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3 欲望のままに
旅立ちの朝
しおりを挟むその日の夜、宿泊客が寝静まった頃に彼女は来た。湯の張られた重い盥を慣れた手付きで抱えた女将を部屋に入れ、盥を置く後ろ姿に抱き着いた。
「お、お客さん…いけないよぉ…」
「キレイに使うから、良いだろ?」
それでしたら…と返す女将。これは女将が指定した合言葉である。夫との関係が希薄である女将だが、相手が望み、女将が受け入れた相手であると合言葉を交わす事が出来ると朝の遣り取りで聞いた。朝は本当に忙しいので困ったそうだが。
「朝は悪かったよ」
「もっと早起きしてくれたら…さ」
「朝勃ちしないくらい頼む」
女将が来るずっと前から上半身を晒していたアウディーは、女将の胸を揉みそう返した。下半身は下着姿で、当然のように女将の腰に硬いモノを押し当てている。
「あン…相変わらず、元気なご立派様だよぉ…はン…。服ぅ脱ぐから、吸っとくれ…」
女将は肩を肌けさせると、力を弱めたアウディーに向き直り、胸を突き出した。彼はこの宿を当たりだと思い、彼女も相手にその気があれば…と思っていた。
女将の胸を揉み、尖端を舐り吸う。アウディーが楽しんでいる間に一糸まとわぬ姿になった女将はアウディーへの反撃を開始する。朝は責められっ放しであったので一矢報いてやろうと思ったのだろう。アウディーの下着から顔を見せる先端に手を遣り上下に扱く。扱いは優しく、しかし男を悦ばせる動きは手馴れた様子。これまでにも気に入った同士で致していたのだろう。
「あは、おっきな坊やだよぉ…。母ちゃんの中に入りたいのかい?」
「んっ、んむっんちゅっ」
返事の代わりに吸い付く圧を高めるアウディーに、女将は胸を押し込んだ。そしてベッドへと押し込まれると腰を下ろし、女将は腰の物へと乗り上げた。胸を舐り腰を突き上げるアウディーと、彼の頭を抱いて腰を振る女将。2人はその姿勢のまま夜遅くまで行為に耽った。
「……朝、か」
「んっ、起きた、ね。今日っ、立つんだろ?」
「忙しいのに、悪いな」
「立ちっ納めさっ、濃いのを、んふっ、頼むよ」
まだ日の昇る前、アウディーは腰の物の快感で目が覚めた。目の前では女将がアウディーの腰に跨っていて、子種を求めて吸い付いていた。昨夜だけだと思っていたアウディーには嬉しい旅立ちとなった。
ツェーグンガルトから幾つかの街を素通りして11日目の昼、スコリエラ家のある領都スコリエラに到着した。本来ならもっと早く着ける予定であったが、街や集落を素通りし過ぎて道を間違える愚を犯した結果、3日程余計に走る事となった。
─まずは食事と、身綺麗にもしておかねば…─
アウディーはいつも通りギルドに立ち寄ると、街に入った手続きと共に食事処を聞き出した。そして紹介された店で食事がてら浴場の場所を聞き、浴場で湯に浸かりながら義母を探す。
─スコリエラは初めてだが、本家はここで合っていたな。義母上は…姉上と一緒か。ならば…─
【限定察知・生命】に映る2つの点が、急に動きを早めた。それはアウディーが【恩恵】を使ったからに他ならない。彼は彼女達に、今から向かうので迎え入れの準備をするよう、予定を増やしたのだ。今からと言う予定が頭を過る2人はさぞ驚いた事だろう。点の動きがそれを現していた。
「アーレったら、急に来るモノですから、驚きましたのよ?」
「そうね。一度も手紙を貰えなくて、寂しくしておりましたのよ?」
案の定、義母ファウメと義姉エテルニアに苦言を呈される。謝る他はない。
「帝国に居りまして、手紙を出せず申し訳なく思っております。母上、姉上、共に益々美しくなられたようで、もっと早くに向かえればと悔やむばかりです」
「お世辞ばっかり。口の達者は女の陰、と言うわ」
「私以外の誰か、と?」
「それは、男ですから」
嘘は言わない。女の勘は男の嘘等簡単に見抜いてしまうから。だが2人は許した。他の母達よりも先に、自分達の元へ来たと知れたから。
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