異世界から帰ったのに何かおかしい 〜俺ってそんなにモテてたか?〜

もる

文字の大きさ
5 / 61

5 自動発動するスキル

しおりを挟む


 母が、コンドームを買って来た。夕飯の買い出しに出掛けて、コンドームを買って来た。4箱も買って来た。夕飯の材料に囲まれて積み上がりキラキラと輝く姿に母のやる気が感じられた。

「明日届くって、言ってたよね?」

「だって、我慢出来ないんだもの」「私だって、早く初めてシたいもん」

 資本主義社会では多数決が採用される事が多い。少数派の否定は蔑ろにされ、嫌な事でもしなければならない。それが法に反する事であっても。

「とにかく夕飯とお風呂。後俺の勉強が終わってからねっ」

 王は帰宅してから全く勉強をさせてもらえなかった。母が買い物に出掛けた後も妹の樹里に王子をねぶられ、自慰を見せ付けられたからだ。王は耐えた。耐えたが、17歳。互いに口で慰め合ってしまった。妹の口で腰を振ってしまうのも仕方の無い事だろう。

 王は自室で勉強に励む。妹は珍しく風呂を掃除し、母はキッチンに篭った。新しい参考書が買えなかったため復習する事に時間を割いたが、20年も昔に学んだ事がスルスルと解ける。

─おかしい…。少しくらいは、いや完全に忘れてると思ったが、覚えてる?いやこれ覚えてるのか?─

 王はスマホを起動して、適当に未修の問題を検索すると、天を仰いだ。

「うわぁ…」

─解けちゃうじゃん!解法までバッチリ!暗算で解ける問題じゃねーっつーの!!─

 スキルは使ってない…ハズだ。だがアクティブスキルは、技能スキルは…と考えている内に答えに辿り着く。技能スキル《計算》《知識》《記憶》《言語》更には《予測》辺りも悪さをしている事に気付いた。《計算》に於いては見た計算式であれば解法から答えを表せるし、《知識》に於いては王が学んだり経験した事を全て《記憶》している。最も悪いのは《言語》で、王が知らない言語ですら文字と言葉に表せてしまった。

「Quiero encontrarme y hablar con Dios...」

─スペイン語もサラサラのペラペラ…明日からエクアドルに住めちゃうよ…─

 エクアドルは疎か、南米の至る所に行けるのだが、王はそれ所ではなかった。理科・公民・地理歴史に情報。この辺りの知識を詰め込むだけで殆どの大学にも入れてしまうようになってしまったのだ。

─実技と小論文さえなければどこにでも行けるな。まあ実技のある大学は多くないが…─

 スマホを弄り、小論文を検索する。

─理解出来てしまった…─

 王はスマホの電源を落とすと勉強に没頭した。どれだけスキルがチートであろうと勉強は勉強だから。いずれ出会うクラスメイトに、どの参考書を使ったかとか、どうやって勉強したかを聞かれても困らないように、王は勉強する事にした。

─あ、これ《予測》発動してるな─



「お兄ぃ、ご飯」

 部屋の向こうで妹の声が聞こえる。時刻は18時を回っていた。3時間程だが集中していたようで、ほぼ新品であったノートは残り数枚になっていた。スキル《集中》の成果である。

 現代に戻って2度目の食事はカレーライスであった。自室のドアを開けた瞬間から口腔内に期待と言う名の唾液が溢れ、抱き着く妹を引き摺って階段を降りた。

「カレー…、カレーだ…」「お兄ぃ、カレーの匂いで勃起してるの?」

 スパイスの香りが性腺刺激ホルモンに作用して…等と言う事は無いだろう。だが王は溢れる唾液を飲み込みながら勃起していた。昨日までの20年間、得る事の出来なかった香りの爆弾に、脳が食欲と性欲を取り違えたのかもしれない。

「2人共、手を洗ったら配膳手伝いなさい」

「はーい」「お、おう…」

 妹がシンクで手を洗うのに続き、王も倣う。妹が出しっ放しにした水で手を洗い、コックを閉めた。

「ちょ、母さん?」

「おはぁはん、おはんうふったお」

 正しい発音が聞き取れない母の口は、王のコックを納めていた。《言語》によると、母は夕飯を作ったと言っている。食事を作ったご褒美でも欲しいのだろうと、王は《予測》した。










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模るな子。新入社員として入った会社でるなを待ち受ける運命とは....。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

処理中です...