±の成り上がり 〜無能と蔑まれる前に気付けた俺の最強卑怯な世渡り術〜

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3 欲望のままに

男兄弟

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 スコリエラに到着すると、ギルドでの事務処理を済ませ目的地へと向かう。

「……何だか緊張して来たよ」

「女性との付き合い方は散々やって来ただろ?何を今更」

「商売女とは違うだろ」

「……そうだな。俺を愛し、俺が愛する義姉だ。俺が子を残したい」

「お前には愛する母がいるだろう?従兄弟の誕生を胸躍らせて待つが良い」

「コチラが先に仕込んである。故に弟か妹が先だな」

「……」「……」

「お前より先に種付けしてやるっ!」「子玉を切り落としてお前も女にしてやろうかっ!?」

「寝込みでなければやれない癖にっ!」「今なら五分だ!かすり傷で勝負が決まるぞ!?」

「「やるかっ!?」」

「止めんか冒険者っ!!」「貴族街の真ん前で何を騒いでおるっ!!」

 いつの間にか貴族街の入口で対峙していた2人は貴族街の門を守る衛兵に怒鳴られてハッとした。そして得物を抜いていなかった事にホッとする。

「ふぅ、取り乱した」「話が白熱してしまった」

「そ、それがどうして抜剣姿勢になっているのだっ」

「言いたい事を言える仲にならねば、な」「そうだ。私達は家族となる身、これでも仲が良いのだよ」

「はぁ…、だが場所を弁えろ。不敬に当たるぞ」

「ここより先はスコリエラ家、ムーロソ家、タックトルア家の敷地だ。騒ぎを起こしてお怒りを買うな」

 ムーロソ家とタックトルア家はスコリエラ家の寄子であり、広いスコリエラ領の運用を担っている者達だ。街の匂いで判別するに、隅々に手を回せる程の余裕はないとアウディーは見ている。エクサヴァルも同様の反応を返すだろう。

「お前達、馬車が来る。下がれ」「変な気は起こすなよ?」

 ガラガラと音が聞こえ、貴族街の奥から馬車が向かって来るのが見える。アウディーにとっては見慣れた馬車だが、衛兵達が控えろと言うので2人は道を譲り、礼を取って馬車の往来を迎えた。

「アウメンターレ様、お迎えに上がりました。お連れ様もようこそお越し下さいました。私はわたくしスコリエラ家の家令を仰せつかっておりますダリアテーレと申します。長旅でお疲れで御座いましょう、どうぞ馬車へお乗り下さいませ」

「え…」「スコ、リエラ…様?」

「安心しろ、俺はスコリエラの者ではないからな」

「私もそうだ。不敬にならず良かった良かった」

 2人とも『どの口が』と思っているが、笑顔を崩さず馬車に乗る。だが2人が馬車に乗り込んだ後家令が何かを言ったようで、衛兵達は鎧をガチャガチャ震わせていた。

「ダリアテーレと言ったね、あまり虐めないでやりなよ」

「そうだぞ。アレだって仕事をしただけだろうに」

「は。申し訳御座いません。以降はお叱りを賜わりませぬよう、精進致します」

 2人は注意をしたが、スコリエラが泥を被った事を理解していたのでそれ以上の追及はしなかった。

「アーレッ」「お帰りなさい。殿下も遠路はるばる、ようこそいらっしゃいましたわ」

「「「お帰りなさいませアウメンターレ様、ようこそお越し下さいました、エクサヴァル殿下」」」

 貴族にしては短い挨拶だが、家族であればこんなモノだ。

「お義母上、これより息子になる身に殿下呼びは必要ありません。是非エクスとお呼びください。そして貴女がエテルニア嬢ですね?お話はアウディーより聞いておりましたが、麗しいお姿は彼の言葉以上。このエクサヴァル、心ときめいております」

 まだ家族ではないエクサヴァルは挨拶が長い。家格はエクサヴァルが遥かに上だが婿に入るつもりで言葉を連ねている。要するに、エテルニアを気に入った訳である。

「……お口が達者ですこと」「エールー?」

 お相手の方はそうでもないようだ。母に窘められて目を逸らすも、アウディーの方をチラチラ見ている辺り未練がある様子。

「姉上、エクサヴァルは俺には遠く及びませんが良い男ですよ」

「エテルニア嬢、是非お話をさせて頂きたく思います。道中見聞きした事がございます故」

 2人は抜剣した。









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