82 / 148
3 欲望のままに
男兄弟
しおりを挟むスコリエラに到着すると、ギルドでの事務処理を済ませ目的地へと向かう。
「……何だか緊張して来たよ」
「女性との付き合い方は散々やって来ただろ?何を今更」
「商売女とは違うだろ」
「……そうだな。俺を愛し、俺が愛する義姉だ。俺が子を残したい」
「お前には愛する母がいるだろう?従兄弟の誕生を胸躍らせて待つが良い」
「コチラが先に仕込んである。故に弟か妹が先だな」
「……」「……」
「お前より先に種付けしてやるっ!」「子玉を切り落としてお前も女にしてやろうかっ!?」
「寝込みでなければやれない癖にっ!」「今なら五分だ!かすり傷で勝負が決まるぞ!?」
「「やるかっ!?」」
「止めんか冒険者っ!!」「貴族街の真ん前で何を騒いでおるっ!!」
いつの間にか貴族街の入口で対峙していた2人は貴族街の門を守る衛兵に怒鳴られてハッとした。そして得物を抜いていなかった事にホッとする。
「ふぅ、取り乱した」「話が白熱してしまった」
「そ、それがどうして抜剣姿勢になっているのだっ」
「言いたい事を言える仲にならねば、な」「そうだ。私達は家族となる身、これでも仲が良いのだよ」
「はぁ…、だが場所を弁えろ。不敬に当たるぞ」
「ここより先はスコリエラ家、ムーロソ家、タックトルア家の敷地だ。騒ぎを起こしてお怒りを買うな」
ムーロソ家とタックトルア家はスコリエラ家の寄子であり、広いスコリエラ領の運用を担っている者達だ。街の匂いで判別するに、隅々に手を回せる程の余裕はないとアウディーは見ている。エクサヴァルも同様の反応を返すだろう。
「お前達、馬車が来る。下がれ」「変な気は起こすなよ?」
ガラガラと音が聞こえ、貴族街の奥から馬車が向かって来るのが見える。アウディーにとっては見慣れた馬車だが、衛兵達が控えろと言うので2人は道を譲り、礼を取って馬車の往来を迎えた。
「アウメンターレ様、お迎えに上がりました。お連れ様もようこそお越し下さいました。私はスコリエラ家の家令を仰せつかっておりますダリアテーレと申します。長旅でお疲れで御座いましょう、どうぞ馬車へお乗り下さいませ」
「え…」「スコ、リエラ…様?」
「安心しろ、俺はスコリエラの者ではないからな」
「私もそうだ。不敬にならず良かった良かった」
2人とも『どの口が』と思っているが、笑顔を崩さず馬車に乗る。だが2人が馬車に乗り込んだ後家令が何かを言ったようで、衛兵達は鎧をガチャガチャ震わせていた。
「ダリアテーレと言ったね、あまり虐めないでやりなよ」
「そうだぞ。アレだって仕事をしただけだろうに」
「は。申し訳御座いません。以降はお叱りを賜わりませぬよう、精進致します」
2人は注意をしたが、スコリエラが泥を被った事を理解していたのでそれ以上の追及はしなかった。
「アーレッ」「お帰りなさい。殿下も遠路はるばる、ようこそいらっしゃいましたわ」
「「「お帰りなさいませアウメンターレ様、ようこそお越し下さいました、エクサヴァル殿下」」」
貴族にしては短い挨拶だが、家族であればこんなモノだ。
「お義母上、これより息子になる身に殿下呼びは必要ありません。是非エクスとお呼びください。そして貴女がエテルニア嬢ですね?お話はアウディーより聞いておりましたが、麗しいお姿は彼の言葉以上。このエクサヴァル、心ときめいております」
まだ家族ではないエクサヴァルは挨拶が長い。家格はエクサヴァルが遥かに上だが婿に入るつもりで言葉を連ねている。要するに、エテルニアを気に入った訳である。
「……お口が達者ですこと」「エールー?」
お相手の方はそうでもないようだ。母に窘められて目を逸らすも、アウディーの方をチラチラ見ている辺り未練がある様子。
「姉上、エクサヴァルは俺には遠く及びませんが良い男ですよ」
「エテルニア嬢、是非お話をさせて頂きたく思います。道中見聞きした事が色々ございます故」
2人は抜剣した。
9
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる