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3 欲望のままに
最低二言、多くて五言程度付け加えるのが望ましい
しおりを挟む「はっ、幼少の頃に一度。再び拝謁を賜わる誉、一生の宝となりましょう。国王陛下に於かれましては私如きの為に足をお運び下さり恐悦至極に存じます。隣に御座すは我が義姉の婿、私の義兄となるべくホールブレン帝国よりお迎えしましたエクサヴァル第一王子殿下に御座います」
「うむ、エクサヴァル第一王子であるか」
「今は冒険者で御座います。エクサヴァルとお呼び頂きますればこれに勝る名誉は御座いません。若輩なれど、デラクトス王国に骨を埋めると誓いを立てております故、何卒御力添えを賜りたく存じ上げます」
「うむ。臥せっておると聞いたが、溌剌としておるではないか。婿殿、これはどう言う事か」
「兄上…、生きておられましたかっ。こうして生きて再開する事が叶うとは…夢ではないかと我が目に疑いを禁じ得ません。こんなに嬉しい事はなくっ、ううっ」
「ホティ、久しいね。元気そうで良かった。ここにいるアウディーのおかげで生まれ変わったよ」
「うぐっ、国王陛下。彼の者は我が兄エクサヴァルに間違い御座いません。この様に逞しい姿を目に致しますのは初めてでありますが、この声、この佇まいは確かに私の兄上で御座いますっ…ふぐっ」
「泣かないでくださいましっ。アウディー様、しばらくですわ。エクサヴァル様も初めてお目にかかります。ホトルキンの妻、ミエレですわ」
貴族の挨拶は、長い。元貴族のアウディーを含め、貴族は目上に対しとにかく長い言葉を連ねる事で目上を立てる。ミエレが三言発すれば、アウディーとエクサヴァルはそれ以上に返す。ミエレにとっては歳上の2人だが、爵位は歳とは関係ないのだ。
「お父様、私がアウディー様に呼ばれたのですわよ?そろそろお城に戻って下さいまし」
この場にいる全員がそう思っているが、口に出せるのはこの場でこの子だけである。
「どうせ後で強請るのであれば儂が同席しても構わんだろう。公の場ではないのだ、楽にせよ」
─出来るかっ─
それでも立ち上がる事を許された2人は慌てて近衛に腰の物を外させる。王の前で帯剣等と、その場で撥ねられてもおかしくない状況であったのだ。
「まあ、まずは落ち着け。茶でも出すが良い」「はっ、御用意して御座います」
一人掛けのソファーに国王陛下、左右はミエレとホトルキン。向かいの長ソファーにはアウディー達が座る。威力メイドがお茶を配り、各自に毒味が回るとようやく口を湿す事が出来た。
「エテルニア姉様のお婿様なのにスコリエラ家へ?アットアルメンテ家ではございませんの?」
「あちらの家には弟達がおりますから」
「ジョイエッリからお手紙が届きましたわよ?エンドリュー家も家を離れた、と」
「実かそれは」「え、ええ。お父様はご存知なくって?」
国王陛下も知らなかった事実が5歳になった愛娘から語られて、父はお茶を啜って落ち着きを取り戻すしかない。貴族の家に跡取りが居ない。それは跡を継ぐ意思がないと見なされる。もちろん旅行等で一時期空けるのは問題無いが、不仲で実家に帰るのは問題でしかないのだ。
「……アウメンターレよ、家に戻るつもりは無いか?」
「陛下、命を狙う者の元には戻れません。それに私は冒険者として生きると決めてしまいました。継がせるのであれば弟達に、取り潰すのであれば領民に不利益のなきよう、お願い申し上げます」
とは言うが、正直取り潰すのは勘弁願いたい。アットアルメンテ家の傘下である義母達が不利な扱いを受け兼ねないからだ。その時はその時でエクサヴァルに頑張ってもらうつもりだが。
「公式の場では無い故、儂は聞かなかった事にしておくぞ?良いな?」
一時保留としてくれると言う。すぐに取り潰して後釜がいなければ行政が回らない。知らぬ存ぜぬの振りをして、準備を進めるのが筋であろう。
「お父様、ジョイエッリをお茶会に誘いたいのですけれどよろしいかしら?」
話が変わる。
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