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3 欲望のままに
ダンジョン不要論
しおりを挟む中一日で到着したサダッシュではギルドで滞在の手続きを済ませると宿を取りに一度ギルドから出て、サリューテに金を渡して自由行動にさせると再びギルドへと向かった。二度手間だがサリューテは戦闘要員ではないので帯同させる事は出来ない。
「女の所に行くんでしょ?」
彼女の言葉は当たっているが、ダンジョンフィーバーを終わらせるために来たのだから主目的はそちらにある。
「久しぶりね。女の匂いがするわよ?」
「男の匂いよりは良いだろ?街には今日着いたばかりだから動き出しは明日以降になる。状況を聞きたい」
執務室に通されるとトロイヤはハグで迎えてくれたが、その実女の匂いを探っていたようだ。
「状況ね。寂しかったわ。ついでにだけど、ダンジョンはパンパンよ?」
─まあ、そうなるか…─
やはり溢れ出すまでフィーバーは始まらないそうで、ここ20日程で他所の冒険者が続々と集まっていると言う。冒険者への対応や人が集まる事で生じる治安悪化への対応で、衛兵隊とギルドは連日忙しい日々を過ごしているとトロイヤは愚痴を零した。
「帝都に行ったヨーヨーシュンはどうした?」
「ああ、アレも帰って来ている。抱くのか?」
「機会があればな。だが戦力を宛にして帝都まで泣き言を吐きに行ったのだろ?成果を聞きたいと思ってな」
「結果としては助力を得たが、半分はお前の成果と言えるな」
「俺の?…ほう、俺も名が売れたモノだな」
「国賊としてか?お前が見付けてアラグリーラ殿が献上したアーティファクトのお陰でな。陛下が財と兵をお出しくださったそうだ。しかし叔母も驚いていたぞ?アラグリーラ殿とお前が師弟であると聞いたそうでな」
「事実無根だな。俺に功績があるのなら、叔母殿には礼を尽くしてもらわねば、な」
「そうか、私は飽きられたか……」
「疲れてそうだから遠慮しただけだ。お前が居なけりゃフィーバーなんて知らんで通して、ディクストプンで女を抱いてたんだぞ?」
「ならば証拠を見せてみろ」
ならばと証拠を見せてやる。そしてソファーでイチャイチャしている所を女性職員に見られて追い出されるアウディーなのであった。
ダンジョン関係の話が出来ぬままギルドを追い出されたアウディーは、仕方無くダンジョンアタックの支度に勤しむ。街を歩いて消耗品の買い出しをした。
「ん?量が減ったか?」
買い物をしていて感じた物価の高騰。それは商品の量として現れていた。アウディーであれば乾パンや乾燥野菜等簡単に増やせてしまうが市井の生活への影響は少なくなかろうと感じた。
「ダンジョンフィーバーが終わるまではこんな感じだろうねぇ。使うモンは嫌って程入って来てんのに、ソイツを使うモンは見合った量入って来ないのさ」
─確かに、多いな─
需要が多過ぎて、値上げして量を減らしても売れてしまう状態である事を周囲を見渡し理解する。日中であるにも関わらず、平民より冒険者が多いのだ。かく言うアウディーもその一人であるのだが、フィーバー期間が長引けば、それだけ民が飢える事になるだろう。
─間引きしたのは間違いだったのか?─
自問するが、答えは1つ。他の冒険者が弱過ぎるとの解答に行き着く。10日に1度でもドラゴンを、それが無理でも地下九階層の奥を狩場に出来る冒険者がいてくれればフィーバーを待つ状況にはなっていなかったであろう。しかし生涯を賭けて鍛錬を積んでもLv100に到れないのもまた事実。期待は出来ない。
「私ダンジョンなんて見た事もないんだけどさ。ソレって儲からないの?」
宿に戻るとベッドでゴロ寝を楽しむサリューテに迎えられた。アウディーが明日の支度で荷物をまとめながらつい愚痴を零すのを聞いて、サリューテは核心を突いた。
「出た物による、だな」
せっかく手にしたお宝も、お召し上げになっては金にならず、魔石とドロップアイテムしか落ちないダンジョンでは、解体する手間がない分手取りが減ってしまうのだ。
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