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第131話 向かうは南西、アングルーム大荒野
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「おっそいっ! もっと早く来れただろ!?」
出荷前の奴隷達を整列させ、首輪の隷属術式のチェックをしながらエドルが大きく声を上げた。
第一陣二百十名を三十の馬車に乗せて運ぶ大事業。
普段十五程度の乗合馬車しかいない乗り合い所は、テュラック商会所有の馬車で半分が埋まっている。どこもかしこも窮屈で、休憩所を兼ねる建物には物見の商人達が顔を覗かせていた。
まだあと三回あるから、ご迷惑をおかけします。
「ごめんごめん。カエリナが発情しちゃって、ちょっとね」
「サキュバスクィーンの発情とか勘弁してくれよ…………シムカよりマシって言っても、体臭に強烈な媚薬作用があるんだぞ? 俺も一度喰らった事あるけど、マリアとアリエルがいなかったら気が狂ってた」
「アリエルって、あの支店長? マリアはかなり独占欲強めなのに、よく許してもらえたじゃないか。他の愛人達は内緒なんだろ?」
「…………勢い余って、マリアの前で無理矢理やって孕ませた」
「そりゃお前が悪い」
女っぽい外見でも、やってる事はしっかり男で安心した。
相手の意思確認をしていないのはあまりよろしくないが、私も散々しているから他人の事をとやかく言えない。むしろ、一人認めさせたなら二人、三人ともっといける筈と、心の中でほくそ笑む。
実は、リトルレディを介して会談したグランガ傭兵国の要人から、テュラック商会とニース商会に伝手を持ちたいと相談されているのだ。
次期傭兵王の座を狙い、経済的な影響力を持ちたいのだろう。
力ばかりを重視する傭兵国にあって、広い視野を持つ貴重な野心家だ。暴走しないように手綱を握れば、エドルやニースの勢力増大に繋がる。大変喜ばしい事であり、友好を反故にしない限りは手を貸そうと決めていた。
問題は、テュラックは亡き妻に操を立てていて、エドルにはマリアという最愛の障害がいる事。
説得には時間がかかると思っていた。それが、こんな形で隙を見つけられて非常に助かり嬉しく嬉しく、出発を見送ったらこのままお見合いパーティーでも開きたいくらいだった。
そもそも、エドルはもっと護衛を連れるべきだよ。
いくら一人で街一つ制圧できる実力があるとしても。
「? 何だよ?」
「何でもない。タイムスケジュールとルートの確認は済んでる?」
「御者達とは打ち合わせ済みだ。途中に寄る宿場はカルタナル、エンラス、ヴォロヴロックの三つ。詐欺神――――は滅神したんだったか?――――の管轄地を抜ける長旅程が心配だけど、ヴォルヴロックまで行けば育みの女神リエラの管轄地だ。そこまで辿り着ければ大丈夫だろ」
「少し東に逸れてトルオスに寄ると良い。ドルトマのアマゾネスハーレムとうちの黒巫女衆本隊が駐留してる。護衛の巫女達に言っておくよ」
「助かる。――――バーサ! ルートを少し修正するから全員を集めてくれ!」
「了解です、若っ!」
エドルの声を機に、方々の面子が集まって休憩所の中へと入っていった。
チェックを受けていた奴隷達が、緊張から逃れて息を吐く。近くの知り合い達と小さく話を始めて、これからどうなるのかと不安の声を漏らしている。
そういえば、彼らには言っていなかったか。
これからどこに行って、何をしてもらうのか。
「ちゅうもーくっ! 私は生の神しなずちっ! 君達を購入した雇い主だ! 今後の君達の処遇について、丁度良いからこの場で説明させてもらうっ!」
出来る限りの大声で、私は奴隷達の意識を集める。
器用に立ったまま寝ている数名を除き、全員が私に目を向けた。
神と聞いて疑いばかり篭っているが、足から触手を生やして身体を持ち上げると畏怖の念が視線に加わる。まるで邪神に向けるようなそれは些か心外で、明るい笑顔を努めて作って無害である事をアピールする。
あ、ダメだ。逆に警戒された。
親は子を、男は女を、腕に覚えのある者は自ら前に出て背後の者達を守ろうと身構える。
うん、良いんだけど…………良いんだけど、私に対してそれは……ねぇ?
「君達を含めた九百名余りの奴隷には、アングルーム大荒野へと旅立ってもらう! 目的は彼の地の開拓だ! 相応に辛い日々を強いる事になるが、希望はあるから頑張ってほしい!」
「何が希望だ! どうせ家畜みたいに使い潰す気だろう!」
「神だなんてどうせ嘘なんだろ!? 詐欺神の使い走りか!?」
「おうちにかえして! おねがい、なんでもするから!」
恐怖から混乱に、混乱から恐慌に、彼らと彼女らは様々な感情を私に向ける。
落ち着かせるために、何でもすると言った小娘を触手で巻いて手元に寄せた。なかなか可愛らしい幼子で、まだ男を知るには早すぎる未熟の果実。膨らむか膨らまないかという際の際だが、浮かべる涙と歪んだ表情は男をその気にさせるのに十分な材料だ。
ただ一つ。
焼け爛れた左目付近から肩にかけてが、並みの男を彼女から遠ざける。
「た、たすけ……っ」
不定形に腕を崩し、少女の火傷痕を丸っと包む。
透き通ったゲルの中で、不自然に治癒した赤い肌が崩れて剥がれた。下から現れた肌は他の部分と同じ艶やかな柔らかさを見せ、つい数秒前より健康な美体へと生まれ変わる。
上がっていた非難と不満がぱったり消える。
ダメ押しとばかりに、今度は隻腕の老人を包んで若返らせ、腕を生やしてみせる。片足がない元傭兵の男に脚を生やさせ、翼人の折れた翼を正しく治し、次から次に治して治して治して治す。
正しく、奇跡を見せつける。
「え……? い、いたく、ない……? いつも、ぴりぴりって、いたい、のに……?」
「今までよく我慢したね、良い子良い子。――――さて、失った体を取り戻した喜びに水を差すようで悪いが、これは先払いだ! この治療と、君達を購入した代金を合わせた額を各々には稼いでもらう! 稼ぎきったら後は自由だ! 仕事を続けるも良し、十分稼いで故郷に戻るも良し、事業を起こして家族を呼び寄せるも良し! ゴールは見えたか!? 何をすれば良いか理解できたか!? 仕事の内容は早い者勝ちだから、稼ぎたい奴は馬車に乗れ! そうでない奴は最後の便でゆっくり行け!」
「お、おれ、乗る! ちょちょちょっとどいてくれ!」
「おい、俺が先だ!」
「私は自分で飛んで行って良いですか!?」
我先にと、興奮した奴隷達が馬車に走り乗り込んでいった。
分かりやすい目先の利益と目標があると、人は割と簡単に動ける。乗せられていると気付かず、自分で乗ったと勘違いする。
自らの意志で、他人の意志に動かされる。
ちょっと悪い気はするが、嘘は言っていないから問題はないだろう。特に仕事について、内容は早い者勝ちだが、稼げる額は大体同じだ。技術を活かした副業とかをやれば差がつくものの、そうでないなら老若男女大差はない。
平等に、全員一緒のスタートを切る。
「これで一段落かな?」
「勝手なことしやがって…………御者達にルート変更を伝えて来た。奴隷達の熱が冷めない内に出発させる。この小娘はどうする?」
「お行き。たくさん稼いで、また家族一緒に暮らせるように」
「は、はい! いってきます、神様!」
おぼつかない足取りで転びそうになりながら、少女も馬車へと走っていった。
乗車確認が済んだ端から、次々に馬車が出立していく。何人か私に向かって手を振ってくれて、無事な旅路と幸福を願い、手を振り返した。
おおよそ二十日の長い旅程。
終わればそこからが彼らの新生活だ。稼いで稼いで稼いで稼いで、私達の思惑通りに行く事を願う。
『キサンディア。上手くいくかな?』
『いきますよ。奴隷を利用した北への資金注入はこれで完了しました。人口減少との相乗効果で、短期的に経済は持ち直す筈です。傘下の国々にはカロステン王国のドゥアーノ大臣を通じて、至急の経済対策を取ってもらうよう通達してあります。後は開拓村から出荷される食料と資材で市場が潤えば、今回の騒動は収まるでしょう』
『後は黒幕探しか…………そうだ。リエラ、アングルーム大荒野は樹海になった?』
『端が少し残ってますけど、あと数日で全部森に覆われます。魔獣達の営巣も始まっているので、開拓村が出来る頃には立派に未開拓の樹海になりますよ? それと別件ですが、屈服調教中だったドガちゃんが社から逃げたので捕まえてください。しなずち様のを挿れたままなので、どこにいるかはすぐわかりますよね?』
『アレ挿れたまま逃げたって正気? 股を閉じられないどころか、地面に足が着かないのに…………あれ? 女戦王国のある北じゃなく、西の炎帝火山を過ぎてトルオスにいるよ? なんで?』
『しなずち、ドルトマから至急の連絡だ。ドガが経済戦争の黒幕を捕まえるから協力しろと言っているらしい。黒幕をお前に差し出して、属神化を免れようという魂胆だ。先回りして全部掻っ攫え。私の教育から逃げた報いをきっちり受けさせてやるっ』
『ヴィラ姉様っ。私も、私もしたいですっ!』
属神間の念話が百合百合しい空気を漂わせ、私は目を手で覆って空を見上げた。
どういうルートで黒幕を知ったかわからないが、その情報を提示すれば取引くらいできたろうに。
ここにはヒュレインがいるから、トルオスまで十分とかからない。必死に逃げて活路を求めて、絶望が迎えに行ったらどんな顔を浮かべてどんな声で啼いてくれる?
凄く、すっごく猛ってきた。
そうと決まればすぐ行動だ。
羽衣を通じてヒュレインとナレアを呼び、残りの者達にはエドルのサポートを命じた。
向こうにはユーリカ達黒巫女衆がいるから、戦力的に十分すぎる。念の為に社待機のシムナに増援を命じ、二・三日中にささっと全部終わらせよう。
そして、ドガも私の属神に。
「…………ん? そういえば、あの辺りの管轄神はリエラ以外滅んでるよね? 経済工作の開始時期も考えると、黒幕になりそうな神はいない?」
――――大元は、一体何者だ?
出荷前の奴隷達を整列させ、首輪の隷属術式のチェックをしながらエドルが大きく声を上げた。
第一陣二百十名を三十の馬車に乗せて運ぶ大事業。
普段十五程度の乗合馬車しかいない乗り合い所は、テュラック商会所有の馬車で半分が埋まっている。どこもかしこも窮屈で、休憩所を兼ねる建物には物見の商人達が顔を覗かせていた。
まだあと三回あるから、ご迷惑をおかけします。
「ごめんごめん。カエリナが発情しちゃって、ちょっとね」
「サキュバスクィーンの発情とか勘弁してくれよ…………シムカよりマシって言っても、体臭に強烈な媚薬作用があるんだぞ? 俺も一度喰らった事あるけど、マリアとアリエルがいなかったら気が狂ってた」
「アリエルって、あの支店長? マリアはかなり独占欲強めなのに、よく許してもらえたじゃないか。他の愛人達は内緒なんだろ?」
「…………勢い余って、マリアの前で無理矢理やって孕ませた」
「そりゃお前が悪い」
女っぽい外見でも、やってる事はしっかり男で安心した。
相手の意思確認をしていないのはあまりよろしくないが、私も散々しているから他人の事をとやかく言えない。むしろ、一人認めさせたなら二人、三人ともっといける筈と、心の中でほくそ笑む。
実は、リトルレディを介して会談したグランガ傭兵国の要人から、テュラック商会とニース商会に伝手を持ちたいと相談されているのだ。
次期傭兵王の座を狙い、経済的な影響力を持ちたいのだろう。
力ばかりを重視する傭兵国にあって、広い視野を持つ貴重な野心家だ。暴走しないように手綱を握れば、エドルやニースの勢力増大に繋がる。大変喜ばしい事であり、友好を反故にしない限りは手を貸そうと決めていた。
問題は、テュラックは亡き妻に操を立てていて、エドルにはマリアという最愛の障害がいる事。
説得には時間がかかると思っていた。それが、こんな形で隙を見つけられて非常に助かり嬉しく嬉しく、出発を見送ったらこのままお見合いパーティーでも開きたいくらいだった。
そもそも、エドルはもっと護衛を連れるべきだよ。
いくら一人で街一つ制圧できる実力があるとしても。
「? 何だよ?」
「何でもない。タイムスケジュールとルートの確認は済んでる?」
「御者達とは打ち合わせ済みだ。途中に寄る宿場はカルタナル、エンラス、ヴォロヴロックの三つ。詐欺神――――は滅神したんだったか?――――の管轄地を抜ける長旅程が心配だけど、ヴォルヴロックまで行けば育みの女神リエラの管轄地だ。そこまで辿り着ければ大丈夫だろ」
「少し東に逸れてトルオスに寄ると良い。ドルトマのアマゾネスハーレムとうちの黒巫女衆本隊が駐留してる。護衛の巫女達に言っておくよ」
「助かる。――――バーサ! ルートを少し修正するから全員を集めてくれ!」
「了解です、若っ!」
エドルの声を機に、方々の面子が集まって休憩所の中へと入っていった。
チェックを受けていた奴隷達が、緊張から逃れて息を吐く。近くの知り合い達と小さく話を始めて、これからどうなるのかと不安の声を漏らしている。
そういえば、彼らには言っていなかったか。
これからどこに行って、何をしてもらうのか。
「ちゅうもーくっ! 私は生の神しなずちっ! 君達を購入した雇い主だ! 今後の君達の処遇について、丁度良いからこの場で説明させてもらうっ!」
出来る限りの大声で、私は奴隷達の意識を集める。
器用に立ったまま寝ている数名を除き、全員が私に目を向けた。
神と聞いて疑いばかり篭っているが、足から触手を生やして身体を持ち上げると畏怖の念が視線に加わる。まるで邪神に向けるようなそれは些か心外で、明るい笑顔を努めて作って無害である事をアピールする。
あ、ダメだ。逆に警戒された。
親は子を、男は女を、腕に覚えのある者は自ら前に出て背後の者達を守ろうと身構える。
うん、良いんだけど…………良いんだけど、私に対してそれは……ねぇ?
「君達を含めた九百名余りの奴隷には、アングルーム大荒野へと旅立ってもらう! 目的は彼の地の開拓だ! 相応に辛い日々を強いる事になるが、希望はあるから頑張ってほしい!」
「何が希望だ! どうせ家畜みたいに使い潰す気だろう!」
「神だなんてどうせ嘘なんだろ!? 詐欺神の使い走りか!?」
「おうちにかえして! おねがい、なんでもするから!」
恐怖から混乱に、混乱から恐慌に、彼らと彼女らは様々な感情を私に向ける。
落ち着かせるために、何でもすると言った小娘を触手で巻いて手元に寄せた。なかなか可愛らしい幼子で、まだ男を知るには早すぎる未熟の果実。膨らむか膨らまないかという際の際だが、浮かべる涙と歪んだ表情は男をその気にさせるのに十分な材料だ。
ただ一つ。
焼け爛れた左目付近から肩にかけてが、並みの男を彼女から遠ざける。
「た、たすけ……っ」
不定形に腕を崩し、少女の火傷痕を丸っと包む。
透き通ったゲルの中で、不自然に治癒した赤い肌が崩れて剥がれた。下から現れた肌は他の部分と同じ艶やかな柔らかさを見せ、つい数秒前より健康な美体へと生まれ変わる。
上がっていた非難と不満がぱったり消える。
ダメ押しとばかりに、今度は隻腕の老人を包んで若返らせ、腕を生やしてみせる。片足がない元傭兵の男に脚を生やさせ、翼人の折れた翼を正しく治し、次から次に治して治して治して治す。
正しく、奇跡を見せつける。
「え……? い、いたく、ない……? いつも、ぴりぴりって、いたい、のに……?」
「今までよく我慢したね、良い子良い子。――――さて、失った体を取り戻した喜びに水を差すようで悪いが、これは先払いだ! この治療と、君達を購入した代金を合わせた額を各々には稼いでもらう! 稼ぎきったら後は自由だ! 仕事を続けるも良し、十分稼いで故郷に戻るも良し、事業を起こして家族を呼び寄せるも良し! ゴールは見えたか!? 何をすれば良いか理解できたか!? 仕事の内容は早い者勝ちだから、稼ぎたい奴は馬車に乗れ! そうでない奴は最後の便でゆっくり行け!」
「お、おれ、乗る! ちょちょちょっとどいてくれ!」
「おい、俺が先だ!」
「私は自分で飛んで行って良いですか!?」
我先にと、興奮した奴隷達が馬車に走り乗り込んでいった。
分かりやすい目先の利益と目標があると、人は割と簡単に動ける。乗せられていると気付かず、自分で乗ったと勘違いする。
自らの意志で、他人の意志に動かされる。
ちょっと悪い気はするが、嘘は言っていないから問題はないだろう。特に仕事について、内容は早い者勝ちだが、稼げる額は大体同じだ。技術を活かした副業とかをやれば差がつくものの、そうでないなら老若男女大差はない。
平等に、全員一緒のスタートを切る。
「これで一段落かな?」
「勝手なことしやがって…………御者達にルート変更を伝えて来た。奴隷達の熱が冷めない内に出発させる。この小娘はどうする?」
「お行き。たくさん稼いで、また家族一緒に暮らせるように」
「は、はい! いってきます、神様!」
おぼつかない足取りで転びそうになりながら、少女も馬車へと走っていった。
乗車確認が済んだ端から、次々に馬車が出立していく。何人か私に向かって手を振ってくれて、無事な旅路と幸福を願い、手を振り返した。
おおよそ二十日の長い旅程。
終わればそこからが彼らの新生活だ。稼いで稼いで稼いで稼いで、私達の思惑通りに行く事を願う。
『キサンディア。上手くいくかな?』
『いきますよ。奴隷を利用した北への資金注入はこれで完了しました。人口減少との相乗効果で、短期的に経済は持ち直す筈です。傘下の国々にはカロステン王国のドゥアーノ大臣を通じて、至急の経済対策を取ってもらうよう通達してあります。後は開拓村から出荷される食料と資材で市場が潤えば、今回の騒動は収まるでしょう』
『後は黒幕探しか…………そうだ。リエラ、アングルーム大荒野は樹海になった?』
『端が少し残ってますけど、あと数日で全部森に覆われます。魔獣達の営巣も始まっているので、開拓村が出来る頃には立派に未開拓の樹海になりますよ? それと別件ですが、屈服調教中だったドガちゃんが社から逃げたので捕まえてください。しなずち様のを挿れたままなので、どこにいるかはすぐわかりますよね?』
『アレ挿れたまま逃げたって正気? 股を閉じられないどころか、地面に足が着かないのに…………あれ? 女戦王国のある北じゃなく、西の炎帝火山を過ぎてトルオスにいるよ? なんで?』
『しなずち、ドルトマから至急の連絡だ。ドガが経済戦争の黒幕を捕まえるから協力しろと言っているらしい。黒幕をお前に差し出して、属神化を免れようという魂胆だ。先回りして全部掻っ攫え。私の教育から逃げた報いをきっちり受けさせてやるっ』
『ヴィラ姉様っ。私も、私もしたいですっ!』
属神間の念話が百合百合しい空気を漂わせ、私は目を手で覆って空を見上げた。
どういうルートで黒幕を知ったかわからないが、その情報を提示すれば取引くらいできたろうに。
ここにはヒュレインがいるから、トルオスまで十分とかからない。必死に逃げて活路を求めて、絶望が迎えに行ったらどんな顔を浮かべてどんな声で啼いてくれる?
凄く、すっごく猛ってきた。
そうと決まればすぐ行動だ。
羽衣を通じてヒュレインとナレアを呼び、残りの者達にはエドルのサポートを命じた。
向こうにはユーリカ達黒巫女衆がいるから、戦力的に十分すぎる。念の為に社待機のシムナに増援を命じ、二・三日中にささっと全部終わらせよう。
そして、ドガも私の属神に。
「…………ん? そういえば、あの辺りの管轄神はリエラ以外滅んでるよね? 経済工作の開始時期も考えると、黒幕になりそうな神はいない?」
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