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生きるために
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「な、なんだこれは……」
後方から呆然とした声が聞こえる。
残りの宝石が守ってくれたのか、それともただの偶然か。ロゼリアとラヴィニアたちは無事だった。
「ラヴィニア、ルキーノ。逃げるわよ!」
二人はどこか放心状態だった。無理もないのだが、この機会を逃してはもう逃げられない。
濛々と土埃を上げる中、ロゼリアは小さな手を取って駆け出す。怪我した人間もおり、敵とはいえ心が痛まないわけではなかったが、仕方がない。
(このまま通りに出て、馬車を捕まえれば……)
しかし、ロゼリアは突然足首を誰かに掴まれ、勢いよく転んだ。
「て、てめぇ、よくも……」
頭から血を流す男がロゼリアを逃がすまいと、倒れた状態で捕えようとする。逃げようともがけばもがくほど、その力は強まり、足首に激痛が走る。
(なんて力なの……)
「ロゼリア!」
「二人とも、先に行って! 大通りに出て、誰かに助けを求めなさい!」
「で、でも」
「いいから早く! ルキーノ、お願い!」
ルキーノは躊躇ったものの、ラヴィニアの手を引いて駆け出した。
ロゼリアが二人を行かせたのは正しかった。
他の仲間がやってきて、ロゼリアの髪を乱暴に掴み上げたからだ。
「うっ、いた……」
「このクソ女が。よくも俺の弟たちを傷つけたな!」
苛立ちをぶつけるように遠慮なしに頬をぶたれた。口が切れて、一瞬頭の中が真っ白になる。
「ガキはどこ行った!」
「くそっ、土埃で何も見えねぇじゃねぇか!」
ロゼリアはその言葉に微笑んだ。
「てめぇ! 何笑ってやがる!」
もう一発叩かれそうになり、「いいの?」と血の味を感じながら訊いた。
「わたしを甚振れば、また爆発するかもしれないわよ」
一度その場面を見せつけたおかげか、ピタリと男の手が止まった。
「無礼な真似はおやめください」
怪我をしているものの、無事であったベルモンド侯爵が進み出て男を止めさせた。ロゼリアは眩暈がして、その場に座り込んだ。
(身体が、すごく重い……爆発を誘発させたことで、わたしの魔力も消費された?)
「王女殿下。あなたはこのようなお力を今まで隠しておられたのですね」
焦るロゼリアの心中や疲れた様子に全く気づかず、ベルモンド侯爵がどこか興奮した様子でロゼリアの力を褒め称えた。
「この力があれば、レオーネの王や王太子を改心させることなど造作もございません。今まで我々を見下していた人間も、あなた様にひれ伏すでしょう。さぁ、ロゼリア様。立ってその力をいかに有効利用するか、我らと共に話し合いましょう」
(……この人、頭がおかしいんじゃないかしら)
逃げようとして爆発を起こしたというのに、なぜ協力すると思えるのだろう。
「ロゼリア様。さぁ、早く立つのです。――素直に来てくださるのならば、あの子どもたちは見逃してあげますよ」
「っ」
逆らえず、問答無用で立たされる。また、あの部屋に閉じ込められる。今度はフェランテも騙せないだろう。無理矢理子どもを孕まされて、彼らの都合のいい人形に戻される。
(そんなの)
「絶対に嫌よ」
ベルモンド侯爵を押しのけ、ロゼリアは逃げようとする。
「っ! いい加減になさい! あの子どもたちがどうなってもいいのですか!」
「それも絶対に嫌!」
「ならば無駄な足掻きなどせず、大人しく私たちに従いなさいっ」
(嫌。絶対に嫌っ)
もう誰かを守るために自分を偽りたくない。自分を犠牲にしたくない!
(クラウディオ……っ)
「ロゼリア!」
ロゼリアがハッとすると同時に、ベルモンド侯爵のうめき声が重なった。
見れば、肩に投擲用のナイフが突き刺さっているではないか。侯爵は苦悶の声を上げて、その場に蹲った。ロゼリアを拘束していた力も緩み、彼女は重い身体を鞭打って距離を取り、声のした方を見つめた。
(あぁ……)
ロゼリアは相手に駆け寄りたかったが、彼は戦闘の真っ最中であった。
「クラウディオ! 貴様! ぐはぁっ」
憐れな断末魔を上げながら、バルトリ家の人間やヴェストリスの貴族たちが次々クラウディオの剣に切り裂かれていく。彼の戦う所をロゼリアは初めて見たが、恐ろしいほどの迫力だった。
ロゼリアは下手に自分が動いては彼の邪魔になるだろうと、また貧血を起こしたような眩暈と吐き気に襲われてその場で見守ることしかできなかったが、クラウディオ一人で全てを片付けてしまいそうだ。
(そういえば、ベニートは?)
彼は確か爆発が起きた後も、普通にその場に佇んでいた。
一瞬逃げたのか? と思って辺りを見渡すと、物陰に潜むベニートの姿を見つけた。彼は小型のナイフを手にしており、ただじっと戦うクラウディオの背後を見ていた。
(まさか)
ロゼリアの予感は当たる。正々堂々と戦っては勝ち目がないと判断したベニートは他の人間が注意を引きつけている隙にクラウディオの背中を狙うつもりなのだ。クラウディオは武装しておらず、背中はがら空きだった。
(だめ、そんなの……)
気がつけば、ロゼリアは走り出していた。声を上げてクラウディオの注意を促すよりも、力尽きたはずの身体が動いていたのだ。
クラウディオはちょうど正面にいる敵を倒し、背後に気配を感じたのか、振り返ろうとしていた。でも彼が振り返った瞬間、ベニートのナイフはクラウディオの急所に突き刺さるだろう。その前にロゼリアはクラウディオにぶつかって、刃先から彼の身体を遠ざけた。
「っ」
代わりに、ロゼリアの背中に鋭い痛みが走る。
クラウディオはロゼリアの姿が真後ろにあったことに驚き、彼女の背後にいるベニートの存在に気づくと、拳を振りかざしていた。重い一撃が顔面にめり込み、ベニートが吹っ飛ぶ。そのまま地面に打ちつけられて起き上がらなくなったが、死んではいないだろう。
(鼻は、折れてそうだけど……)
「ロゼリア!」
痛みから現実逃避するようにそんなことを思ったロゼリアを、クラウディオが抱きとめた。そして感情を露わにして言い放つ。
「俺を庇うなど馬鹿なことを!」
「だって、あなたを守りたかった、もの……」
クラウディオの瞳が揺れる。背中に目をやり、彼らしくもなく動揺を晒す。
「死ぬな。俺を置いていかないでくれ」
こんな状況だからこそ聞けた彼の本音に思わず微笑んでしまう。本当に、自分は性格が悪い。
「死なないわ。死なないために、ここを脱出しようと、頑張ったんですもの……」
世界で一番安心できる腕の中で、ロゼリアは顔を上げ、愛する人に伝えた。
「クラウディオ。わたし、死にたくないの。あなたと生きたい。あなたと、これからの未来を歩いていきたいの」
母が死んでから、ずっといつか死ぬことを覚悟して生きてきた。クラウディオに出会ってからも、それは変わらなかった。
でも、クラウディオに死ぬのを阻止されて、監禁されて、不器用だけど一途な想いをずっと与えられているうちに、いつしか、生きたいと思うようになった。
「だから、こんな傷で死んだりしない。絶対に生きて、またあなたと、あの庭を歩きたいもの」
「ロゼリア……」
クラウディオはロゼリアの告白を呆然とした顔で聞いていたが、やがてくしゃりと顔を歪めて俯いた。そして、見上げるロゼリアの頬にいくつもの滴を落とすのだった。
後方から呆然とした声が聞こえる。
残りの宝石が守ってくれたのか、それともただの偶然か。ロゼリアとラヴィニアたちは無事だった。
「ラヴィニア、ルキーノ。逃げるわよ!」
二人はどこか放心状態だった。無理もないのだが、この機会を逃してはもう逃げられない。
濛々と土埃を上げる中、ロゼリアは小さな手を取って駆け出す。怪我した人間もおり、敵とはいえ心が痛まないわけではなかったが、仕方がない。
(このまま通りに出て、馬車を捕まえれば……)
しかし、ロゼリアは突然足首を誰かに掴まれ、勢いよく転んだ。
「て、てめぇ、よくも……」
頭から血を流す男がロゼリアを逃がすまいと、倒れた状態で捕えようとする。逃げようともがけばもがくほど、その力は強まり、足首に激痛が走る。
(なんて力なの……)
「ロゼリア!」
「二人とも、先に行って! 大通りに出て、誰かに助けを求めなさい!」
「で、でも」
「いいから早く! ルキーノ、お願い!」
ルキーノは躊躇ったものの、ラヴィニアの手を引いて駆け出した。
ロゼリアが二人を行かせたのは正しかった。
他の仲間がやってきて、ロゼリアの髪を乱暴に掴み上げたからだ。
「うっ、いた……」
「このクソ女が。よくも俺の弟たちを傷つけたな!」
苛立ちをぶつけるように遠慮なしに頬をぶたれた。口が切れて、一瞬頭の中が真っ白になる。
「ガキはどこ行った!」
「くそっ、土埃で何も見えねぇじゃねぇか!」
ロゼリアはその言葉に微笑んだ。
「てめぇ! 何笑ってやがる!」
もう一発叩かれそうになり、「いいの?」と血の味を感じながら訊いた。
「わたしを甚振れば、また爆発するかもしれないわよ」
一度その場面を見せつけたおかげか、ピタリと男の手が止まった。
「無礼な真似はおやめください」
怪我をしているものの、無事であったベルモンド侯爵が進み出て男を止めさせた。ロゼリアは眩暈がして、その場に座り込んだ。
(身体が、すごく重い……爆発を誘発させたことで、わたしの魔力も消費された?)
「王女殿下。あなたはこのようなお力を今まで隠しておられたのですね」
焦るロゼリアの心中や疲れた様子に全く気づかず、ベルモンド侯爵がどこか興奮した様子でロゼリアの力を褒め称えた。
「この力があれば、レオーネの王や王太子を改心させることなど造作もございません。今まで我々を見下していた人間も、あなた様にひれ伏すでしょう。さぁ、ロゼリア様。立ってその力をいかに有効利用するか、我らと共に話し合いましょう」
(……この人、頭がおかしいんじゃないかしら)
逃げようとして爆発を起こしたというのに、なぜ協力すると思えるのだろう。
「ロゼリア様。さぁ、早く立つのです。――素直に来てくださるのならば、あの子どもたちは見逃してあげますよ」
「っ」
逆らえず、問答無用で立たされる。また、あの部屋に閉じ込められる。今度はフェランテも騙せないだろう。無理矢理子どもを孕まされて、彼らの都合のいい人形に戻される。
(そんなの)
「絶対に嫌よ」
ベルモンド侯爵を押しのけ、ロゼリアは逃げようとする。
「っ! いい加減になさい! あの子どもたちがどうなってもいいのですか!」
「それも絶対に嫌!」
「ならば無駄な足掻きなどせず、大人しく私たちに従いなさいっ」
(嫌。絶対に嫌っ)
もう誰かを守るために自分を偽りたくない。自分を犠牲にしたくない!
(クラウディオ……っ)
「ロゼリア!」
ロゼリアがハッとすると同時に、ベルモンド侯爵のうめき声が重なった。
見れば、肩に投擲用のナイフが突き刺さっているではないか。侯爵は苦悶の声を上げて、その場に蹲った。ロゼリアを拘束していた力も緩み、彼女は重い身体を鞭打って距離を取り、声のした方を見つめた。
(あぁ……)
ロゼリアは相手に駆け寄りたかったが、彼は戦闘の真っ最中であった。
「クラウディオ! 貴様! ぐはぁっ」
憐れな断末魔を上げながら、バルトリ家の人間やヴェストリスの貴族たちが次々クラウディオの剣に切り裂かれていく。彼の戦う所をロゼリアは初めて見たが、恐ろしいほどの迫力だった。
ロゼリアは下手に自分が動いては彼の邪魔になるだろうと、また貧血を起こしたような眩暈と吐き気に襲われてその場で見守ることしかできなかったが、クラウディオ一人で全てを片付けてしまいそうだ。
(そういえば、ベニートは?)
彼は確か爆発が起きた後も、普通にその場に佇んでいた。
一瞬逃げたのか? と思って辺りを見渡すと、物陰に潜むベニートの姿を見つけた。彼は小型のナイフを手にしており、ただじっと戦うクラウディオの背後を見ていた。
(まさか)
ロゼリアの予感は当たる。正々堂々と戦っては勝ち目がないと判断したベニートは他の人間が注意を引きつけている隙にクラウディオの背中を狙うつもりなのだ。クラウディオは武装しておらず、背中はがら空きだった。
(だめ、そんなの……)
気がつけば、ロゼリアは走り出していた。声を上げてクラウディオの注意を促すよりも、力尽きたはずの身体が動いていたのだ。
クラウディオはちょうど正面にいる敵を倒し、背後に気配を感じたのか、振り返ろうとしていた。でも彼が振り返った瞬間、ベニートのナイフはクラウディオの急所に突き刺さるだろう。その前にロゼリアはクラウディオにぶつかって、刃先から彼の身体を遠ざけた。
「っ」
代わりに、ロゼリアの背中に鋭い痛みが走る。
クラウディオはロゼリアの姿が真後ろにあったことに驚き、彼女の背後にいるベニートの存在に気づくと、拳を振りかざしていた。重い一撃が顔面にめり込み、ベニートが吹っ飛ぶ。そのまま地面に打ちつけられて起き上がらなくなったが、死んではいないだろう。
(鼻は、折れてそうだけど……)
「ロゼリア!」
痛みから現実逃避するようにそんなことを思ったロゼリアを、クラウディオが抱きとめた。そして感情を露わにして言い放つ。
「俺を庇うなど馬鹿なことを!」
「だって、あなたを守りたかった、もの……」
クラウディオの瞳が揺れる。背中に目をやり、彼らしくもなく動揺を晒す。
「死ぬな。俺を置いていかないでくれ」
こんな状況だからこそ聞けた彼の本音に思わず微笑んでしまう。本当に、自分は性格が悪い。
「死なないわ。死なないために、ここを脱出しようと、頑張ったんですもの……」
世界で一番安心できる腕の中で、ロゼリアは顔を上げ、愛する人に伝えた。
「クラウディオ。わたし、死にたくないの。あなたと生きたい。あなたと、これからの未来を歩いていきたいの」
母が死んでから、ずっといつか死ぬことを覚悟して生きてきた。クラウディオに出会ってからも、それは変わらなかった。
でも、クラウディオに死ぬのを阻止されて、監禁されて、不器用だけど一途な想いをずっと与えられているうちに、いつしか、生きたいと思うようになった。
「だから、こんな傷で死んだりしない。絶対に生きて、またあなたと、あの庭を歩きたいもの」
「ロゼリア……」
クラウディオはロゼリアの告白を呆然とした顔で聞いていたが、やがてくしゃりと顔を歪めて俯いた。そして、見上げるロゼリアの頬にいくつもの滴を落とすのだった。
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