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第2章事前対策
ライザの父は無能力者=ある意味チート能力1
しおりを挟む私の父は〝無能力者〟である。所謂チート能力とも言える。
これだけ聞くと、ファンタジー物語補正によりすっごい活躍しそうな感じもする。底辺から這い上がりそうな期待すべきワードだ。
確かにある意味チートではある。ゲーム補正により高い所から急降下する破壊力の持ち主だ。稀に見る無能力者で主人公側からすると、ある意味大活躍してくれる。
誤解しないで頂きたいのは私こと、ライザは人様の事をとやかく評価出来るほど優れた人間ではない。
だからあまり、人に対して有能・無能などと序列をつける呼び方をするのは自分の矜持として好ましくない。
けれども自分の身に危険が迫っているのだ。
その辺りの明確化は必要になってくるのは仕方ない。
そう割り切ろうと思ったのは今世に来てからだ。油断すると死亡フラグがよりついてくるこの世界を生きる為には現状把握は必須なのだ。
そこで思った。
未来に備えた破滅対策を考えるのは例えるならば、銀行で言う〝企業再生提案〟をする感覚に似ている。
遠くない未来、破綻しそうな危険性のあるものを立て直そうとするところが。
今私がやろうとしてる事にも通ずる物があるので説明すると〝企業再生提案〟とは、企業が借金を返しきれないまま遠くない未来倒産しちゃいそうな時、銀行が対策を企業に対して、文字通り再生方法を提案するやつ。
何故これをするかと言うと、企業が破綻して銀行が借したお金を返して貰えず借金チャラにする手続きをされると、銀行は損をする。今後の顧客も失う事になる。※これをした人は今後、記録が残り、信用度無くなるから何処の銀行でもお金借りれなくなっちゃうやつ。
これをやらせたくない為に〝企業再生提案〟をして、上手くいけばこのまま、銀行の良い商売相手として付き合い続けられるのだ。
貸したお金を返して貰えない状況は皆不幸な大事件!
破滅したら不幸になるのは私と父だけに見えるが、他にも不幸を被る人は出てくる筈だ。断罪する側も嫌な気持ちにはなるだろう。ならなければ断罪しない訳だし。
だから私はさながら、〝企業再生提案〟ならぬ〝人生再生提案〟を考えなくてはならない。※つまらない事言ってすみません。
借金の返済状況…いや、破滅回避状況が芳しくない場合、1度、資料の数値やグラフ、客観的要因に基づいた見解による状況の把握が必要になる。
ー此処まで長々と解説したけれど、一体何が言いたいかと言うと。ー
最も私が懸念しているのが、冒頭で説明した父のチート級な無能力による領地経営管理と爵位剥奪される程の法律違反行為だ。
それも急ぎ抜本的な改革(根本的な所からの改革)や対策が必要なくらいだ。何故なら後2年弱で我々親子は罪が暴かれ、爵位を剥奪され国外追放処分されるから。
しかもどの位緊急でヤバイかと言うと、借金返済出来ない企業より父の無能力はヤバイ。正直此処までくると諦めたい。
父的には悪気ないようだが、根本的な所がグダグダ過ぎる状況なのだ。
まず、経営管理するにおいて基本的な法令遵守の側面が守れていない。
つまり法律に基づいた領地運営が出来ているか?と言う基本的な所。法律違反して爵位剥奪される事になるかもしれない私達に最も重要な部分。企業はともかく、領民の税収が大半の利益である筈の領地経営でやっていける筈の公爵がこれを守れないって相当なものである。
故に何故、この法令遵守が出来ていなかったのか原因を究明して改善する必要があるので先日私は、王立図書館で色々と調べていた訳だ。
今現在において、犯した罪で、ヤバイのがあれば次の段階の対策が必要だから。
「ねぇ、ライザ、この利益の違いは何?」
「これはね、損益を足し引きして、実質的な利益が幾らかと、こっちは全部で収入が幾らかだったかの違い
…って、何故此処にルイス様がいるの?」
執務室に居座ると息がつまるので、最近私は公爵家の喉かな温室庭園にて、少しずつ内部資料の不自然な点の書き出しをしている。
一気にやると疲れるから、急ぎだけどもあまり気合いを入れすぎないようにしているのだ。
そんな事より何故か隣に、悪役令息のルイスが音もなく現れた。
昨日皇太子とお茶会をしたばかりで、3日間は熟慮期間と称して会えませんと父から伝えて貰ったのに。
「さぁ。ライザを呼んでくださいと言ったら、ウェルネ公爵が此処に通してくれたよ。」
(…お父様…何処までチート能力を発揮すれば気が済むのかしら。)
「せ…先日、お返事は3日はくださいと…」
「わたしは君に惚れていると言ったじゃないか。そんな君が婚約話のある他の異性とお茶会をするなんて。心穏やかに放っておく訳無いだろ?」
「え…誰に話を聞いて?」
「勿論君の父親が手紙で、3日待つ理由として教えてくれたよ?」
ライザは顔を両手で覆った。
(現状把握の修正案が必要なようね。父のチート能力を見誤っていたわ。)
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