±の成り上がり 〜無能と蔑まれる前に気付けた俺の最強卑怯な世渡り術〜

もる

文字の大きさ
64 / 148
3 欲望のままに

同意の上

しおりを挟む


 スコリエラ領の西の大都市、ツェーグンガルトに入ったのはディクストプンを出て64日後。途中足止めを受けてはいたが、それでも飛び切りの軍馬を乗り換えながら移動した場合より早く到着出来たのは、アウディーの人智を超えた肉体Lvによる物以外の何物でもない。

「いらっしゃいませ。ようこそツェーグンガルトギルドへ。初めての来訪ですよね?」

「ああ、とにかく腹が減ってるんだ。美味い店を紹介してくれ。それと、宿もだ」

「はぁ…、それなら……」

 冒険者ギルドの受付で事務手続きをしがてら食事と宿のお勧めを聞く。人智を超えても腹は減るし、眠くもなるのだ。それでも開口一番に放つ言葉ではない。

─寝るか、食事か…─

 アウディーの欲求が溜まっているのも無理はない。今回の移動は途中から迂回路を回っての移動であったが、集落の殆どは小さな物で食事は自前の肉と乾パンを食べざるを得なかった。更には塩や乾パンも道中のアクシデントにより失ってしまい、味の無い焼いた魔物肉のみとなってしまった。そのため移動を早めようと夜を徹しての移動をして無理をしたのだ。

グーー

 腹が鳴る。睡魔は耳元で囁いて、目に砂を撒く魔物もいて目はしょぼしょぼ。良い男が台無しであった。

 アウディーは宿屋に入る。理由は勧められた食事処より近かったからに他ならない。

「いらっしゃいませー。お客さん初めて?」

「ああ。一晩頼む。眠過ぎて冗談ではないのだ」

 アウディーは金を払い、部屋の鍵を渡されると指定された部屋へと向かう。そして部屋に入り、装備も脱がずにベッドへと吸い込まれた。

 目が覚めて、辺りが闇に包まれている事に気付く。開け放たれたままの窓の外は、室内よりも少し明るく人の声もあり、まだ宵の口であるように感じられた。

「キャッ……やめっ……」

 肉体Lvの高いアウディーにしか聞こえない声。声の主の居場所はこの宿から路地側へ入った行き止まりであると【限定察知・生命】で確認した。

─治安はどこも変わらん…か─

 アウディーはベッドから起き上がると部屋を出る。階段を下ると喧騒が聞こえ、まだ食事にあり付ける事にホッとした。

「お客さん?出掛けるのかい?」

「外の奴が煩くてな。ぶちのめして来るから食事の支度をしておいてくれ」

 宿を出て、声の場所へと急ぐ。

「あぐっ!んぎっ!」

「おい。それは合意の上での行いか?」

「何だっ!?」「お前ぇにゃ関係ねえだろっ!」

「助けっ!いぎゃっ!?」

「首ぃ突っ込むなら怪我すんぜ?」「失せな、雑魚が」

「今助けを求めたな?直接依頼として請けてやろう。お前等の干し肉チンポを二度と立たせなくしてやる」

 その途端、性器所か足腰立たなくなった男達。みるみる内に髪は白く変わって抜けて行き、肉付きは細く、肌は皺を増して行った。

「な…、何?……したの?」

「若いから女を襲おうなんて考えるんだ。年取ればしたくても出来んだろ?」

 女に伸し掛っていた男…だったモノを蹴り飛ばし、手を差し伸べるアウディーは、なるべく優しく返事を返す。流れるような所作に女は見蕩れ、【恩恵】により負の感情を減らされた。見詰め合うだけで、女の唇は彼の唇へと吸い込まれて行った。

「で?連れて来たって訳かい。ウチは連れ込み宿じゃないんだよ?」

「分かってる。落ち着くまでの間だけだ。それに食事すると言ったじゃないか」

 宿の女将に冷たくあしらわれるが、食事が冷めると言われては女将も強くは言えず、追加で少し払って2人分の食事を用意してもらった。

「あ、あの、ありがとう…助けてくれて」

「家まで送るから安心しろ。この街の者なのだろ?」

「ええ。裏通りの向かい。靴屋のメアイーよ」

「アウディーだ。冒険者用のはあるか?」

 残念ながら街用であると言う。そろそろ装備の新調を考えていたアウディーは、この街の店についての話をしながらメアイーと食事を共にした。

「あ…、……こんな所で」

 帰り際の路地裏でメアイーを抱いた。









しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...