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秋の章 感謝祭編
72 レイ
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「まるで、元の世界みたいだと思わなかったか?」
王子に敵意が無いと知らしめるように、背もたれに深く沈んでゆったり足を組む。
「あ、あたし……」
レイは傍目に気の毒なくらい震えている。しかし、それを冷たく眺めながら、アルカは肩を竦めた。
「ここはさ、ゲームって言う割に世界情勢が複雑で、言語体系も文化も生態系も独自にあって、ゲームのシナリオに無いことの方が逆に多い。寧ろゲームシナリオの方が些末で、世界の影響を受けてる。今の状況はシナリオに無いだろ?」
ピピ=ティティテスタ大密林、海底神殿然り、レグルスの件も今の軟禁も、全てシナリオとしては成立しなかった。
サマル王太子の1件でさえ、本当に解決したのは自分たち情報室員だ。
「なあ、この世界はゲームに似た、異世界なんじゃないか」
前世の記憶を思い出してから半年以上、アルカがずっと考えていたことだ。
もしかしたら他の可能性もあるが、少なくともゲームではないと、アルカは確信している。
「シナリオライターが、実際にある異世界の一端を垣間見たとか。そういう可能性だってあるだろ」
「そんな、嘘、……嘘だ」
がくがくと顎を震わせ両手で頭を抱えて、レイが声を絞る。
「異世界だなんて……、ゲームが終われば、戻れるんじゃないの……!?」
美しい空色の瞳が絶望に染まり、レイが白い顔でアルカに駆け寄る。
驚いて走ってきた王子が遮蔽の結界に阻まれて、見えない壁を何度も叩いた。
「教えてよ!お兄さん!あ、あたし、どこにいるの!?もう帰れないの!?パパ、ママ、じいじにばあば、友達、皆にはもう会えないの!?」
膝に縋る指が白むくらいに、強い力で揺すられる。
「あたし、夢から覚めないの……?」
レイに憑依した真央は、女子高生だと言っていた。
ここで生まれ育った記憶と人格があるアルカと違って、どうしようもなく怖かったのかも知れない。
怯えて目を見開いて震える幼い顔に、もう顔を思い出せない前世の妹が重なった気がした。
「……もしかしたら」
そう口を開き掛けたところで、ズシンと沈むような威圧を感じてハッとする。
王子もレイも腰を抜かして、へなへなと床に座り込んだ。
「話はまた今度!」
防音結界を解くと、海底神殿で見覚えのある王家の影が、血相を変えて部屋に飛び込んで来た。
「アルカ殿!!ギルド副代表が……!」
いっそ禍々しいと言えるほどの魔力の迸りが感じられる。席を立ち上がりかけたところで、影までもが腰を抜かした。
ゆらと空気を歪めて、開いた扉の先にレグルスが姿を現した。
「ひっ!」
アルカが声を発する前に、レイが悲鳴を上げた。王子が這って、レイを庇うように抱き寄せる。
「アルカに手を出すなと、言った筈だ」
レグルスが足を踏み出す度に、溢れる魔力に空気が歪む。
直視できないほどの威圧と共に、睨まれたレイが蹲り頭を抱える。
「レグルス……!き、貴様、王家に仇なすのか!?」
震えて情けない声で王子が叫ぶと、縦に開き金に輝く瞳孔から、射殺さんばかりの視線が注がれる。
「俺のものに手を出すなら、皆殺しにする」
バシンと、レグルスの体に黒い稲妻が幾重にも走る。
打ちつけ弾けるような音を立てながら、肌を焼く異様な黒い稲妻に、アルカは見覚えがあった。
黒い稲妻に鞭打たれながらも、レグルスは縋る王子など目もくれず、蹲ったレイの襟首を掴んで無理やりに立たせた。
「次は無いと言ったな」
「ぐっ……!」
ガっとレイの細首に、レグルスの片手がかかる。
見る間にレイの顔が赤くなり、王子が首を絞める手を引き剥がそうと縋り付いて藻掻いた。
その度に稲妻が走り、レグルスの火傷が増えていく。
「レグルス!」
咄嗟にレグルスに強く抱き着いて魔力を流した。荒れ狂った黒い稲妻が跳ねて、アルカの頬も一筋焼き切れる。
「……っ、もういい!やめろ!」
「アルカ……!」
開いていた瞳孔が収縮し、いつものエメラルドの瞳が戻って来る。
「大丈夫、俺は大丈夫。話をしてただけ。何もされてない。もう帰るところだった」
「でも、アルカの魔力を感じた……!何か酷いことされたんじゃない……!?」
レグルスが顔を歪めて、アルカを確かめるように上から下まで確認した。
「ごめん、ただ見せ付けてやっただけだから、危害は加えられてないよ。大丈夫だから、帰ろう」
「……分かった」
レグルスの威圧が完全に解けて、その場に居たアルカ以外が漸く呼吸を思い出した。
「では王子、話は終わりです。約定を反故にされた件も、ここで起こった平民との行き違いも、本日は何も起こらなかった。良いですね」
第2王子へ微笑むと、レイを抱えながら幽鬼にでも追われたかの如く震えながら頷いた。
「今後は約定の件、努お忘れなきよう。それでは御前、失礼致します」
アルカはきっぱりと告げると、レグルスの腕を取って部屋を出た。
部屋を出ると廊下に、多数の王宮魔術師と近衛騎士が集まって構えていた。
「王子命で客人として馳せ参じておりましたが、話は終わりました。特に問題はありませんでしたので、お通しください」
アルカは慇懃に頭を下げると、返事を待たずに堂々と歩き出す。
レグルスの威圧に気圧されたのか皆一様に顔色が悪く、構えているのはポーズだけだ。
それが証拠に、アルカとレグルスの歩みに合わせて海が割れるように道が出来る。
誰も手は出そうとはしない。いや、出せないことを知っている。
「化け物め」
忌々しく低く呟かれた声がしたが、アルカは気にせずにレグルスの腕を引っ張って王城を後にした。
広場裏手の通用口を抜けて城から距離を取り、漸く一息吐く。
レグルスを見ると頑なに視線を合わせず、斜め下ばかりを見ている。
まるで、叱られるのを恐れている子供みたいな姿だ。アルカは背伸びをして、体重をかけてしなだれかかった。
戸惑って逃げるように、レグルスが珍しく後退る。
「ごめん、心配かけたな」
頭を引き寄せて額を合わせると、漸く揺れているレグルスの視線が合う。
「……アルカが急にいなくなって、君の魔力が王城からしたから、何かされたんじゃないかって……、頭に血が上っちゃって」
レグルスの顔が泣きそうに歪んだ。そっと火傷痕に障らないように、頬に指が触れる。
「傷付けちゃった……、ごめん」
「馬鹿だな、謝ることなんてない。自分が1番傷付いたろ。すぐ治すよ、ホラ」
レグルスの見えている肌のあちこちに、多数の火傷痕が残っている。見えていない部分も同様の筈だ。
2人まとめてヒールを掛けると、言葉通りどちらの火傷痕も綺麗に消えた。
「助けに来てくれてありがとう。自分を傷付けてまで、守ろうとしてくれて、ありがとうな。……嬉しかった」
大概酷いことを言ってるのは自覚があるが、それでも心の底から喜びが湧いてくる。
レグルスに取って相当不味いことをさせたのは、先ほどの黒い稲妻で理解している。
それでも自分を優先してくれたレグルスに、いっそ傲慢な笑みが漏れる。
確かにレグルスを殺すのは、自分かも知れない。
それ程に、この男は自分を選ぶのだ。自分の命を天秤に賭けても。
「でも、俺が治せないくらいの無茶はするなよ?……お前に何かあったら、俺だっておかしくなる」
人目など、もうどうでもいい。唇をしっかり合わせて魔力を送り込む。先程でかなり消費した筈だ。
強張っていたレグルスの身体から力が抜けて、ぎこちなく腰に回されていた手も、いつものように支えてくれる。
危うい。余りにも危うい献身だ。だけど手放せない。絶対に。
間違えないようにしなければいけない。間違えれば2人とも、身を滅ぼすだろう。
何があっても、どんな方法を使っても、この男を守る。アルカはそう決意した。
性感が高まり過ぎる前に唇を離す。近い距離で見つめ合う瞳を、剥がせないまま囁く。
「今日、家に泊まりに来る?」
「……行きたい」
本当に2人きりになりたいのだと暗に伝えると、レグルスは熱で浮かされたような瞳のまま、苦しげに頷いた。
「じゃあ帰ろう」
手を繋いで歩き出す。間もなく夕暮れだ。秋の日暮れは早い。良い頃合いだろう。
心臓が高鳴るのは多分2人とも同じで、言葉少なくゆっくり並んで歩く。
街は反比例するように宵の喧騒に包まれている。灯り始めた明かりが、祝祭を彩り始めた。
商業区の喧騒を横目に通り過ぎ、平民街の手前で大通りを折れて路地に入る。
「あ、そう言えば、うちのアパートには門番がいるんだよ」
「門番?警備員がいるの?」
「ふふ、そう。すごく強くて格好良くて可愛い。俺に良くしてくれて、しょっちゅう泊まりに来るんだ」
ピシリとレグルスが固まる。
「レグも気に入られるように、ちゃんと挨拶しろよ」
「とま……、え、浮気?……俺、殺しちゃうかも」
いつもの調子でからかうと、レグルスが呆然と呟いた。
「ふふ、妬いた?」
「え、冗談?本気?どっち?」
「全部本当だよ?……あ、噂をすれば」
通りの最奥に黒い影が仁王立ちをしていた。アルカの愛する最強の門番、ナン様だ。
しかし、ナンの様子がおかしい。
今までに見たことの無いくらい、毛を逆立てて怒り狂いながら、レグルスを睨んでいた。
王子に敵意が無いと知らしめるように、背もたれに深く沈んでゆったり足を組む。
「あ、あたし……」
レイは傍目に気の毒なくらい震えている。しかし、それを冷たく眺めながら、アルカは肩を竦めた。
「ここはさ、ゲームって言う割に世界情勢が複雑で、言語体系も文化も生態系も独自にあって、ゲームのシナリオに無いことの方が逆に多い。寧ろゲームシナリオの方が些末で、世界の影響を受けてる。今の状況はシナリオに無いだろ?」
ピピ=ティティテスタ大密林、海底神殿然り、レグルスの件も今の軟禁も、全てシナリオとしては成立しなかった。
サマル王太子の1件でさえ、本当に解決したのは自分たち情報室員だ。
「なあ、この世界はゲームに似た、異世界なんじゃないか」
前世の記憶を思い出してから半年以上、アルカがずっと考えていたことだ。
もしかしたら他の可能性もあるが、少なくともゲームではないと、アルカは確信している。
「シナリオライターが、実際にある異世界の一端を垣間見たとか。そういう可能性だってあるだろ」
「そんな、嘘、……嘘だ」
がくがくと顎を震わせ両手で頭を抱えて、レイが声を絞る。
「異世界だなんて……、ゲームが終われば、戻れるんじゃないの……!?」
美しい空色の瞳が絶望に染まり、レイが白い顔でアルカに駆け寄る。
驚いて走ってきた王子が遮蔽の結界に阻まれて、見えない壁を何度も叩いた。
「教えてよ!お兄さん!あ、あたし、どこにいるの!?もう帰れないの!?パパ、ママ、じいじにばあば、友達、皆にはもう会えないの!?」
膝に縋る指が白むくらいに、強い力で揺すられる。
「あたし、夢から覚めないの……?」
レイに憑依した真央は、女子高生だと言っていた。
ここで生まれ育った記憶と人格があるアルカと違って、どうしようもなく怖かったのかも知れない。
怯えて目を見開いて震える幼い顔に、もう顔を思い出せない前世の妹が重なった気がした。
「……もしかしたら」
そう口を開き掛けたところで、ズシンと沈むような威圧を感じてハッとする。
王子もレイも腰を抜かして、へなへなと床に座り込んだ。
「話はまた今度!」
防音結界を解くと、海底神殿で見覚えのある王家の影が、血相を変えて部屋に飛び込んで来た。
「アルカ殿!!ギルド副代表が……!」
いっそ禍々しいと言えるほどの魔力の迸りが感じられる。席を立ち上がりかけたところで、影までもが腰を抜かした。
ゆらと空気を歪めて、開いた扉の先にレグルスが姿を現した。
「ひっ!」
アルカが声を発する前に、レイが悲鳴を上げた。王子が這って、レイを庇うように抱き寄せる。
「アルカに手を出すなと、言った筈だ」
レグルスが足を踏み出す度に、溢れる魔力に空気が歪む。
直視できないほどの威圧と共に、睨まれたレイが蹲り頭を抱える。
「レグルス……!き、貴様、王家に仇なすのか!?」
震えて情けない声で王子が叫ぶと、縦に開き金に輝く瞳孔から、射殺さんばかりの視線が注がれる。
「俺のものに手を出すなら、皆殺しにする」
バシンと、レグルスの体に黒い稲妻が幾重にも走る。
打ちつけ弾けるような音を立てながら、肌を焼く異様な黒い稲妻に、アルカは見覚えがあった。
黒い稲妻に鞭打たれながらも、レグルスは縋る王子など目もくれず、蹲ったレイの襟首を掴んで無理やりに立たせた。
「次は無いと言ったな」
「ぐっ……!」
ガっとレイの細首に、レグルスの片手がかかる。
見る間にレイの顔が赤くなり、王子が首を絞める手を引き剥がそうと縋り付いて藻掻いた。
その度に稲妻が走り、レグルスの火傷が増えていく。
「レグルス!」
咄嗟にレグルスに強く抱き着いて魔力を流した。荒れ狂った黒い稲妻が跳ねて、アルカの頬も一筋焼き切れる。
「……っ、もういい!やめろ!」
「アルカ……!」
開いていた瞳孔が収縮し、いつものエメラルドの瞳が戻って来る。
「大丈夫、俺は大丈夫。話をしてただけ。何もされてない。もう帰るところだった」
「でも、アルカの魔力を感じた……!何か酷いことされたんじゃない……!?」
レグルスが顔を歪めて、アルカを確かめるように上から下まで確認した。
「ごめん、ただ見せ付けてやっただけだから、危害は加えられてないよ。大丈夫だから、帰ろう」
「……分かった」
レグルスの威圧が完全に解けて、その場に居たアルカ以外が漸く呼吸を思い出した。
「では王子、話は終わりです。約定を反故にされた件も、ここで起こった平民との行き違いも、本日は何も起こらなかった。良いですね」
第2王子へ微笑むと、レイを抱えながら幽鬼にでも追われたかの如く震えながら頷いた。
「今後は約定の件、努お忘れなきよう。それでは御前、失礼致します」
アルカはきっぱりと告げると、レグルスの腕を取って部屋を出た。
部屋を出ると廊下に、多数の王宮魔術師と近衛騎士が集まって構えていた。
「王子命で客人として馳せ参じておりましたが、話は終わりました。特に問題はありませんでしたので、お通しください」
アルカは慇懃に頭を下げると、返事を待たずに堂々と歩き出す。
レグルスの威圧に気圧されたのか皆一様に顔色が悪く、構えているのはポーズだけだ。
それが証拠に、アルカとレグルスの歩みに合わせて海が割れるように道が出来る。
誰も手は出そうとはしない。いや、出せないことを知っている。
「化け物め」
忌々しく低く呟かれた声がしたが、アルカは気にせずにレグルスの腕を引っ張って王城を後にした。
広場裏手の通用口を抜けて城から距離を取り、漸く一息吐く。
レグルスを見ると頑なに視線を合わせず、斜め下ばかりを見ている。
まるで、叱られるのを恐れている子供みたいな姿だ。アルカは背伸びをして、体重をかけてしなだれかかった。
戸惑って逃げるように、レグルスが珍しく後退る。
「ごめん、心配かけたな」
頭を引き寄せて額を合わせると、漸く揺れているレグルスの視線が合う。
「……アルカが急にいなくなって、君の魔力が王城からしたから、何かされたんじゃないかって……、頭に血が上っちゃって」
レグルスの顔が泣きそうに歪んだ。そっと火傷痕に障らないように、頬に指が触れる。
「傷付けちゃった……、ごめん」
「馬鹿だな、謝ることなんてない。自分が1番傷付いたろ。すぐ治すよ、ホラ」
レグルスの見えている肌のあちこちに、多数の火傷痕が残っている。見えていない部分も同様の筈だ。
2人まとめてヒールを掛けると、言葉通りどちらの火傷痕も綺麗に消えた。
「助けに来てくれてありがとう。自分を傷付けてまで、守ろうとしてくれて、ありがとうな。……嬉しかった」
大概酷いことを言ってるのは自覚があるが、それでも心の底から喜びが湧いてくる。
レグルスに取って相当不味いことをさせたのは、先ほどの黒い稲妻で理解している。
それでも自分を優先してくれたレグルスに、いっそ傲慢な笑みが漏れる。
確かにレグルスを殺すのは、自分かも知れない。
それ程に、この男は自分を選ぶのだ。自分の命を天秤に賭けても。
「でも、俺が治せないくらいの無茶はするなよ?……お前に何かあったら、俺だっておかしくなる」
人目など、もうどうでもいい。唇をしっかり合わせて魔力を送り込む。先程でかなり消費した筈だ。
強張っていたレグルスの身体から力が抜けて、ぎこちなく腰に回されていた手も、いつものように支えてくれる。
危うい。余りにも危うい献身だ。だけど手放せない。絶対に。
間違えないようにしなければいけない。間違えれば2人とも、身を滅ぼすだろう。
何があっても、どんな方法を使っても、この男を守る。アルカはそう決意した。
性感が高まり過ぎる前に唇を離す。近い距離で見つめ合う瞳を、剥がせないまま囁く。
「今日、家に泊まりに来る?」
「……行きたい」
本当に2人きりになりたいのだと暗に伝えると、レグルスは熱で浮かされたような瞳のまま、苦しげに頷いた。
「じゃあ帰ろう」
手を繋いで歩き出す。間もなく夕暮れだ。秋の日暮れは早い。良い頃合いだろう。
心臓が高鳴るのは多分2人とも同じで、言葉少なくゆっくり並んで歩く。
街は反比例するように宵の喧騒に包まれている。灯り始めた明かりが、祝祭を彩り始めた。
商業区の喧騒を横目に通り過ぎ、平民街の手前で大通りを折れて路地に入る。
「あ、そう言えば、うちのアパートには門番がいるんだよ」
「門番?警備員がいるの?」
「ふふ、そう。すごく強くて格好良くて可愛い。俺に良くしてくれて、しょっちゅう泊まりに来るんだ」
ピシリとレグルスが固まる。
「レグも気に入られるように、ちゃんと挨拶しろよ」
「とま……、え、浮気?……俺、殺しちゃうかも」
いつもの調子でからかうと、レグルスが呆然と呟いた。
「ふふ、妬いた?」
「え、冗談?本気?どっち?」
「全部本当だよ?……あ、噂をすれば」
通りの最奥に黒い影が仁王立ちをしていた。アルカの愛する最強の門番、ナン様だ。
しかし、ナンの様子がおかしい。
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