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第3章学園入学
敗因をどうにかしよう
しおりを挟む孤児院に行ってから数日が経ったー…。その後の観察結果、ミッション1〝ヒロインとマブダチになってお家に招こう〟は失敗する日々が続いている。
敗因はこいつだ。
「ねぇライザ、今日の放課後、このカフェ行かない?最近流行らしいわよ~♡何かウサギのラテアートが超可愛いんだって♡」
「ベルン殿下、何で直接ルイスを誘わないんでしょうか?」
「だぁって、あんた来ないとルイス様、絶対来ないじゃない。」
皇太子に言われて、ちらりとルイスを見ると、私と目があった事で涼しい顔してニコッと笑う。
こんな感じで私がフリーになる放課後がほぼ毎日ない。3人で図書室で勉強したり、3人で乗馬したり、3人で遊びに行ったり何かしら予定が入る。何よりこれ全部皇太子のお誘いと言う名の下にある命令だ。
まぁどの道、皇太子が公務で居ないときもルイスは放課後のチャイムが鳴ると自然と共に帰る流れになり「今日は2人で図書室行こう。」って誘ってくる。
皇太子に振り回された結果勉強が疎かになりそうで、学年3位以内をとるのがやばいと思ってた私は頷いて、学年1位のルイスに勉強教わったりする。因みに皇太子は2位だ。
そう、このルイス、ゲーム本編ではそんな好成績じゃなかった。それは大人しくテスト受けてるキャラではないからだ。
でも今のルイスは良い子にちゃんとテスト受けているものだから、1位から陥落した事がない。
つまり頭が相当よろしかったのだ。おまけに教え方も上手い。勉強教わると言う餌に釣られてほいほいとついて行ったり色々釣られてた結果。
放課後も休みの日もヒロインとの交流をする暇がない。
「…。ルイス、ベルン殿下とカフェに行ってあげて。私は今日速やかに家へ戻って眠りたいわ。」
「ライザ何処か具合悪いの?」
そうでは無くて、流石に1人になりたいと言うのもあるし、今後の作戦を練り直さなくてはならない。このままでは、〝訳わからない〟まま時間が過ぎる。それは良くない。
問題の洗い直しだ。
(ヒロインどうこうの前に、皇太子をどうにかしなければならないわね…。そろそろルイスも私離れさせないとまずい年頃だし。)
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーー
そうは思っても上手くいかないものだ。
「2人でカフェは?」
両脇に居る男2人に問いかけると、ルイスはきょとんとしながら答えた、
「具合の悪いライザを置いて遊びに行く訳ないじゃないか。
今日は公爵家まで送るよ。」
「いやお気遣いなく。うちの馬車が迎えに来るから…」
ライザが断ると、今度は皇太子が口を挟んできた。
「帰りはいつもみたく私の馬車に乗って帰りなさいよ。
遊んだ帰りはそうしてるでしょ?具合悪いなら尚更よ。」
(誰か助けてくれ。)
ライザはそれを聞いてげっそりしながら皇太子にヒソヒソと耳打ちする。
「ちょっと皇太子、今日はルイスと2人になれるチャンスですよ?」
「やぁね、だから、あんたが来ないとルイス様も来ないし、友達が具合悪いのにほっとける訳もないでしょう?」
(……くっ…こう言う時だけまともなのがずるい……)
2人に挟まれて歩いていると、目の前の道に障害物は1人もなく視線がまさに一極集中される。
(何か、何かこの状況を打破できる術はないかしら?)
さっさか歩いてる最中、視力の良いライザの目に、窓の外にある広場でヒロインと第2王子が仲良く話しているのが見えた。
「うそ、いつの間に…。」
「?本当に具合が悪いんだね、ライザ。とても顔色が悪いよ。」
(不味い。いつの間に最優先回避ルートの第2王…)
「……っ?」
思考の途中で浮遊感がして、視界が斜めになった。どうやら今私はお姫様抱っこなるものをされているらしい。
「…ーえ?何…」
あまりの事に、正面を向くとカイヤナイトのように美しく青い瞳が間近でライザを見下ろしていた。
「とても辛そうだから、馬車まで連れて行くよ。遠慮しないで身体をちゃんと預けて。楽にしてて。」
(ごめん。流石の私も鼻血出そう。この乙ゲーやってたと言う事は好みの外見な訳で、私はイケメンに弱いんです。致命傷です。)
「キャァァァ!ルイス様ぁぁ!!、私にもそれやってやって!」
黄色い男の悲鳴の上がる中、ライザは恐ろしい程色香漂う顔面のインパクトとシチュエーションに衝撃を受けて気を失った。
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