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22 諸悪の根源
しおりを挟む「キングくぅ~ん、元気ぃ~?」
「……何だ夢か」
言葉の通り、王は夢を見ていた。少し離れた所に立ち、舐め腐った口調の女は王の願いを過剰に叶えた大戦犯、女神リーデシャルルであり、異世界で彼女に会うには神殿で祈るか、睡眠時にアチラから訪ねて来るしか方法が無かった。地球の日本に彼女を祀る神殿はなく、コチラから出向く事も出来ないので、王は今の状況が夢の中であると確信したのだ。
「よくも空気を読まない望みの叶え方をしたな」
「セックスしてるじゃなぁ~い。母親に妹ちゃん、お年寄りを若くしてまで~。節操無いわよぉ~?」
「好みの子にモテたかっただけだ!誰が倫理を無視して母親とヤるものかっ」
「毎日毎日種付けしてるくせにぃ~?じゃあもう要らない?」
「……願いを消しても記憶は残すのだろ。なるほど、俺を社会的に抹殺するつもりでこんな叶え方をした訳か」
「あは~、そんな訳ないわよぉ~。キングくんが女性にモテたいって言うからぁ、最大限頑張ったのよぉ~?よぉ~?そ・れ・にぃ、……君が我慢すれば良いだけの話じゃない。《催眠》でも《洗脳》でも使えば抱かなくて済んだのよ?時間を止めてまで女性達とセックスする?好きだったあの子とだけヤってりゃ良かったのに。ねえ?」
「問答無用で拉致られて20年も死に物狂いで戦って来たんだ。貰った物をどう使おうが俺の好きにさせてもらいたいモンだな。それとも俺が好き勝手したのを知った誰かに怒られたか?」
女神の目付きに殺意が籠り、王の身体は魔力を帯びた。
─図星かよ。相手は主神辺りか─
『お前ン所の神だよっ』
「どの神だよ地球の神って。見てるだけで何もしないクセに。それに地球の神は一夫一妻じゃないだろうが」
「はー、メンドクセ」
これがこの女、時と空間の女神リーデシャルルの本性だ。人なんて多少知恵のある動物の1つにしか過ぎず、戯れに愚者の言葉を聞き入れて、異世界から謂れなき人間を拉致し、成す必要のない魔王討伐をさせた。この女のおかげで童貞を捨てられた王ではあるが、この女さえ動かなければ普通の高校生で居られたのだ。
「お前の世界に魔物出っから、後よろしく~」
「あ!?」
闇に包まれ意識が飛んだ。そして王は目が覚めた。
─っ!野郎…。魔法は……使える、か─
王は頭の中で悪態を吐くと、魔法とスキルが使えるかの確認をした。そして両隣で眠る母子に《催眠》を掛けた。
「2人とも、起きて」
「……ん、アナタァ……」「ぉ兄ぃ……」
「正直に答えてくれ。2人は俺の子、産みたいか?」
「産みたいわ…」「赤ちゃん、欲しい~…」
起き抜けの質問に、2人は望む答えを返してくれた。だがそれは叶わぬ事。質問したやり取りを忘れさせて《催眠》を解いた。
「ん…おはよ、アナタ」「お兄ぃ、早起きしたから、して…」
「寝たらしてやらないぞ?杏里、ちょっとだけ、良いかな?」
「…朝ご飯手伝いなさいね?」
王は杏里の双丘にしゃぶり付き、朝の王子を彼女の股に擦り付けた。
─奴なら何かやらかしてそうだし、一応皆も確認しとくか…─
王は気を使いながら登校し、各教室や職員室を駆け回って女達に確認を取った。結果は校内全員問題無し。自分に面倒事をさせた女神はこの状況を見てほくそ笑んでいるに違いないと王は思った。それでも確認に手は抜けない。放課後は町の大人達に会いに行き、夕方には家へと戻った。
「きんちゃん!エクアドルが、お父さんの会社が大変なのっ!」
帰宅して、母が父の話を切り出した。異世界に行く前は何度もあったが、地球に戻ってからは初めての事である。
玄関に迎えに来た母と居間へ直行すると、妹はテレビを見て固まっていた。テレビには夕方のニュース。エクアドルの一部都市が何者かに破壊されていると言うSNS動画が放映され、キャスターが現地に滞在する日本人の安否を心配していた。
「父さんから連絡は?」
王の戻る少し前に電話が掛かって来たと言う。
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