小説「人工子宮」(これからの妊娠出産)

この小説は、産婦人科専門医・生殖医療専門医、医学博士である筆者が、現在の産婦人科医療や生殖医療をベースに科学的架空恋愛小説として書いています。この小説には、人工知能マッチングによるカップル誕生や人工子宮という架空設定を持ち込んでいますが、基本的には現状の生殖医療の実態を踏まえて書いています(https://ameblo.jp/kimori2929にはFictionとNon-Fictionを色分けして掲載しています)。

妊娠出産は、赤ちゃんも母体も大きなリスクを抱えます。また女性は仕事の中断を余儀なくされます。もしも「人工子宮」ができたなら、赤ちゃんにとっても、母体にとっても、妊娠出産が安全なものになり、女性は仕事を続けることができます。

昨今、男女とも結婚年齢が遅くなり、また結婚されない人も増えています。「結婚しないといけない」、「出産しなければならない」ということはないですが、とくに女性は加齢によって、「妊娠しづらく」「流産しやすく」「児の染色体異常発症頻度が高く」なっていきます。妊娠を希望しても、なかなか妊娠できないカップルが5組に1組と増え、体外受精による出生児の割合は、2016年では18人に1人と次第に増加しています。

将来の妊孕性を広げるために「卵子や精子を凍結保存すること」が可能になっています。また「母体血での胎児染色体検査NIPT」や「体外受精受精卵の移植前染色体検査PGT-A」も可能になっています。しかしながら喫緊の課題は、もっと男性関与と社会的バックアップがある「妊娠・出産・育児しやすい環境の創出」ですね。

2016年の厚生労働省データによれば、女性が一生に出産する子ども数の推計値は、1.44人と報告されています。通常、カップル二人で子どもを育てるので人口維持には2.1人が必要とされ、この現状が続けば一世代で約3割の人口減少が続くことになります。

「二人の子どもを育て、その子どもたちが二人の子どもを育てる」と仮定してみましょう。二人で二人を育てる仮定なので人口は変わりません。でも、この状態が続くとするなら「あなた」の子孫は30世代後には数億人いることになります。しかしながら繋がらない生命も多い中、このような仮定はなかなか成立するとは思えません。

しかしながら私たちには、それぞれ母親と父親がいて、その父母にも両親がいました。私たちは、みんな一度も途切れることなく繋がってきたミラクルな存在です。それぞれ30世代も遡れば数億人の祖先がいたことになりますが、そんなに多くのヒトが地球上にいたわけはなく、みんな「どこかで繋がった祖先をもっている」ということですね。「これからの生命の繋がり」について一緒に考えたいと思います。

挿し絵は医学生時代からの友人「kinZoさん」が描いてくれました。ありがとう!
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