婚約破棄の代償を、彼は知らないのでした
「今までは我慢してきたけれど、もうそれも限界だ。僕も人間で、決して仏のような心を持ち合わせているわけじゃないんだ。自分勝手な行動を繰り返す君を許すことはできない。婚約破棄することとしたいが、構わないね?」
あくまで私たちの関係が終わりを迎える原因を作ったのは、私だと言いたいようだ。元はと言えば私を無理やりここに連行し、世間体のためだけに婚約者に仕立て上げたのはそっちのくせに、少し都合が悪くなるとこうして一方的に切り捨てる。だからこそこの人にはこれだけの影響力と地位がありながらも、誰からも純粋な愛情を受けることなく婚約を実現するに至らなかったのだろう。
「そうですか。私だけはあなたを心の底から愛していた自信があったのですが、本当に残念です。今までの女性は皆あなたが望むままに行動されてきたようですが、それでもその人たちは例外なく婚約破棄されここを追い出されてきました。私だけはそうはならないと思い信じていたのですが、期待するだけ無駄だったのですね」
私のこの言葉は決して負け惜しみなわけではない。本当にこう思っていたのだ。建前上は、の話だけれど。
「君がどう思っていようとも、結果につながらなければ意味がない。婚約と言うのはゲームなんだよ。男と女の関係を真に試すためのゲーム。そして当事者と言う名の駒を、世間体と言う名の周りの人間は観察している。だからこそ僕たちは、最後まで駒としてその人たちの期待にこたえなければならないんだ。そこに僕や君の思いは関係ない」
要するに彼は、あくまで周囲の人間からの印象のためだけに婚約を考えている、ということだ。別にそれを否定するつもりはないけれど、そんなにも悲しくてむなしい考え方はない。
「婚約破棄、同意させていただきます。あなた様に今後、心からの幸せが訪れることを、心の底から祈っております。それこそ、私たちの関係が懐かしくなってもなおそう思えるような関係を」
あくまで私たちの関係が終わりを迎える原因を作ったのは、私だと言いたいようだ。元はと言えば私を無理やりここに連行し、世間体のためだけに婚約者に仕立て上げたのはそっちのくせに、少し都合が悪くなるとこうして一方的に切り捨てる。だからこそこの人にはこれだけの影響力と地位がありながらも、誰からも純粋な愛情を受けることなく婚約を実現するに至らなかったのだろう。
「そうですか。私だけはあなたを心の底から愛していた自信があったのですが、本当に残念です。今までの女性は皆あなたが望むままに行動されてきたようですが、それでもその人たちは例外なく婚約破棄されここを追い出されてきました。私だけはそうはならないと思い信じていたのですが、期待するだけ無駄だったのですね」
私のこの言葉は決して負け惜しみなわけではない。本当にこう思っていたのだ。建前上は、の話だけれど。
「君がどう思っていようとも、結果につながらなければ意味がない。婚約と言うのはゲームなんだよ。男と女の関係を真に試すためのゲーム。そして当事者と言う名の駒を、世間体と言う名の周りの人間は観察している。だからこそ僕たちは、最後まで駒としてその人たちの期待にこたえなければならないんだ。そこに僕や君の思いは関係ない」
要するに彼は、あくまで周囲の人間からの印象のためだけに婚約を考えている、ということだ。別にそれを否定するつもりはないけれど、そんなにも悲しくてむなしい考え方はない。
「婚約破棄、同意させていただきます。あなた様に今後、心からの幸せが訪れることを、心の底から祈っております。それこそ、私たちの関係が懐かしくなってもなおそう思えるような関係を」