【完結】悪役令嬢ライザと悪役令息の婚約者

マロン株式

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第3章学園入学

破滅シミュレーションゲーム⭐︎ミッション発生2

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「ちょっと、そこの貴方。下心丸出しでルイス様に近寄らないで頂けます?」

  違います。誤解です。悪役令嬢である私、ライザ・クライスは何も言ってません。自分の席でドキドキしながらヒロインが来るのを待っていました。


「そ、そんな。下心なんて…。」

 ヒロインがすっごい困ってるけど、追い詰めているのは断じて私ではありません。本当です。

「ぁあ嫌だ。しらばっくれる気?
見たわよ、今、ルイス様と目が会って頬を朱らめたのを。こんな貧乏くさい手作りクッキーで男を釣ろうとする発想がいけすかないわ。」

「釣ろうなんてそんな…これは皆と仲良くなりたくて、皆に配っている所で…」

「ふっぅぅぅううううん。まだ親しくない関係だと言うのに手作り?何が入ってるのかわかったものじゃないのに。仲良くなりたいわりに配慮のない事ですわね!」

 気付いただろうか?此処までヒロインを誰も助けようとしない。否、助けに入る度胸がない。

 それはそうだろう。


 この声高にヒロインを詰っている人物は何を隠そう

 この国の皇太子である。

 ヒロインの友達だって、美形皇太子に嫌われたくないのだろう。ヒロインの後ろから数歩下がった。

 そして皇太子の従者が私の方を見ている。〝貴方の受け売りも入っているから何とかしてくれ〟と。




 違うんです。まさか、こんなことになるとは思わなかった。

 あれはそう、丁度一年前のことー
ーーーーーーーーーーー

※急ですが1年前の回想入ります。少しお付き合いください。


 皇太子であるベルンは〝ライザだけずるい!〟と言うのでルイスの領土に遊びにきた。
 ルイスはこの通りの色気と顔だから、社交界前だと言うのにどこで見初められるのか、アウステル公爵宛に女性から数々のラブレターが届き、その中に手作りのお菓子もあった。

 それを見たベルンは高笑いしながら

「ルイス様がいらないなら私が食べてあげる♡」

って言うから私は注意したのだ。

「知らない人からの手作りはだめです。何が入ってるのか分からないでしょう?」

「何かって?」

「たまにですが、自分の体液や、髪やら爪やらいれる者もいるんですよ。」

 これは乙女ゲームの世界。ドリームのヒーローである皇太子やルイスにそんな発想ある訳ないのは知っているし無いとは思うけど、万が一があると思ったし、人の物を勝手に食べようとする戒めの為こう言って止めた。

 どうやら、この言葉が今まで想像もした事がないベルンに衝撃を与えたようで、他人からの手作りに警戒心を抱く様になったらしい。皇太子だから、それは良い傾向だろうと思っていたのだが…。


ーーーーーーー
※以上、回想でした。
↓現在に戻ります。


 ヒロインに対しては大丈夫だろうと思っていたが、どうやら駄目なものは駄目になってしまったようだ。


 いや、もうこの際そんな事はどうでも良い。
 
 現在、とても、意味のわからない状況になっていた。
 
 従者は困った様子で私を見ている。私なら止められると信じている視線だ。何故か私は彼の信頼をいつの間にかえたようで、たまにこうして頼りにされる。「貴方に関わって皇太子は成長なされた…。」と、感動されるくらいには。

 何もした記憶はないけど、いつの間にか恩を売れたならそれに越した事はないだろうと思って、放置しといた結果現在の状況なわけだ。

 だがしかし
 
 此処に私が止めに入ったら100%ややこしくなる様な気がするのは、ただの杞憂だろうか?

(…帰ろう。仲良くなるのは明日でいいや。)

ヒソヒソ…ヒソヒソ…
「もしかして、皇太子とルイス様って。そう言う関係…?」
「えっ!推せるー!」ヒソヒソ…

(……。皆のヒソヒソ話…ほっときたいけど…。)
 
 このまま放って置いたらルイスにあらぬ誤解が生まれ、良き恋の妨げになってしまう。

 この2年弱、悪役令息にならないよう見守ると決めて此処まできた。
 だからわかる。このまま順調に育成出来れば彼は、悪役令息にはならない。

 だけど、まだ危うさもある。

 この学園生活は彼にとって重要な分岐点の1つだ。
 良き伴侶を見繕い、彼が将来幸せな家庭を築く為には、学園での女子とのそう言う経験値は必須だと思う。伴侶としての条件も良い子が沢山いるし。

 だがこのままでは、ルイスが女に興味無いと思われて青春が始まらなくなってしまう。

 (此処まできて…ルイスの幸せを皇太子に妨害させるか!)

「皇太子殿下、落ち着いてください。」







    ーこうして、事態は混迷を極めて行ったー
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