±の成り上がり 〜無能と蔑まれる前に気付けた俺の最強卑怯な世渡り術〜

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1 新天地は食事が美味い

一々増減させるのは面倒臭い

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 その日を以て、エルデルは炊き出しの任から外された。司祭の傍付きに抜擢されたのだから軍人が殉じた時以上の特進である。そしてその夜はファルナー邸にて昇進の祝いを行った。もちろん朝までだ。

「貴方様、あまり無理をさせませんよう。エルデルも、恩赦は2日とありませんからね?」

 アウディーの責めに慣れていたファルナーはお勤めに、耐え切れずダウンしたエルデルはファルナー邸で休んでから午後勤務となった。

「ああ…あは、アウディー様のご立派様を独り占めできるなんて…」

「昼には出るのだろ?本当に良いのか?」

 エルデルはファルナー同様頑なであった。アウディーの2本刺しに跨って自ら前後の穴に充てがうと、脱力して重力に身を任せた。遠慮していたアウディーも、こうなれば快楽を享受する他ない。それでも時間を見てエルデルを仕事に向かわせる。

─夜はファルナーと…─

「アウディー様?顔に出てますよ?」

 やはり顔に?いやまさか。エルデルと教会に向かう彼は街の様子を眺めながら歩いていた。街に溶け込んでいた兵が明らかに増えて溶け込み切らなくなっていた。そろそろ姫様のお相手が到着するのだろう。

「俺は仕事でギルド等に寄る。司祭様にはその旨伝えて欲しい。夜は必ず、ともな?」

「私は?」

 連日厄介になるのはダメだろう、と遠慮させた。【恩恵】で汚れは落としているが、連日同じ下着では気になるらしく、エルデルは俺の指示を受け入れた。

「先触れが街に入ったそうで、あまりウロウロしない方が良いですよ?」

 そして見送りを終えて冒険者ギルドに向かうと、暇を持て余していた受付嬢に釘を刺された。普段でも冒険者が賑わいを見せるギルド内は、人の姿も疎ら。移動の最中も多く見なかった。皆宿や酒場、路地裏等、大通りから見えない所に引き払っていると言う。

「明日にはランクアップ依頼を受けられそうか?」

「街を出たら入れませんよ?大人しくしていた方が良いですね」

「1日2日休んでから王都へ向かうとなれば、それまで暇を持て余す事になるのか…」

「冒険者さんとお喋り出来るくらいには、コチラも暇になりますね」

「光栄な話だが、俺はさっさとランクを上げたいな」

「強くなるなら訓練所で剣を振るのも良いですよ?私も暇なので顔を出しますし」

─訓練か。久しく真面に剣を振ってなかったな─

 訓練所はギルドの地下を堀抜いて作られていると言う。そこでは木製の得物を振る事しか出来ないが、手足に巻く重りが使い放題と聞いて興味を覚えたアウディーは、地下への階段に足を向けた。

 弧を描く階段を下って行くと、魔道具の光に照らされた空間が目の前に広がった。そこでは数人の冒険者が剣を振ったり試合っていて、それを眺める者もチラホラ。暇人達の憩いの場になっているようである。

─武器と…重りは、これか─

 樽に差された木剣を指し、紐の付いた横長の砂袋を手に巻いて軽く腕を振る。肉体Lvの上がった体には、剣の重さすら軽過ぎる。これでは負担にならんともう二巻き。

「あンた。それで腕が振れるのかい?」「誰もあンたなんて見てないんだ。見栄張ンの止めなって」

─ちゃんと見ているではないか─

 声を掛けて来た2人は内側での試合に見飽きて動きたくなったのか、樽から木剣を抜き取ると構えを取って手に馴染むかを確認する。2人共に細剣で、腕力に欠ける女冒険者の使用者は多いと聞いている。腕力に欠ける貴族の坊ちゃんもよく腰に差していた。

「得物の重さに近付けようとしただけだ。安物で重いのでな」

「フンッ、好きにしたら良いさ」「危ねーからアタイ等からは離れてやンな」

「優しいのだな。疲れたら1つ外そう」

「あ?ケンカ売ってンのかい?」

「本心だ。お前達は親切だよ。それに重さの違いは戦闘スタイルの違いだ。細剣と中剣では重さが違うからな」

 内側の端、人のいない場所を選んで木剣を振る。最初は重さを確かめて、徐々に速さを増して行った。













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