【完結】悪役令嬢ライザと悪役令息の婚約者

マロン株式

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第3章学園入学

破滅シミュレーションゲーム⭐︎ミッション発生4

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(何故かめっちゃ見られてる…。)

 私より年が少し下?と思われる男の子が、じっと私を見ていた。そして、つかつかと歩いて来る。

「とうとうあの女、友達連れて遊びに来た訳?
孤児院は貴族の遊び場じゃ無いんだけど。」

  クレームだ。貴族相手にかなり度胸が居るであろうが、余程腹を立てていたのだろう。それを何故私に言ったかというと、他の3人は人気すぎてクレームを聞いてくれる程手が空いてるのが私しか居ないからだ。

「すみません。もしかして、ご迷惑に思ってました?」

「たまに来るとか、この孤児院に寄付してくれている貴族ならまだ良いけど、あの女はそういう訳でもない。迷惑なだけだ。何故俺達が無償で、時間をさいて貴族の優越感を満たさなくちゃいけない?」

(何だろうこの子、他人とは思えないぞ。)

「いやでも、ほら。子供達は喜んでますから…。自己満て訳でも…。」

「此処にいる子供達は、早々に働き口を探して、勉強させなければならないんだ。暇じゃないし余計な誘惑をしないで欲しい。
あの女が来るようになってから、殆ど勉強時間を削られている。」

「それはすみません。…。」

 何だか申し訳ないと素直に感じたので頭を下げて謝っていると、攻め立てた男の子の方が何かびっくりしていた。

「…おまえは、話が通じるみたいだな。」

「いや、お怒りは当然かと。」

(何故今ので感嘆されるんだろう。)

「俺が幾ら言っても、皆聞かないで遊びほうける。此処にいるこの子だけは、俺の言うことを聞いてくれるがな。」

 そう言われて視線を落とすと、今話している男の子の後ろから、ちらりと私の様子を伺っている幼子と目が合った。しかし、直ぐに引っ込んだ。

 人見知りなのだろう。まぁ、孤児院にはよく居る感じだ。

「…今度私から伝えておきますから、今日の所はどうかお目溢しください。私も無知でありましたこと、お許しください。」

 今世で孤児院にも勉強する習慣があるとは思わなかったわ。でも、孤児は各々成人した時の自立のために孤児院に居る間に自分で生活資金を稼ごうとしているのは知ってる。

 其処に勉強を加えると確かに暇ではない。

「…貴方は、孤児に勉強など必要は無いと言わないのですね。」

「え?」

「…勉強を強いるのは、年長である俺が言い出した事で皆反発しています。」

 (……。この子。)

「…やはり普通の孤児院ではない習慣なんですね。教材等はどうされてるのですか?」

「…俺は、事情があって…ある程度援助を受けられる立場にいますから自分の「ライザ、何してるの?」

 男の子から話を聞こうとしている途中で、ルイスが音もなく後ろから現れて、私の肩を掴んだ。


「ルイス。子供達は?」

「ベルン殿下の所に連れて行ったよ。それよりも、もう帰ろう。ライザはあまり子供が好きではないでしょう?」

(ん?珍しくルイスが帰りたいと駄々をこねはじめた…。遅れてきた反抗期の片鱗かしら。)


「そうね、私が此処にいてもお役に立てなさそうだから、帰りましょうか。」

 私は頷いて、イリンに一声かけて帰ろうと足を踏み出すと、男の子が後ろから声をかけてきた。

「おい、そう言えば、おまえの名前は?
俺はジーク」

「私はライザ。ライザ・クライス
それではご機嫌様、ジーク様。」
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