【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

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いざ、実戦

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「ブフリムの魔石なんてココでしか取らねえよな」「だな、臭ぇし。鉄クズもあったぜ」

 エヴィナが見付けた鉄クズは、ブフリムの武器であるナイフの事だ。外の奴等のとは違って臭くないのが特徴で、ちゃんと研げば使用に耐える、底辺冒険者必携の品でもある。

「敵がいるって事は、今日は手付かずなのかな?」

「皆下へ向かっているのかもね。エリザベス様、私達はいかがしましょうか」

 レイナに問われたエリザベス様は、少し考える素振りを見せて、指示を出す。

私達わたくしも下に向かいましょう。ここよりも道幅が広いと習いましたし。よろしくて?」

 僕を見てどうしたいのか。エリザベス様が先を行きたいって事は、敵の数が少ないのだろう。もしくは他のレイドと付かず離れずの位置を保ちたいのか。僕は目で合図した。

 敵の出ない道を歩き、学生と冒険者を飲み込んで行く階段に辿り着く。流れに乗って階段を降りるとまた広い空間に出た。降りた段数と天井の高さが釣り合わない。鳥が飛べる程の高さがある天井は、地下に潜む飛行型の魔物が屯するための空間なのだとか。数年に1度起こる厄災では、この空間が魔物で一杯になると習ったが、今は学生の休憩地として使われている。

「お、ミルコさんっ」「クリスさんも今からですか!?」

「お前等もう上がりか?」「ちゃんと俺等の分残してあんだろうな?」

 残すも何も、大して殺ってないそうな。タダ働きだし、本職の邪魔も出来ないとあれば学生のやる気なんてこんなモノだ。チョロっと魔物を倒したら魔石を拾ってココで休憩。昼飯食ったらいくつかのレイドと一緒に帰るみたい。正しい判断だ。

「すまねえ!釣れ過ぎちまった!!」

 いざ行かんと通路に入ろうとした所に横槍が入る。他の通路から出て来た学生連中が敵を引き連れて来ちゃったみたい。エリザベス様は行きますわよとそちらを指示し、前衛全員駆け出した。

「元デブは左右を閉めて。マッチョは中央。その他は盾から零れたのを足止め!魔法来るから射線に注意で」

「「「「おうっ」」」」「おうよっ」「おーう」

 敵の数が分からない以上、広い通路から散り散りになられては困るので、密集させる指示を出す。この後はレイナ辺りが指示してくれるだろう。休んでた学生達もその他に加わり敵を待つ。盾の後ろに槍持ちが構え、中々見栄えがする陣取りだ。

「たっ!助かるっ!?ミルコさんっアザー!!」

「クリッさんッ敵は10以上っス!」

「手前ぇのけつは手前ぇで拭け!」

「さっさと戦列に入りやがれ!」

 敵は10以上と聞いてビビる奴は、いる。だがこちらの方が数も戦力も圧倒的に上だ。左右4本の槍に出口を狭められ、バラバラな2列で飛び出して来た敵をマッチョな大剣が足止めする。はみ出る者にも刃物が浴びせられ、後続の足が止まり完全に一塊にする事が出来た。

「火魔法放ちますっ。防御固め!」

 マキか!レイナが撃つのか!?

「前衛、腰落とせーっ!」

 マッチョが左右に退くと同時に僕も声を上げる。2人の間に放たれた火球が密集した敵に向かって一直線に飛んで行き、ぶつかると同時に風が渦を巻いた。エリザベス様の魔法だろう。離れた相手に効く魔法を練習してたからな。

 渦巻く風に火球は爆炎と化し、高い天井一杯に火柱が上がる。装備してない手と頭が熱い。が、敵はそれ所じゃないだろう。動く事も出来ない程の苦痛を味わい、倒れた地面に吸収されていた。

「被害知らせ!」

 皆口々に無いと言う。下手な指示にならなくてホッとした。男共はマッチョの所に寄って行くので、僕は女子の方へ行こう。

「お疲れ~」「ご苦労さん」

「お疲れ様。相変わらず凄い魔法だね」

「あのくらいは居ないと回数が勿体ないものね。それにエリザベス様の魔法も素晴らしい物でした」

「鍛錬の結果ね。融合魔法より威力は落ちるのだけど、その分魔力は抑えられるのよ」

 アレであの威力か。とんでもないな。







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