中性的美少女とわたしのお菓子な関係 ~砂糖と秘密は甘くて苦い~

にけみ柚寿

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4章 もっといっしょにいたいから!

4-02

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(でも、ケーキ頼まないんなら、なんか悪い事しちゃったかな……)

 ちょっと後ろめたい気持ちを引きずりながら、お店の中をみまわしてみた。
 ふと、『当店のおすすめ』と書かれたポスターに目が止まる。
――おすすめケーキ・おすすめババロア・おすすめクレープ……。
 どれも菓子名と簡単な説明がかいてあるだけなのに、たまらなく美味しそう。

(ああ、もう我慢できないっ!)

 結局、わたしは自分の欲望を抑える事ができなかった。

「あのっ……、ミルクレープと苺のババロアもお願いします!」

 ……またしても高カロリーなものを注文してしまう。すでにガトーショコラを頼んでいるのに……。
 ウェイトレスさんが注文を繰り返す。
 ユーリを見てみると、彼女はやっぱり笑いをこらえていた。

「――以上でよろしいですか?」

「はい」

 ユーリが答えた。

「……ごゆっくりどうぞ」

 ウェイトレスさんは顔を少し赤らめて、そそくさとその場から去っていった。

(あの人、絶対ユーリのこと男だと思ってるっ!)

 うーん。ユーリって、けっこう罪つくりな存在……。
 おもわず、数週間前の我が身を思い出してしまう。
 ……そういえば、わたし、ユーリがスカートはいてるところって見たことないなぁ。

 ユーリってば、いつ会っても男の子みたいな格好をしてるから。
 スラリとしてた美形だから、大人っぽい女装もすっごく似合いそうな気がするんだけどな。
(あ、女の子は“女装”とは言わないか……)

「あのさぁ、ユーリ」
「なに?」

 運ばれてきたケーキをガトーショコラを食べながら、わたしは『ユーリはスカート、はかないの?』って訊こうとした。
 
 でも、やめた。
 
 わたし、前に京花から「莉子はもっと服のセンスみがいたほうがいいよ」って言われて、ちょっとムカっとしちゃったことがあったから。
 着ている服の傾向をとやかく言われるのって、なんか気分よくないよね……。

 わたしが考えすぎなだけかもしれないけど、それでもわたしはユーリにムッとされたくない。
 それに、どんな服を着るかは個人の自由だし。

(だいたい、わたしにファッションセンスが足りないんじゃなくって、京花が服に関心持ちすぎなだけな気もする! 京花、バイト代をほとんど服に使っちゃうくらいだし……)

「……どうしたの?」

 心の中でブツクサ言ってたわたしに、ユーリがふたたび聞き返した。
――やばっ……!
 あわてたわたしは、とっさに別のことを質問した。

「……ケーキたのまなかったけど、ユーリは和菓子のほうがすきだった?」

(うーん。とっさとはいえ、なんかマヌケな質問……)
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