、でもそんな逃げるほど照れなくても……顔真っ赤ですよ」
「照れてなんかないから!本当いい加減君も次の目的地に行きなよ!て言うか行く当てあるの?」
怒鳴り疲れたのか足を止めたルドルフさんに問われ、私は例のボロボロの証拠を隠したマジックポーチを軽く叩いて見せた。
「はい、とにかくこれの内容を復元しないと話が進みませんからまずは国立魔術研究所に行こうかと思います」
国立魔術研究所には国内の魔術研究の記録や生活用の魔道具だけじゃなく、他国から輸入された様々な魔法薬が保管されていた。魔法の勉強の時に見せて頂いた保管棚に、確か破かれたり焼失した書物の一部から元の状態を復元出来る薬もあった筈だ。研究所は王宮の端だから少々リスクはあるけど、覚悟を決めて行くしかない。
「まぁ確かに普通のダメージならそれで復元出来るだろうけどね……、多分、命懸けでその薬を取りに行っても無意味に終わると思うよ?」
「え…………、な、何でですか!?」
さぁ、行くわよ!と気持ち的に意気込んでいた所を挫かれて思わず詰め寄ると、ルドルフさんはうんざりとため息をついた。
「その書類。破かれてない部分も切れはしの部分もムラ無く全部文字が薄くなってるでしょう。最初から最後まで、全部」
そう言われて、人目につかない路地まで駆け込み慌てて書類を確かめる。確かに言われてみると、高位貴族の屋敷にあった資料にしては随分とインクの色が薄い。見つけた時には破かれ具合の酷さに気を取られて気づかなかった。でも、何で……?
「一般的には使われてないから知らないだろうけど、それは複写薬に浸した書物に見られる特徴でね。特殊な原液に浸したその資料に白紙を押し当てると内容をそのまま転写出来るものなんだ」
頭に?を浮かべまくっていたら、呆れつつも説明を始めてくれるルドルフさん。何だろう、本人は悪ぶりたがってる感あるけどどうにもお人好しな気がするんだよねーなんて考えてたら、ちゃんと聞きなさいと頭を叩かれた。痛いです。
「複写薬の利点は手写しと違って寸分違わない書類を複製出来る事だけど、代わりに原本の方はかなり文字が薄くなる。複写された後の保存状態が良ければそれでも普通に読む位は出来ただろうけど、そこまで破損していてはね……。普通の魔法薬《ポーション》で直した場合、更に文字は薄まるだろうからどのみち読めないよ」
『可哀想だけど』と最後に付け足されたその説明に、ガーンと頭を殴られる。なんてことなの……!
ん?待って、今のルドルフさんの言葉、何か引っ掛かるような……そうだ!
「今、普通の魔法薬じゃ無理って言いましたよね?ってことはもしかして、これを完全に直せる特殊な魔法薬が他にあるって事じゃないですか!?」
勢いよく立ち上がって飛び付いた私から顔を背けたルドルフさんがしまったとばかりに右手で口元を覆う。その仕草は肯定と同じですよ!
「やっぱりあるんですね!?どこにあるんですか?王宮薬草園?国立魔術研究所?それとも国内随一の薬商団である白十字会ですかね??」
「だぁぁっ、人の腕を掴んで揺さぶらないでよ鬱陶しい!」
「そんなご無体な事言わずに教えてください!ルドルフさんなら知っているでしょう!?」
「教えるわけないだろ馬鹿なの!?そもそも複写薬自体使用規定が非常に厳しく本来表では使ってはならない禁忌の薬なんだ。不法物なの、不法物!!それと対比になるような薬が正規のルートで手に入る訳ないでしょ?まして取引場所なんか俺だって検討もつかな……うわっ!」
カッコーンっと小気味いい音が響いたと思ったら突然ルドルフさんが前のめりに倒れ込んだ。唖然とする私の前に、ルドルフさんを転ばせた原因がふわりと舞い降りる。
それは、瑠璃色の瞳の一羽のカラスだった。よく見ると、足に手紙のようなものがくくりつけてあるのがわかった。気になって手を伸ばせば、カラスがどうぞと言うようにその足を差し出してくれる。
手紙をくくっていた麻紐をほどいた瞬間、カラスはふわっと光の粒に変わり空に飛んで行ってしまった。
「ーっ!!?きっ、消えっ……え?消えた!?」
「そりゃ消えるでしょ、あれはガイアスが緊急の連絡時に使う魔力で生み出した眷属。目的果たしたから消えただけだよ」
『貸して』とパニクる私の手からちゃっかり手紙を取り上げたルドルフさんが便箋に目を通すなり頭を抱えた。『あいつ、やっと連絡寄越したかと思えば……!』なんて呟きが気になって私も読んでみる。
便箋は全部で三枚。はじめの二枚が私宛、三枚目だけルドルフさん宛だ。さてさて、一枚目の内容は……
『公爵家や王宮の追手の目を眩ませる為死亡偽装したのは構わないが、子供達の学費等の申請はセレンの名義になっていただろう。早めに一度実家に連絡して君の無事と手続きのやり方を伝えて置いた方が良いんじゃないか?心配しているだろうし、下手をするとソレイユ達が学校に通えなくなってしまうぞ』
と、書いてあった。いっけない、そうだ今月末にソレイユとスピカの学費払わなきゃいけないんだった、忘れてた!
「危うく払い忘れちゃう所だったわ、ガイアが覚えててくれて良かった」
「いやおかしいでしょ何だよこの内容!あいつ自分の今の立場わかってんのかよ。自分の命より子供の未来の心配て!パパかよ!!!」
「まぁ正直昨年はガイアがうちの子達の父親代わりでしたし」
「あいつこの一年ホントに何してた訳!?」
荒ぶるルドルフさんをなだめつつ、次の便箋を開く。念入りに折りたたまれていたのに中身は白紙だ。
不思議に思って便箋をカサカサ揺らしてみたら折り目の合間からポロっと何か出た。なんだろうと手に取ると、鈍い金色が日差しに光る。
「何だろうこれ、コイン?」
光にかざしたそれの模様を見て、ルドルフさんの顔色が変わる。もしかして、これって調査のヒントになるもの!?
「ルドルフさん、これが何のコインかわかるんですね!?教えて下さい!これ、きっとガイアからのヒントだと思うんです!」
「しっ、知らない!知りたくない俺は何もわからない!大体何度も言うけど、俺が君を!助ける義理は一切な・い・の!!」
うぅ、頑なだ。これは無理かも……。
(仕方ない。コインの装飾や材質から、どこの物か調べるしかないか……)
踵を返したその時、後ろでグシャッと音がした。思わず振り返れば、三枚目の便箋を握りつぶしたルドルフさんと視線が重なる。
「あ、あの……?」
「やっと連絡寄越したかと思えばあんの野郎……!」
骨張った手で手紙を圧縮し続けるルドルフさん。何て書いてあったんだろう……。
「~~っ、背に腹は変えられない。行くよ!」
「はっ、はい!」
乱暴に腕を掴まれ走り出す。……って!
「一体どこに行くんですかーっ!!?」
~Ep.77 証拠を求めて三千里~
『そりゃ当然そのコインの出所に決まってるでしょ!』
(こんなお店あったんだ……)
「お待たせいたしました、ご確認お願い致します」
「ーっ!」
ルドルフさんに促されるまま店員さんに預けたリボンは、店内を見ている内に一時間と掛からずに修繕されて帰って来た。丁度同じパーツがあったらしい。
黒いビロードの敷かれたトレーに乗ったそれを手に取って少し回してみる。ヒビはもちろんほつれも汚れもない、元通りだ。ほっとしつつ、清楚な雰囲気の店員さんに頭を下げる。
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「いいえ、当店の商品をお気に召して頂けて幸いです。修繕費なら既にお連れ様から頂きましたよ?」
「えっ!?」
驚く私を不思議そうに見つつ、店員さんが手で小窓の外を示す。その先に見えた人混みの中遠ざかっていくルドルフさんの背中を慌てて追いかけた。
「るっ、ルドルフさん!」
「ーっ!なぁに?リボンは直ったでしょう。今日俺非番じゃないし、もうこれ以上君に構ってる暇はないんだけど?」
息を切らしながら袖を引いた私に振り向いて、うんざりとため息を溢すルドルフさん。それは私もわかってるんですけども。
「す、すみません。でもあの、リボンの修理代!あとこのお洋服の分も支払いを……!」
「あぁ、その事か……。いいよ、別に。釈放され次第ガイアスに請求するから」
「いや全く良くないですよ!?ガイアが払う理由無いですし、ここまで良くして頂く理由も無いです!」
「いや、だってあの街中で健気に泣く女の子無視して立ち去ったら俺とんだクズ野郎じゃん……。いや、まぁ実際クズだからいいけどさ」
ボソッとした呟きはよく聞き取れなかったけど、とにかくルドルフさんは意地でもお金を受け取る気はないらしい。くるっと踵を返したその背中を小走りに追いかける。
「ルドルフさん待ってください」
「……待つ理由がない、追いかけて来ないで」
「ちゃんと支払ったら離れますから!せめて修理代だけでも……ちょっと、ルドルフさん待って!」
「あーもうしつこいな要らないったら!俺にそんなことで構ってる間があったらガイアスの救出に全力を尽くしなよ。散々尽くさせてきた女に冤罪かけられたまま親友に死なれるなんざ俺だって御免だね!」
「ーっ!!」
その言葉に一瞬、辺りの音が消えたような気がした。少しの間の後ふふっと漏れた笑みに、ルドルフさんが訝しげな顔になる。
「……何笑ってんのさ」
「すみません、つい。ルドルフさん、実はガイアのこと大好きですよね?」
「なっ……、はぁぁぁぁっ!?何馬鹿な事言ってるんだよもう……!あぁ馬鹿らしい、付き合ってらんない!」
「ごめんなさい、でもそんな逃げるほど照れなくても……顔真っ赤ですよ」
「照れてなんかないから!本当いい加減君も次の目的地に行きなよ!て言うか行く当てあるの?」
怒鳴り疲れたのか足を止めたルドルフさんに問われ、私は例のボロボロの証拠を隠したマジックポーチを軽く叩いて見せた。
「はい、とにかくこれの内容を復元しないと話が進みませんからまずは国立魔術研究所に行こうかと思います」
国立魔術研究所には国内の魔術研究の記録や生活用の魔道具だけじゃなく、他国から輸入された様々な魔法薬が保管されていた。魔法の勉強の時に見せて頂いた保管棚に、確か破かれたり焼失した書物の一部から元の状態を復元出来る薬もあった筈だ。研究所は王宮の端だから少々リスクはあるけど、覚悟を決めて行くしかない。
「まぁ確かに普通のダメージならそれで復元出来るだろうけどね……、多分、命懸けでその薬を取りに行っても無意味に終わると思うよ?」
「え…………、な、何でですか!?」
さぁ、行くわよ!と気持ち的に意気込んでいた所を挫かれて思わず詰め寄ると、ルドルフさんはうんざりとため息をついた。
「その書類。破かれてない部分も切れはしの部分もムラ無く全部文字が薄くなってるでしょう。最初から最後まで、全部」
そう言われて、人目につかない路地まで駆け込み慌てて書類を確かめる。確かに言われてみると、高位貴族の屋敷にあった資料にしては随分とインクの色が薄い。見つけた時には破かれ具合の酷さに気を取られて気づかなかった。でも、何で……?
「一般的には使われてないから知らないだろうけど、それは複写薬に浸した書物に見られる特徴でね。特殊な原液に浸したその資料に白紙を押し当てると内容をそのまま転写出来るものなんだ」
頭に?を浮かべまくっていたら、呆れつつも説明を始めてくれるルドルフさん。何だろう、本人は悪ぶりたがってる感あるけどどうにもお人好しな気がするんだよねーなんて考えてたら、ちゃんと聞きなさいと頭を叩かれた。痛いです。
「複写薬の利点は手写しと違って寸分違わない書類を複製出来る事だけど、代わりに原本の方はかなり文字が薄くなる。複写された後の保存状態が良ければそれでも普通に読む位は出来ただろうけど、そこまで破損していてはね……。普通の魔法薬《ポーション》で直した場合、更に文字は薄まるだろうからどのみち読めないよ」
『可哀想だけど』と最後に付け足されたその説明に、ガーンと頭を殴られる。なんてことなの……!
ん?待って、今のルドルフさんの言葉、何か引っ掛かるような……そうだ!
「今、普通の魔法薬じゃ無理って言いましたよね?ってことはもしかして、これを完全に直せる特殊な魔法薬が他にあるって事じゃないですか!?」
勢いよく立ち上がって飛び付いた私から顔を背けたルドルフさんがしまったとばかりに右手で口元を覆う。その仕草は肯定と同じですよ!
「やっぱりあるんですね!?どこにあるんですか?王宮薬草園?国立魔術研究所?それとも国内随一の薬商団である白十字会ですかね??」
「だぁぁっ、人の腕を掴んで揺さぶらないでよ鬱陶しい!」
「そんなご無体な事言わずに教えてください!ルドルフさんなら知っているでしょう!?」
「教えるわけないだろ馬鹿なの!?そもそも複写薬自体使用規定が非常に厳しく本来表では使ってはならない禁忌の薬なんだ。不法物なの、不法物!!それと対比になるような薬が正規のルートで手に入る訳ないでしょ?まして取引場所なんか俺だって検討もつかな……うわっ!」
カッコーンっと小気味いい音が響いたと思ったら突然ルドルフさんが前のめりに倒れ込んだ。唖然とする私の前に、ルドルフさんを転ばせた原因がふわりと舞い降りる。
それは、瑠璃色の瞳の一羽のカラスだった。よく見ると、足に手紙のようなものがくくりつけてあるのがわかった。気になって手を伸ばせば、カラスがどうぞと言うようにその足を差し出してくれる。
手紙をくくっていた麻紐をほどいた瞬間、カラスはふわっと光の粒に変わり空に飛んで行ってしまった。
「ーっ!!?きっ、消えっ……え?消えた!?」
「そりゃ消えるでしょ、あれはガイアスが緊急の連絡時に使う魔力で生み出した眷属。目的果たしたから消えただけだよ」
『貸して』とパニクる私の手からちゃっかり手紙を取り上げたルドルフさんが便箋に目を通すなり頭を抱えた。『あいつ、やっと連絡寄越したかと思えば……!』なんて呟きが気になって私も読んでみる。
便箋は全部で三枚。はじめの二枚が私宛、三枚目だけルドルフさん宛だ。さてさて、一枚目の内容は……
『公爵家や王宮の追手の目を眩ませる為死亡偽装したのは構わないが、子供達の学費等の申請はセレンの名義になっていただろう。早めに一度実家に連絡して君の無事と手続きのやり方を伝えて置いた方が良いんじゃないか?心配しているだろうし、下手をするとソレイユ達が学校に通えなくなってしまうぞ』
と、書いてあった。いっけない、そうだ今月末にソレイユとスピカの学費払わなきゃいけないんだった、忘れてた!
「危うく払い忘れちゃう所だったわ、ガイアが覚えててくれて良かった」
「いやおかしいでしょ何だよこの内容!あいつ自分の今の立場わかってんのかよ。自分の命より子供の未来の心配て!パパかよ!!!」
「まぁ正直昨年はガイアがうちの子達の父親代わりでしたし」
「あいつこの一年ホントに何してた訳!?」
荒ぶるルドルフさんをなだめつつ、次の便箋を開く。念入りに折りたたまれていたのに中身は白紙だ。
不思議に思って便箋をカサカサ揺らしてみたら折り目の合間からポロっと何か出た。なんだろうと手に取ると、鈍い金色が日差しに光る。
「何だろうこれ、コイン?」
光にかざしたそれの模様を見て、ルドルフさんの顔色が変わる。もしかして、これって調査のヒントになるもの!?
「ルドルフさん、これが何のコインかわかるんですね!?教えて下さい!これ、きっとガイアからのヒントだと思うんです!」
「しっ、知らない!知りたくない俺は何もわからない!大体何度も言うけど、俺が君を!助ける義理は一切な・い・の!!」
うぅ、頑なだ。これは無理かも……。
(仕方ない。コインの装飾や材質から、どこの物か調べるしかないか……)
踵を返したその時、後ろでグシャッと音がした。思わず振り返れば、三枚目の便箋を握りつぶしたルドルフさんと視線が重なる。
「あ、あの……?」
「やっと連絡寄越したかと思えばあんの野郎……!」
骨張った手で手紙を圧縮し続けるルドルフさん。何て書いてあったんだろう……。
「~~っ、背に腹は変えられない。行くよ!」
「はっ、はい!」
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