【完結】悪役令嬢ライザと悪役令息の婚約者

マロン株式

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第2章事前対策

破滅シミュレーションゲーム?

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 昨日は悪役令息を匂わせる締めとなった、とんだミステリー小説みたいな終わり方だ。ただ笑みを浮かべている少年を見ただけと言えばそうだけど。これから嫌な予感しかしない。
 
 ルイスとの2度目の出会いから一夜が開けた今日。
 もう関わらない事を再度胸に誓って、ライザは朝食を食べに食卓へと向かった。

 戸を開けると、父と母が居て、兄はどうやら朝早くに出かけたようだった。


「おはようライザ、今日は朝食の後、おまえに大事な話があるんだ。」






ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 話があると言われて現在父の書斎にきた。
(丁度良かった。私も話があったし。)


「それで、お父様話とは…。」

「うむ。父さんもな、おまえのように美しく聡明で賢い娘を何処にもやりたくはないんだ。だが、いつか、父さんの手を離れる時が…っく。想像はしたくはないがな…」

「ま、まさか…っ」

  (そろそろ来ると思っていた皇太子との縁談話がついに来てしまったのね…。12歳に婚約話したとゲームで言っていたから、覚悟はしていたけれど…)

 まだ正当に断る理由が思い浮かんでいない。

 ライザは婚約者がおらず、皇太子と同じ年頃。しかも自分で言うのも何だが、その美貌は後に国の3代美女とまで言われる程に将来有望な見た目。そしてライザは我儘だけどそのぶん勤勉で頭も良かった。本当に自分で言うのも何だけど、王妃に申し分ない。王家が指名するのはわかるけど。

 だからこそ、隙がなくて近寄りがたく、後々皇太子に嫌われるらしいんだよね。

 
(記憶が戻るのがもっと早ければ…。せめてあと1年あれば…婚約者を探して別の婚約を取り付けるよう行動出来たのに…そしたら断れたのに。)
 
「大変有難い縁談話がおまえに来ている。」


 父の額から汗が滲んでいる。数ある令嬢の中から王家直々に打診が来るのはかなり栄誉な事だ。
 伯爵家以上の令嬢の中から、厳選に厳選を重ねて選ばれたらしいから、汗の一つも流すだろう。


 ゴクリと喉をならして、父の取り出した見合い写真が、目の前の机に置かれるのをじっと眺めていた。

 

「…ん?何で2つあるんですか?」

「有難い縁談話が2つ来ている。1つは王家。もう1つはアウステル公爵からだ。」

「待ってください、何でアウステル公爵も婚約者候補に?」

「おまえに惚れたんだそうだ。」

(…そう言えば先日そんな事を言ってた様な。)

 なんだっけ。このパターンのルートあったかな。

 いやなかった。

「何でアウステル公爵が王家と迷うくらいに良いと?」

「いやぁ。アウステル公爵家って言えば国で1番の資産家だろう?既に本人が公爵になっているし。他にご兄弟もいないから…正直な話、暫くお世継ぎ出来なくても、おまえの立場は安泰じゃないか。
皇太子はほら。光栄な話ではあるんだが、優秀な第2王子がいらっしゃるから…な?おまえが苦労するかもなぁと。そう考えると迷うと言うか…。」


(成る程。アウステル公爵家であれば、子供が公爵やっているから、あわよくば婚約者の父である自分がアウステル公爵家のお金を管理出来るかもとかも考えてそうね。
小狡い事は考えられるのに何故あの辻褄の合わないめちゃくちゃな自領の内部資料に気付かないのかしら…不思議だわ。

まぁ、私を愛してくれているのは本当だから憎めないのだけど。)
※ウェルネ公爵家の家訓。重要書類を置いてる執務室だろうが何だろうがライザはお家の中全て出入り自由。

 子供は親が思うよりも、いつの間にか色々見抜く様になっているものである。

 

「どちらもお断りして良いですか?」

「ライザ、それは駄目なんだ。そうしてあげたいのは山々なんだがなぁ…。アウステル公爵と婚約すると言う名目でも無い限り王家からの話は断れないし、逆もまた然りなのだよ。」


「どちらかと言われましても…。」

1.ゲームの皇太子ルート
ハッピーエンド=婚約破棄・国外追放 
バッドエンド=婚約破棄・処刑

2.ゲームのルイスルート
ハッピーエンド=ゲーム中盤で娼館行き
バッドエンド=ルイス自らに惨殺される

  因みに1も2も、公爵家は爵位剥奪されて追放されてる。 


(……何これ、悪役令嬢がどう破滅するか自ら選ぶゲームなんだっけ?)
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