【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

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腹は、出てない

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 2人と合流して買い物に出る。僕達は主に食料と燃料、レイさんは必要な物を持てるだけ。とは言えレイさんは力持ちでは無いので限界まで軽量化、そして省略しなきゃならない。セーナの背嚢くらいの重さに抑えないと多分持ち上がらないだろう。

「寝袋は毛布とどう違うのかしら」

「ゴロゴロしても肌けないのが寝袋だね」

「寝相が良いならどちらでも構わないと思うわ」

「なら毛布にするわ。次はコレを入れる背嚢ね?」

 質問に返すとパパッと考え買い物を決めてしまう。男らしい買い方だが、値段は聞かないのだろうか。毛布、背嚢、カバン、水筒を冒険者御用達の道具屋で。タオル、櫛、石鹸、食器、カトラリーを平民御用達の雑貨屋で。干し肉や硬パン、塩なんかを各食料品店から買っていた。僕達は麦粉と干し肉と干し野菜を70,00ウーラで買い足した。



 部屋に戻って荷物を詰め直しているとノックがあり、作業の手が止まる。

「失礼致します。当館の支配人をしておりますジョアンで御座います。ご挨拶に伺わせて頂きまして御座います」

「はーい。今行くよー」

 女性2人が僕を見るので僕が対応に出ると、ドアの向こうにはさっきよりキレイな格好をした支配人と荷物を持った女性が2人待っていた。

「お招き頂き有難く御座います。改めまして、私、わたくし当館及び、好ましき庭グループにて支配人をさせて頂いておりますジョアンと申します。キング様、当館の対応にご不足などは御座いませんでしょうか」

「館に合わぬ格好で済まなく思います。あの出で立ちでは人目立ちするので許されませ。一晩の宿にするには惜しく感じます。いずれまた機会あらば、必ずや立ち寄らせて頂く事を約束しましょう」

「は、勿体無いお言葉、有難く御座います。して…」

 挨拶が長いな。なんて思いながらセーナと2人レイさんの横で立ってる。作業に戻りたいけど護衛感を出さなきゃだし。支配人は後ろにいた女性2人を前に出し、荷物を差し出して来た。今着てる平民ルックは本当に平民にしか見えなくなる服装だが、女性の一人旅と護衛では不自然故…と言う事で新たな衣装を用意してくれたそうだ。セーナが荷物を受け取って検めると、ローブに皮ズボンとビスチェ。そして木の短杖に小型ナイフの冒険者装備であった。確かに平民の姿でこれからも移動を続けるとなると、セーナが前に言ってたみたいに勘違いした盗賊に襲われかねない。敢えて高いのを選んでなさそうな辺り、支配人の気遣いは確かな物だろうと感じた。

「お気に召す物では御座いませんが、臣よりの気持ちとしてお納め下さいませ」

「有難く頂きましょう。忠臣に感謝を」

 さらに数分話をして、支配人達は部屋を出た。長かった…。ドアに鍵を掛け、ベッドに戻って作業再開。

「ねね、しんって何?」

「臣?国民の事だけど、今の場合、私だとか僕、自分を表す意味ね。あの支配人は平民でしょうから、貴族様相手に難しい言い回しをしたかったのね」

「へー。僕も臣って言ったら格好付くかな?」

「無いわね」「ええ。もっとずっと歳を取ってから使うモノよ」

 子供が使う言葉では無いらしい。

「あ、早速着替えるなら僕外行くけど」

「良い子ね」「ありがとう、まだ良いわ。荷物を纏めてから…そうだわ。ユカタにお使いを頼みたいのだけど」

 レイさんはそう言うと、セーナの持ってた筆記具を借りて、サラサラと何か書き、お金と一緒に畳んで寄越す。金貨じゃないかそれ。

「太っ腹ね」

「見栄は大事なのよ」

「知ってるわ。口止め料込みかしら」

「流石ね」

 何の事やら。とにかく荷物を纏めたら、冷や汗垂れる手紙を持って1階に降りて行き、仕事用の服に着替えた支配人に手紙を渡した。支配人もキラリと光る物を見てこめかみから一筋垂らしてたよ。お礼のお礼に部屋に飲み物持ってって欲しいと依頼され、果実水を入れた水差しとコップをトレイに載せたのを受け取って戻った。







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