異世界から帰ったのに何かおかしい 〜俺ってそんなにモテてたか?〜

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1 魔王と戦うなんてお断りだね

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「遂に我を屠りに来たか」

 背凭れの長過ぎる椅子に座り、低い声を出そうと努力して小さく噎せるこの女は、この世界を混沌に沈めんと担ぎ上げられた魔王と呼ばれる存在である。名前はいくつかある中で、彼は自身の知る彼女の名を口にした。

「ロシェル。屠りに来たんじゃない。懐柔しに来たんだ」

「キングよ、それでは貴様は還れぬのであろう…ケホッ」

「そんな事は無い…ハズだ」

「ハズとは何だハズとは!ちゃんと言い切りなさいよっ」

─あ、素が出たな─

「俺は女神に言われたんだ。魔王の脅威を払えって。だったら魔王国と人類統合軍を和解させたら良いんだ。不可侵条約とか交易を結ぶとかとか。何度も言って聞かせただろ?」

「ソレが出来たら苦労しないわよっ」

「出来る!やるんだ!俺とお前で!」

 黒くてトゲトゲしてクソダサい服を着たロシェルは、普段はもっと可愛らしい服を好む子だ。こんな姿を強要していた馬鹿な側近は既に殺したし、後釜には穏健派の識者を迎えてある。人の領域を侵す好戦的な魔物も駆逐した。残るは力があっても歩み寄れる者だけだ。取捨選択は終えている。後はお前の一言だけだ。

「俺、元の世界に帰っちゃうけど、お前の事、愛しても良いか?」

 ロシェルの前で両膝を着くと、目の荒い編みタイツを纏った彼女の柔らかい太腿に両掌を添えた。

「連れてっては、くれないのね」

「約束して反故にされたらお前怒るじゃん。嘘つかれるのも嫌いだろ?」

「あっ」

 太腿の上に顔を被せ、俺はロシェルに抱き着いた。腰の後ろに腕を回して引き寄せると、ロシェルの香りは強くなる。無防備な勇者に、魔王は抵抗をしない。ただ優しく髪を撫でた。

「ロシェル」

「な、何…」

「俺の子、作ろう。子供が父親の顔も知らずに育つのは良くないかも知れないが、俺もう我慢できない」

 俺は大きく息を吸うと、北半球の大きく開いた谷間に顔を滑らせ挟み込ませる。俺はずっとこの時を待っていたのだ。ロシェルは抵抗しなかった。玉座に掛けたまま、俺の行為を受け入れた。



何度も告白をした。

その度に断られ、魔物を放たれた。

放たれた魔物を殺し、俺は更に強くなった。

結果、俺は魔王領の奥深く、魔王の居城に辿り着いた。

もう、逃がさない。



「嫌なら殺へ。お前がひゅきら」

「……知ってるわよ。せめて、寝室でお願い」

 寝室へはロシェルを横抱きにして向かった。今日から俺の姫となるのだ。お姫様抱っこをするのは当然だろう。時折啄むようなキスを重ねて長い長い廊下を歩き、魔王の寝室に着くとすぐに体を重ねた。勇者のたがだけでなく、魔王の枷も外れていたのだ。

 勇者と魔王。2人は共に人類と魔人の最強であり、その交合いも壮絶なモノであったと、後に魔王付きのメイドは語る。

「旦那様と奥様のセッ…営みはとにかく長くって、途中お食事やその後のお世話を挟んだり、お風呂に入りながらもずっとなさっておいででしたよ。確か45日?50日?だったかな?その間旦那様のオチ…まあアレが柔らかくなった所を誰も見てませんでしたね。凄いでしょ?何十日もずーっとズポズポドピュドピュ。そうそう、子種の量も凄いのなんのって!ベッドが子種のプールになってベッドの床から溢れ出てたんですよ?もうすっかり孕んでるだろって、当時はみんなで話してたくらいで。悪阻が始まったのが営みの終わりになったんですよ?その後すぐに旦那様は元の世界に帰られたそうですが、王子様のお顔を見れぬままお立ちになられた旦那様は勿体ない事をしましたね」

 勇者、キング・ホナイ。異世界に召喚され、元の世界に戻るために要した期間は約20年であり、勇者は齢37となっていた。因みに童貞を脱却したのもこの歳であった。精力無限の童貞には、ヤメ時が分からなかったようである。









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