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留守番の、仕事
しおりを挟むそれから10日して、町に行く事になった。
「僕留守番で良いの?」
「防衛に関して言えばエヴァ達だけでも十分よ」
なら何でと続けると、ゆっくりするんでしょ?と小声で返された。獣人女性の尻尾が揺れる。小声でも聞こえるみたいだぞ?
そんな訳で僕1人留守番になり、皆はオーイに旅立った。行って帰って20日。泊まりが長けりゃ当然長くなるだろう。無事で帰って来て欲しい。でないと食料尽きるから。
「旦那様」
「エヴァさん、どうしたの?」
「お風呂を掃除しますので、手伝ってください」
給排水は僕の仕事なので喜んで手伝いに出る。そして僕は女性達に捕まった。
「うう、狩りに行こうと思ってたのに…」
「無くなってから狩りゃあ良いんですよ」
「旦那様が狩られたら、誰があたい等を慰めてくれるんだい?」
「私、早く旦那様のお子が欲しいです。なので…」
子供達に食べさせなきゃならんので三食の食事と食料の調達だけは徹底してもらった。食事班、食料班、家事班に分けて交代で働きながら、空いた時間は僕と過ごす事になったそうだ。僕の休む時間は子供達に構われて無くなっている。お昼寝は、癒しだ。
「だんだん草食うのも慣れて来たぜ」
今まで肉食だった獣人達が、野草を食べるのに慣れて来た。肉と一緒に煮込んでるから食感が無くなって食べられるのだろう。セーナ達が作ってくれた魔石のおかげで長時間煮込む事が出来るようになったのだ。煮込んだジャリソウはスープを吸って柔らかくなり、元々ポーションの原料なだけあって、頑張った朝の目覚めが良く、元気も良い。
「旦那様、起きてくださいやし。今日はマットを洗濯するんで…もう一汚し、しやしょうかい?」
起きるよ。順番を守らないと泣いて怒られるから。朝食を摂って、狩りに出る。しかし僕は働かせてもらえない。もう1人と一緒に匂いを出す撒き餌にされた。これも順番だ。
昼食を摂って、子供達と遊ぶ。午後になって昼寝の時間となり、子供達が藪の中でごろ寝する中、お守りの1人と重なって寝る。これも順番だ。
夕食を摂って、子供達を風呂に入れる。子供達が湯上りすると、寝かし付けた大人達が風呂に戻って来る。これは順番では無い。世の冒険者は自堕落な生活をしているとよく言われるが、僕はその最たる者ではなかろうか。食って寝て、食って寝るしかしてないや。
3日もすると、子供達の前でも致すようになった。今まで住んでた集落でも、連れ合いになるとどこでも致すらしい。男の子達はまたかと言った感じなので事実なのだろう。一方女の子達は興味津々で聞いて来る。集中出来ないので体の空いてる人に聞いて欲しい。だがこうやって大人のなり方を学ぶんだな。僕の居た村とは大違いだ。
僕に仕事が来た。
「旦那様、敵が来てやす」
敵からの防衛だ。数と場所を聞き、水場へと向かうと、3人の獣人がウォウウォウ鳴いていた。示威行為。戦争の時にやるヤツだ。
「煩い。戦いに来たのか?たったの3人で」
「ウオオオオッ!お前は1人じゃねえか!」
「煩い。1人相手に3人居ても鳴いてないと怖いのか」
「ウォオーーッ!お前にも吠え面かかせてやっぜっ!」
「煩い。吠えてるのはお前等だ。静かに掛かって来い」
「「「ウオオオオオオーッ!!」」」
こっちが武器を持ってないと見て馬鹿みたいに突っ込んで来る。ブフリム並の頭のようだ。そんな頭なら必要ないな。正面に居る1人に掌を翳すと流石に少しビビったか動きが固まる。そして左右の2人の額に矢が突き刺さった。前のめりに倒れる左右の2人を見て、男は完成に動きを止めてしまった。
「な、何してくれよった!?」
「吠えてないで周りを見ろ」
「あがっ」
頭を振ったこめかみに、壊れた槍が突き刺さる。周りには誰も居ない。僕の仕事だからな。
「旦那様!」「お見事!」
遊んでた子供達と一緒に休憩小屋に隠れてた女性達が歓声を上げる。子供達に見せられない物はしまってしまおう。
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