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妬み、嫉み
しおりを挟む「割符は家の軒先に飾るものだろ!?」「それより何でお前なんかがエリザベス様の家紋を持っている!?」
この2人も多少の学はあるようで、割符やエリザベス様個人の家紋である事は分かるみたいだ。
「コレは私がユカタへ下賜した物。私が、ユカタに対する信頼を表す物。意味、お分かり?」
「なれば我等にもっ」「そうですともっ」
意味、お分かりじゃないみたい。彼等の親がどうやって割符を賜ったのか聞いた事ないのだろうか。彼等も欲しかったら依頼に同行して働きを見せれば良かったのに。
「貴方方は私とクラスを同じくしているのだから不要では?休暇の後、何人が残っているかは存じませんけど」
呆れたように吐き捨てて、取り巻き達から離れると、ツカツカと足音を鳴らして僕の前。美しいドヤ顔が見下ろして来た。
「貴方を私のパーティーに招待するわ。参加なさい」
「僕もうパーティー入ってるもん」
「無能クラスの分際で!」「役立たずはすっこんでろ!」「荷物持ちはパーティーに入るな!」
散々な言われようだ。取り巻き達の罵詈雑言は教室に居た生徒達を廊下に引っ張り出し、野次馬に背後を塞がれてしまった。
「勘違いなさらないで?お茶会の事よ?」
「お茶会?」
「そう、お茶会。隣町の別邸に下の兄がいらっしゃるの。手紙に貴方の事を書いたら興味を持たれたようなのよ」
「平民風情が貴族様と同席するな!」「身の程を弁えろ!」「粗相して首を撥ねられてしまえ!」
一緒に勘違いしてたクセに元気な奴等だ。だが此奴等の文句も一理ある。
「平民が貴族様の家に行くと帰って来れないって言うよね。それに3人でお茶会するの?僕お茶会なんてした事無いんだけど」
「それだと出入りの商人が居なくなってしまうわ。でもまあ、3人切りでは貴方も気後れするわね。ならレイナ嬢達も誘いましょう。後程招待状を送っておくわ。試験終了の夕方に出立します。旅支度を整えておきなさい?」
「やっぱりパーティーを組む話だった!」「魔物に襲われてしまえ!」「推し通るならお前の部屋を焼き払ってやる!」
寮を焼いたらお前等も困るだろうし、僕への暴言がエリザベス様にまで飛び火してるぞ。エリザベス様は僕が断らないと確信しているのだろう。柔和な笑顔で僕の手を取ると、お待ちしていますわと言ってご機嫌ようした。ご機嫌ようは挨拶らしい。が、正直僕のご機嫌はよろしくない。ギルドに出す課題どうすんだよ。他の町でも受けてくれんのか?…考えても仕方ないので野次馬を掻き分けて学舎を出て、寮の自室で荷造りやら明日の予習等をして過ごした。
「ユカタ君は断れないもんね。私達も快諾したわ」
翌日。試験が終わり女子4人に話を聞くと、レイナ達はお茶会の誘いを受けたと言う。
「エリザベス様は寛容なお方ですが下の兄上様は良くも悪くも素直な方。御学友の首を撥ねたりはしないでしょうが、くれぐれも粗相の無いように」
「ユカタ君が撥ねられたら、私も撥ねられちゃう…」
「アタシは流石に断ったよ?」
なんと、ロシェルは断れたのか!いや、ロシェルは真っ先に撥ねられそうだしこれは英断だろう。
「ロシェルさんは隣町まで同行しますが、お茶会には参加しないと言う事です」
「やはり断れないのか」
「だって、ユカタと一緒に居たいも~ん」
「お茶会には来ないクセに」
「宿屋で大人しくしてるもん」
そりゃあ断れないよな。エリザベス様も譲歩したのだろう。御学友の首が撥ねられるのを見たくはないだろうしね。
斯くして翌日。実技試験の採集でそれは起きた。
「みんな、武器は?ナイフ貸す?」
「コチラはゴミしかありません。レイナ様とジュンさんは中へ」
「僕は持って来たよ」
そして僕は女子達と自分自身に問う。
「覚悟は出来てる?」
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