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第2章事前対策
選択肢・取り敢えず保留にしてみた
しおりを挟む急に究極な選択肢がきた。攻略対象者の中でバッドエンドになっても、もっと穏やかに死ねるルートの人とか、死亡しないルートの人も居ると言うのに。
やはり焦って行動すると、こう言うミスを引き起こす。大体、記憶を取り戻すタイミングが良くなかった。余程神は私の歩きスマホにご立腹だったのだと思われる。
(……。どっちを選ぶか…。)
初日、過去を思い出した焦りからルイスに好かれる(?)関わり方をしまったミスの反省を踏まえると、焦って答えを出しても良くないわ。
メリット・デメリット。それに伴うリスクをそれぞれ文章に書き起こした上で検討しないと。
でも、それには情報が少ないのが良くないわね。ルイスには会っているけれど皇太子には会っていない…。
「お父様、どちらかの婚約を受けなければいけないのは承知いたしました。お受けいたしましょう。それにあたってお願いが2点ございます。
聞いて頂けないなら私はお父様がお母様に内緒にしている娼館通いの証拠を提出しなければなりません。」
「……う、うむ。よかろう。大事な生涯の伴侶を決める事だ。おまえが慎重になるのも理解できる。申してみよ。」
〝よかろう〟とか言って威厳を保っているようだけれど、目が私と合わない。公爵という生まれながらにチートの肩書を持ちながらも、誰に嵌められるでもなく勝手に爵位剥奪へ追い込まれる程のお馬…コホン。故に子供の私でも扱いがちょろい。
それが悪く働く時が大半だが、こう言う時は助かる。
「まず1つ、考えるお時間を頂きたいです。
2つ、アウステル公爵はともかく皇太子とはお話をした事がございません。ですから、1度婚約を前提としない茶会を設けてください。」
「ら、ライザ…ちゃん。どっちもね。父さんは叶えてあげたいんだけど…。」
(猫撫で声出されても絆されないわよ。それが通用するのはお母様くらいだわ。)
「娼館通いは、月3回ですね。値段的にお身体のお付き合いは無いのでしょうが…となると、本当は誰と会っているのでしょう?」
「!」
「まず、娼館通い月3回と言う事実で、お父様のプライベートは潰れます。実体が明るみに出る事によって社会的に潰れます。」
「……っライザ…。」
「如何なさいますか?娘思いの父親が、いつも怖がってイエスとしか言えない王家に、多少の無理を聞いてもらいますか?
それとも、犯罪者として爵位失っておきますか?」
「………っっわ、わかった。そうだな。確かに生涯の伴侶は大切だな。うんうん。父さんとしても、おまえの目で見て判断して欲しい。そう思っていたよ。
時間はどのくらい必要だ?」
〝そんな事したらおまえの生活も脅かされるぞ!〟と三流の悪役でも思い付きそうな事が全く思い付かない所が、我が父ながら流石である。中途半端な者より好感が持てると思っておこう。
「そうですね…皇太子とお話しする席を設けてから3日ください。
それだけなら、お父様も王家に待ってくださいと言えますよね?」
(これに懲りたら悪の道に引き摺り込もうとする輩とは縁を切る事ね。)
意味深な顔で笑顔を向けたライザの真意に気付いているのか、いないのかはわからないが、父公爵は汗を吹き出しながら、しっかりと首を縦に振った。
「勿論だ、そのくらいであれば私もライザの父として王家に交渉してみよう!」
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