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3 欲望のままに
秘密の暴露
しおりを挟む「この世に、こんな場所があったとは…」
昼過ぎになりやっと起き出して来たエクサヴァルは、歓待に羽目を外し過ぎたようで未だに眠気を纏っていた。
「昨夜はお楽しみだったな」
「お前もそうなのだろう?」
「まさか、こちらは仕事だよ。買い物は明日にするが、良いな?」
宿賃を稼ぐために働いていると聞いて、エクサヴァルは自分も働くとごねた。が、治療と聞いては何も出来ぬ。大人しく逗留を続ける他はない。
「旦那ぁ、良かったら力ぁ貸しとくれ~」
「望む所だ」
裏口から女の声がして、アウディーはそちらに足を向ける。エクサヴァルも着いて来た。
「あら、お客人も手伝ってくれるのかい?酒樽を入れたいんだけど、1人じゃ転がし切れなくてね」
「どうするのだアウディー」
「店にある空の酒樽と、中身の入ったコレ等を入れ替えるのさ。非力な者は傾けて転がすが、俺やお前なら抱えて移動出来るだろう」
アウディーは割らないようにと注意を促し、酒樽を抱えて見せてやる。エクサヴァルも見様見真似で抱えると、二人で店へと持って行く。
「お客人、力持ちだねぇ。アタイも持っておくれ」
「あ、ああ」
「キャッ、ああっ、素敵だよぉ。そのままベッドに連れてっとくれ」「仕事が先だよっ」「姐さんっ」
姐さんに叱られて仕事が終えた女はエクサヴァルにくっ付いて部屋へ向かった。
「はぁ、勝手なモンだよ。今日明日休むとさ」
「悪いな、厄介者を連れて来てしまって」
「何言ってんだい。坊やがいるってだけで働き手が増えんだよ。コッチは大助かりさ」
アウディーとの治療が終わると客を取り、仕事が終わると治療を受ける。女達はアウディーの治療が欠かせなくなっていた。
「アウディーよ、もうしばらくココに逗留したい」
翌日。ちゃんと朝食に顔を出すエクサヴァルは真面目な顔で欲望を声にする。快楽に溺れたのかと思ったがそうではなく、女を悦ばせる技術を身に付けたいと言うのだ。昨日の女に手取り足取り指導を受けて、悦ばせる喜びに目覚めたそうだ。
「困難な道だが励むが良い。俺は待ってるぞ」
アウディーは応援する。彼もまた長居したかったのだ。歳下の母達に甘やかされ、歳上の母に甘えて過ごすアウディーと、神秘の解明に精を出すエクサヴァル。二人の逗留は10日を過ぎた。
「アウディー!スキルが生えたぞ!?頭に言葉がっ」「「キャッ」」
突然の入室に女達が声を上げて飛び退いた。アウディーはスキルが生えたと聞いて少し驚いたが、驚いたのは彼だけではなかった。
「お前、その抱き方はなん……生えているのか!?2本!」
二人で母を抱いた時は見せていなかった【恩恵】の力を知られてしまった。
「コレはまあ、冒険者の秘密だ。公言するなよ?」
「そんな事をすれば己の嫉妬を晒すだけ。身内の恥等晒すものか」
アウディーは再び女にその身を納め、エクサヴァルに少しだけ【恩恵】の事を教えた。エクサヴァルは女相手に腰を振り、身に付けた技術を披露しながら話を聞いた。
エクサヴァルの取得した【スキル】は《房中術》。アウディーは《剣術》や《基礎魔法》より先にソレかと思うも、それだけ彼は何も出来ない生活を続けていたのだ。彼の成長を素直に喜び、その夜は二人で女達を楽しませた。
「皆、世話になった」
「エクサヴァルを届けたらまた来るよ」
「先にダンジョンだっ。ダンジョンに行ったら必ず戻るっ」
「ああ、体洗って待ってるよ」
エクサヴァルは娼館の女達に受け入れられていた。快楽を与える真摯な態度がその要因と聞く。次は職員として雇ってくれるそうだ。
2人はダンジョンのあるサダッシュへ向かう。エクサヴァルの全力で6日掛かったが、新調した剣の練習をしながらの移動であればなかなかの速さである。
「私が倒した獲物なのだが、な?」
「俺が売った方が高いんだよ」
エクサヴァルは自分で狩った獲物を売る事が出来ず拗ねた。だが明日はダンジョンと聞くと心を躍らせるのであった。
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