彼女の事を何も知らない周囲の人々に虐げられる令嬢は、誰にも告げずに家を出てみることにしました。

「婚約を断行してからすでに一か月。十分な時間が経過したというのに、なんという体たらくだ…」

「まさか彼女がこれほど役に立たない存在であったとは…不覚でした…」

 互いに頭を抱えるのは、ナナシアの婚約者であるバーロード男爵とその従者だ。バーロードは社会的な地位を速やかに確立するため、当時十社が提案した婚約案を受け入れた。その案の中には、ナナシアは速やかにバーロードを喜ばせる行いをマスターすることが期待されていたものの、無理やり婚約させられたバーロードは意志が弱く、その期待に答えなかった。あの手この手を試してみたものの、そもそもナナシアは人より秀でるほどの力を持っていたわけではないこともあり、二人の一方的な不満は日に日に募っていく一方であった。
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