【完結】悪役令嬢ライザと悪役令息の婚約者

マロン株式

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第3章学園入学

おねぇさんの相談室3

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 ルイスとの婚約白紙を切り出した私の事が、理解出来ない様子の皇太子を納得させる為に色々と話してみた結果、途中で話題がそれて現在に至る。


「M&A??貴女、学校の勉強の傍そんなものまで勉強していたのね。」

「前にやった株でほぼ確信を持って読みを当て、一気に稼ぐ。みたいな事は滅多にない事ですしね。あの時は直ぐお金が入用だったので結構な額やりましたが。

軽減税率を餌に、新たな若手領民を呼び込む計画には、軽減した分の収益を別途稼ぐ目処も必要になって来るので他にも考えてますが。取り敢えずはこれから勉強しようかと。」

「それにしても…他人の会社って買えるもんなのね。その辺よく分かんないわ。」

「そりゃ相手側が権利を売れば可能ですよ。私は自分が1から会社を立ち上げても上手くいかせる自信はないですが、

代わりに会社の決算書や将来性から会社価値を算出するなら出来ますから。」

「……あらそう。何処でその売りに出てる良さげな会社を見つけてくるの?」

「だから、M &Aです。仲介業者に頼むんですよ。

ただ……私前世では仲介する側でしたが、案件あったら全部本部に投げていたので細かい事がフワッとしてるんですよね…。」

「……。私達さっき恋話してた筈なんだけど、どうして貴女と話していたらお金の話になって行くのかしら。」

「……私にとって興味がない話だからじゃ無いでしょうか…。」

「貴女ねぇ、何故なの?
貴族なんだしいずれ結婚はするでしょ?
何故ルイス様じゃダメなの。」

  折角逸らした話がまた恋話に戻されてしまった。

「じゃあ聞きますけど、話してたら直ぐお金の話になる女と、あの御伽話に出て来るような美男子が、結婚して上手くいくと思いますか?」 
 
 ライザの質問に、皇太子は雷に打たれたような衝撃の走った表情をして、暫くの熟慮した後、結論を出した。

「全然思わないわ。」


「そうですね。わかり切った答えです。ご納得頂けましたか?」

「…でも、納得は出来ないわ。」


「して下さい。そもそも私が婚約白紙にしようと皇太子に関係無いじゃないですか。」

「何言ってるのよ、大有りよ。それで私との婚約話を蹴ってんのよ?あんたは。」

「…無理矢理関係者要素探さないでください。」


「だって、貴女の話聞くほど、もどかしいというか。ほっとけないと言うか。
んー。…とにかく

〝ルイス様に幸せになって欲しい。〟って事しか伝わってこないから余計引っかかるのよ。」

(………)

「は?」

「だってそうでしょ?
貴女に婚約白紙のメリットはないわ。
ルイス様はこの国屈指の資産家であるアウステル公爵家当主で、精霊の事で神殿にも、貴族として王家にも影響力がある。

本人は眉目秀麗で、分かり易いくらい貴女一筋。

貴女が嫁ぐとして、これ以上良い先ある?
それを手放すって…特がないどころか。

婚約した事で得られたウェルネ公爵家への精霊の加護を考えたら、むしろマイナス。」

「……。」

「いっつもお金お金言ってる貴女がそんな事してたら、一体どうしたの?って、誰でも心配するでしょ?」

「…私が皇太子に金の亡者だと思われてる事はわかりました。

でも、そうですね。ルイスに関してはおっしゃる通り利害は関係ありません。
これは私の社会的責任問題です。

あの日に彼を生かすと選択した責任。


両親を亡くし、他に信頼出来、頼れる大人がいない子供が縋ってきたのをきちんと拒絶出来なかった責任。

だから彼がちゃんと自立するのを見届ける責任があるんです。」

「責任って…、」

「猫を拾って家で飼えないからって再度捨てないでしょ?貰い手探しますよね?それと一緒です。」

「その例えは分からないけど。

そこまで考えてるなら、貴女が伴侶として幸せにしたら良いじゃないの。」


「だから、聞いてました?私では問題あり過ぎるんです。
まず、子供を産む行為は出来ません。」

「身を任せれば良いと思うけれど。」

「出来ません。」

「…わかったわよ。あと無理な理由は?」

「私は人を愛せません。

でも、ルイスには特に愛のある幸せな家庭が重要だと思うんですよ。

爺やに聞きました。
アウステル公爵家は事件前、愛に溢れた家であったと。まぁ、あのメルヘンの森見たら分かりますけど。  
だから、ルイスには愛ある結婚をして幸せな家庭を取り戻して欲しいんです。」

「………。ふぅん、まぁいいわ。あと無理な理由は?」




「あとは……。


私が人に愛される資格がありません。」



「何それ、どう言うー…」

  皇太子が言いかけて、学園のチャイムが廊下に鳴り響き、声がかき消された。

「ー、うん。

話してたら、色々平気になってきたかも。
次こそ教室戻りましょうか、皇太子殿下!」

  立ち上がって満面の笑みを向けて来るライザに、皇太子は何処かホッとして頷いた。
 
「…ええ。」







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