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3 欲望のままに
貴族気質
しおりを挟む女に対価をもらい始めて3日目。遂に向こうから股を開きに来る者が現れた。そのほとんどはそれを稼ぎにしている者等であったが、ニュールンベルクにはその手の店は無い。即ち知識も組織も無い連中なのである。その者達にプロから教わった知識を授けて癒し、対価を得る。体の調整に金を使う事を嫌った女達だが、客を取れなきゃ食い上げだと理解すると渋々ながらアウディーの言葉を受け入れた。
「みんなが旦那みたいなら良いのに…」
「ソレ、逆に仕事になんないから。旦那のソイツは仕事を忘れちゃうからね」
「……はあ、確かにね。あンたさんが羨ましいよ」
個人商売の女達から話を聞き、男の家へと押し入り話をすると、妻を前にした男は大体観念する。そして犯される妻を見て興奮した。
「見なよ!この糞亭主っ!?あンたのなんか旦那のご立派様に敵うモンかっ、あたしゃ旦那の子を産むよっ!あはあああ~んもっとぉお~ん」
「浮気する度子供が増えるな。頑張って稼ぐ事だっ。んっ、ふっ!」
当然反発して激昂する男も居るが、敵にはならんので返り討ちにして妻を犯す。女の中には嫌がる者もいたが、《房中術》の前には掌を返すしかなかった。
「貴方様、そろそろ皆に奉仕を授け終えましたか?」
屋敷では当然ファルナーを抱く。ベッドの中で一日の報告をし、彼女の質問に答える。
「話は広まったハズだし、明けたら街を出ようと思う。ダンジョンフィーバーを終わらせねばならんしな」
「帝国領、サダッシュですね?話には聞いております」
「私、戦えないけど?」
「俺が戦ってる間、性欲は溜まるんだ」
「私も行きたいですが…、国渡はなりませんね」
「街の女を犯しても良いけど?」
「ギルマスだけだな」
「街々に女が居るのですね」「いや、そうでもないわよ?意外と思うでしょうけど、お金払って女を抱くの、私が初めてなんだって」
「移動が遅くなるからな」
街々に娼館があったなら、村々にまであったなら、アウディーの旅は乗り合い馬車より遅くなっていただろう。それで済む訳が無い。1ヶ所に30日以上逗留する事もあるのだ、性風俗の店が少なかったからこそ、3人の王妃を愛人に出来たりダンジョンフィーバーの発生を遅らせる事が出来たとも言えよう。義兄義弟は死んでいて、《房中術》を覚える事も無かった。そう考えると義兄が生きていて良かった。代わりに義姉との子を成せなかったが。
翌日、2人はニュールンベルクを立った。見送りは遠慮したので門前に待ち人はいなかったが、アウディーは前と隣に立つ者だけを見て進む。
「今日からしばらく、私だけの旦那様だね」
「やっとサリューテを抱けるぞ」
「たまには他のモン食わないと、飽きちまうモンね」
「飽きるか。まあ想いは募って行くがな」
「嬉しい…かな?抱かれるのは好きだけど、さ」
アウディーはサリューテを背負うと森まで走って早速抱いた。サリューテも満更では無さそうであり、移動しながら何度も吐き出されては何度も達していた。
バンデルロウ国境砦を越えてホールブレン帝国に入る。サリューテにとっては初めての国渡りであり、国境砦ではすっかりお上りさんになっていた。
「これからサダッシュだっけ?ダンジョン行くの?」
「そうだな。街で女を抱きたいが、ここに良い女もいる事だし、サダッシュへ向かうか」
「サダッシュにも女はいるでしょ?他にもいるの?」
「右に行けば女のために長居する。左に行けば戦いのために長居する」
「命は誰でも大事、か」
「金にはなるからな。仕事は大事だ」
「そう言えば両替しなかったもんね」
「こっちの金はあるからな。わざわざ手数料を取られたくはない」
「貴族のクセにきっちりしてんね」
「お前はすっかり貴族っ気が抜けてしまって…」
「家が潰れたのってガキン頃だし。14からはずっと体売ってたからね」
「コレからは俺だけにしてくれ」
サリューテは声を出して笑った。上客からは離れない、だと。
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