±の成り上がり 〜無能と蔑まれる前に気付けた俺の最強卑怯な世渡り術〜

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4 それぞれの自由

優男に強者無し

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「一山当てたら…ってヤツね。やっぱ儲けるなら胴元にならなきゃだよね」

「貴族みたいな事も言えるじゃないか」

「そうなの?」

「ふんぞり返って利益だけ吸い取るって事だろ?」

 偉くなればなる程に、サリューテの夢見る稼ぎ方に近付いて行くモノだ。しかし2人は貴族を捨てた身、汗水垂らして働くしかない。

「明日からはふんぞり返って俺の稼ぎを待つが良い」

「今日は?」

 夕食後、存分にふんぞり返してやった。野外でもベッドが欲しいとアウディーは思った。

 そして翌日。ギルドにダンジョンへ潜る事を告げに行き、許可を貰って地下へと向かう。入口を守る衛兵はアウディーを止めたが、前回最深部まで行った者の1人だと知ると塞いでいた道を開いた。

─実力の無い独り者に許可を出す訳がないだろうに─

「しばらく誰も入っておらんのだ。十分に気を付けろ」

「そんなだから溢れるんだ。ドラゴンが出て来たらどうするつもりなのか…」

「その時は、店を畳んで逃げるまで」

 復興にどれだけの金と労力が掛かると思っているのか。言っても詮無き事なので、アウディーは口を閉じると狭い入口に入って行った。

 入ってすぐ、敵に得物を振られた。幸いな事に隣の敵に誤爆したが、残念な事に地下一階層全体に、更に下の階層の魔物が溢れ出して来ていた。

─下の階層の魔物が上にいる者を淘汰しているようだ…な─

 敵を屠り、予想する。アウディーの予想が確かならば、地下九階層の敵が溢れて来る事になる。今し方倒したのは地下4四階層にいた魔物でそれより下にいる者はまだ見掛けていない。地下五階層のボスであるギガンテスハードウォーリアーが上がって来て、ようやくフィーバーが始まるのでは?とアウディーは予想を続けた。地下一階層の魔物を全滅たらしめ下階へ降りると、そこには既に地下八階層の敵がひしめいて、殺せる相手を傷付けていた。

 予備の剣が欲しかったアウディーは地下二階層の敵を皆殺しにして目的のドロップを探す。だが落ちているのは魔石が主で、彼の求めモノはなかった。

 だが、予想していた者は居た。下階へ降りる階段に巨大な姿が迫り上がる。ギガンテスハードウォーリアーだ。地下六・七階層の魔物が少ないのはこの辺りの魔物が駆逐したからであろう。その証拠に、ギガンテスハードウォーリアーの体からは魔物同士の戦いで負った傷が見え、屠った獲物から発せられる煙を纏っていた。

「デカいと歩くのも遅いのか?それともさらに下の魔物に急っ突かれたか」

 彼の呟きに返す者はなし。だが反応は態度で示される。アウディーの姿を認めた魔物が一斉に襲い掛かって来たのだ。

─……箱は、出ないか─

 一々剣を振るのが面倒になって、見える範囲の魔物を消したアウディーは、階段を上がって来るオカワリ達をチマチマと殺しながらドロップを拾い、剣を三振手に入れた。コレでドラゴン相手に3回斬り付ける事が出来るが、斬撃以外でも殺す手段のあるアウディーには、買うよりマシな予備程度の認識でしかなかった。

 地下三階層には行かず、踵を返して地上へ戻る。背嚢が魔石で一杯になってしまったのだ。腰に四振の剣を差し、これ以上の稼ぎは十分と判断したのだ。

「おっ、お前、戻ったのかっ」「そうかそうか。逃げるのは罪ではないぞ、良く戻ったな」

「何を言っている。荷物が魔石でパンパンになったから戻っただけだ」

─戦いもしない癖に人を下に見過ぎだ─

 アウディーは不快を顕にし、門番達を目で殺す。怯んで後退りする弱者にはそれ以降目もくれずギルドへと帰還した。

「あら?アウディーさん、新しい剣で探索ですか?」

「ダンジョンでの戦利品だよ。報告するから繋ぎと買取りを頼む」

 ギルドの受付嬢も人を下に見る傾向がある。そして後になって文句を言うのだ。買取りに向かい、魔石とアイテム、そして使わない分の予備剣を腰から外してカウンターに出すと、多過ぎると言われてしまった。










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