転生結界師―学園で無双する―

1章 学園

-4話

「…彼らはなんでこんなに死に物狂いで鍛錬しているんだろうね」
「…」
「聞いてる？」
「…はっ！わ、自分でしょうか！」
「うん、この場には君しかいないからね」
「そ、そうですね…騎士団長は国を、学園長は学園、そして子供達を守るため、かと思いますが…」
「うーん、本当にそうなのかな？まぁでも、国の戦力が高くなるのはありがたいよね」
「…どうでしょう、彼らが強くて心強いのは、味方だからです。
彼らが鍛錬を積む中、いつも通りの訓練をしている騎士らでは、彼らが敵となった時、成す術がありません。
しかし、この国の騎士である以上、成す術がなかったため、守ることができませんでした、等とは決して言えません」
「…時に君、魔王というのは知っているかい？」
「幼少期におとぎ話として伝えられております。
確か…魔族を束ねる王で、人間を滅ぼそうとした者。
しかしその者は、勇者とその仲間たちに倒される…」
「うん、そうだね。そして、恐らく父上はこのことに関して隠していることがある。あ、これ秘密にしてね？
多分、何処かのタイミングで公表されると思うから」
「はっ！」
「はぁっ…はぁっ…も、もう無理だ…」
「おや、終わったようだね」
「…あれだけの猛攻の中、全てを避けるのは到底不可能なことです。
それを成し遂げるとは…あの少年、何者でしょうか」
「この国の民なのは間違いないね。でも…彼はこの国に執着していない。
かといって、彼の戦力を求めるが為に家族に手を出せば、その瞬間にでもこの国は歴史が閉ざされる」
「今のうちに始末しておくべきかと」
「残念、あの剣技らを猛攻とこの国の騎士が言っている時点で、彼は既にこの国での最強格だ。
到底始末なんて出来る相手じゃない」
「…殿下、彼と手合わせをしてみてもよろしいでしょうか」
「うん、良いよ。でも、戦意を無くさないようにね」
「はっ！」

手合わせ？あいつが許可したとはいえ、体力的に厳しいんだが…

「どうするんだ？」
「…一撃で終わらせる。そのくらいなら、体力もギリ足りるはずだ」
「手合わせをお願いします」
「ああ、良いぞ。ファブル、剣を」
「お？相手は真剣だぞ？木剣じゃあ相手出来ねぇだろ」
「そんなもの、当たらなければ良いだけだ。
それに…あの程度のスピードで猛攻と言うほどなら、俺に攻撃は届かん」

レイドはそういって彼に向かい剣を構えた。