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1 新天地は食事が美味い
出会いと、別れ
しおりを挟むブリクストンを出て10日。【±】を計2度使い、今レベルが1000を超えた。魔物が何匹出ようとも、肉体Lv959の時点で俺の動きは捉える事も出来ず、首が胴とが離れていた。人であっても、それは変わらなかった。
「では行こうか。長旅になるだろうが焦らずゆっくり行くぞ」
ブリクストンを出て8日目。森の樹上で休む俺の下を通った者は、街道沿いに出る野盗だと自ら名乗って、名乗らぬ俺に斬り捨てられた。野盗の宝にまつわる話は貴族社会でもよく上がる話であったが、今の俺は金の無い身、少しくらい稼いでも構わんだろうと考え、手心を加えた男をアジトに案内させた結果、人質や性処理に使われていた女性を8人、近隣の集落に連れて行かねばならなくなった。今日が10日目なのは、汚れた女性達を洗ったり性処理をしていたからだ。
街道に出るまでに1泊。そこから俺の都合で西へ向かい8日。俺なら1日掛からない距離だが女の足ではこんなものだろう。魔物がたくさん出たおかげで肉にだけは困らなかった。性処理もさせてもらえた。
「あたしだけでも、付いて行こうか?」「ちょっと」「空気読みなさいよっ」
「俺もそう願いたいが、足の差を考えると…な」
野盗の性処理に使われていた女3人は、村に着くまでの間、俺の性処理をしてくれていた。これから1人になると思うと寂しく思えるが、移動の事を考えるとどうしようもない。泣く泣く別れを告げた。
「アウディー様、当家のお嬢様をお救い頂き、誠にありがとう存じます。当家からの謝意がございます故、どうかご同行お願い申し上げます」
丁寧な言葉を使うこの女はカリバーン家のメイドでネネイと名乗った。後ろに控える令嬢は俺の事を知らないようで、眉間に皺を寄せた顔で誰もいない遥か右を睨んでいた。
「礼は要らない。俺の事も吹聴しない方が伯爵家のためになるだろう。俺のためでもあるがな」
「貴方様は貴族の出にございますか?」
「旅の冒険者は頑なに名乗らなかった。と伝えると良い」
「それはそれで長くなりそうです…」
上手くはぐらかして欲しいものだ。なんせ貴族は執拗いからな。
女達を村に残し、俺は先を急いだ。追っ手は置き去りにしているだろうが、野盗から奪った金で宿に泊まってゆっくり寝たい。岩塩と乾パンは増えたが美味い食事も得たいのだ。
全速力の足で1w以上掛かったが、村の隣に街があって助かった。時間は夕方、どの料理屋も開いている事だろう。美味い食事の匂いを探そうと街の通りを歩き、嫌な匂いを感じ取ってしまった。
─生きているな─
魔物を斬り、人を斬って得た感覚。生き血の匂いを辿って入り組んだ路地に入ると、突き当たりの暗がりで目的の群れに当たった。
「だっ」
「何だコッ」「おいっ」「……っ」
殺す相手に掛ける言葉はない。無言で剣を振り、4つの生首が生まれた。
「生きているか?」
「あ…、あ……」
ダメそうだな。だが手を施してやるのも一興、いずれ自分にも使わねばならん時も来るだろう。俺は口から血の泡を噴く女に【恩恵】を施した。
─この女から、体の内外にある傷をあるだけ減らせ。この女から、体の内外にある汚れをあるだけ減らせ。この女から、体の内外にある致死性の毒をあるだけ減らせ─
「…………」
『スカーレット・ヴィクトリア・カリバーンから、全身の傷を全て減らしました。傷は消滅しました。スカーレット・ヴィクトリア・カリバーンから、全身の汚れを全て減らしました。新たな汚れが発生しました。スカーレット・ヴィクトリア・カリバーンから、致死性の毒を4つ減らしました。致死性の毒は消滅しました』
やはり毒は仕込まれていたか。だが賊はその手の構えはしていなかった。振る舞いも臭いも普通のゴロツキに感じたが、ここまで偽装出来るなら俺の実力不足だろう。
そんな事より…。
※
w:ワゥワー。60p。1wは地球で約1時間。
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