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一ノ瀬アリスさんはマジぱない②
しおりを挟む「改めてまぁ随分と強くなったもんだなぁ……」
俺は眼前の平原に広がる惨状にゴクリと喉を鳴らした。
死屍累々。一〇〇体近く存在した魔角猪は今や一体たりとも見当たらない。俺も多少手助けをしたとはいえ、そのほとんどをこの一ノ瀬アリスがやったのだから言葉も出ないね。
『だから言っただろうが小僧。アリス嬢はよっぽどテメーなんかより面白い素材だってな』
宙にフワフワと浮かぶ魔導本は相も変わらず俺に対してだけクソ生意気だ。燃やしてやろうか。
だいたいアイテムボックスに入っていたということは、俺が国庫強盗した時、根こそぎ奪った品々の中に紛れていたということに他ならない。つまり俺があの窮屈極まりない場所から出してあげた恩人というわけなのだ。
感謝、感謝がまったくもって足りないだろコイツ。ここはガツンと言ってやらねばならない。
「ぐぅ」
「ぐうの音も出ないということかしら……」
『マスターそれ伝わりづらいですよ』
『魔剣ちゃん的にセンスざこ♡ざこ♡』
うるさいうるさいうるさいやい。
上からアリス、聖剣ちゃん、魔剣ちゃん。女子?三人寄れば姦しいとはよく言ったもので俺に対して本当に言いたい放題だ。
いやぁ実際、魔導本の言う通りアリスの潜在能力は凄まじいものだった。そのステータスの数値もさることながら特に魔術が一級品だ。距離さえ稼げれば彼女一人で都市すらも陥落させるんじゃなかろうか。怖い。
というけで言い返したくてもまるで言い返せねーハハハ。
とにもかくにもこの話題だと旗色が悪い。俺はちっぽけなプライドをかなぐり捨てて話題をそらすことにした。
「し、しかし結構な数を倒したもんだね。これはかなりレベルアップしたんじゃない?」
「今のステータスはこんな感じね」
「どらどら……」
俺はアリスの前の空間にポップアップしたステータスを覗き込んだ。
名前 :一ノ瀬アリス
レベル:37
職業 :魔術使い(全)
HP :1500
MP :17700
SP :300
筋力 :200
耐久 :317
魔力 :12563
俊敏 :354
運 :70
おっふ。
俺はステータスを見て二度見どころか三度見した。その他のステータス値は置いておくとして、魔力やMPの値が桁違いだ。
この感じ俺と同じレベルになったら魔力ステータスがとんでもないことになるんじゃなかろうか。単純計算で三倍か?まさに魔術特化の超火力型だ。
アリスさんの逆鱗とかに触れたらマジで消し炭にされかねん。クワバラクワバラ。
あ、ちなみに俺はレベル上がってないです。
なにせ最初に倒した敵が絶対龍種だからなぁ。魔角猪をいくら倒したところでろくに経験値が入らなかったわけだ。クスン。
『アリスちゃんも随分と成長しましたねぇ。私が色々と指導した甲斐がありますよ』
「ちょおまっそれ洒落にならねぇぞ」
まさかの聖剣ちゃんによる問題発言。
ブラックジョークにもほどがあるだろ。アリスはもう怒っていないみたいだが、なんかフワフワした気分になるだろ。やめれ。
『聖剣ちゃんってそういうところあるよね~』
「苦笑いしたほうがいいのかしらね……」
『お前さんらはまことにやかましいなぁオイ』
俺のツッコミに魔剣ちゃん、アリス、魔導本と続いた。
『なんですかなんですか。皆で寄ってたかってか弱い私を苛めるなんて。許せません、ここは私の威光を再確認されるために……ブツブツ』
それに聖剣ちゃんは不貞腐れるようにぶつくさと文句を言い始めた。ブツブツとか本当に言うなよ。
しかしまぁ随分と賑やかになったものである。とりあえず聖剣ちゃんの戯言は置いておくとして、
「よし。目的は達したし都市に戻ろうか」
俺の問いかけに聖剣ちゃん達は力強く頷いた。
あまりにも紆余曲折しすぎたが、とにもかくにも無事に目的は達成することが出来た。新たな厄介事に巻き込まれる前にさっさと都市に戻るとしよう。
しかし、今回の討伐でアリスがあまりにも強くなり過ぎた気がしないでもない。このままでは俺がお荷物になる未来がわりと高確率で見える件について。
無事、日本に戻ったら約束通り三億円くれるかなぁ……?
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