28 / 148
1 新天地は食事が美味い
一々増減させるのは面倒臭い
しおりを挟むその日を以て、エルデルは炊き出しの任から外された。司祭の傍付きに抜擢されたのだから軍人が殉じた時以上の特進である。そしてその夜はファルナー邸にて昇進の祝いを行った。もちろん朝までだ。
「貴方様、あまり無理をさせませんよう。エルデルも、恩赦は2日とありませんからね?」
アウディーの責めに慣れていたファルナーはお勤めに、耐え切れずダウンしたエルデルはファルナー邸で休んでから午後勤務となった。
「ああ…あは、アウディー様のご立派様を独り占めできるなんて…」
「昼には出るのだろ?本当に良いのか?」
エルデルはファルナー同様頑なであった。アウディーの2本刺しに跨って自ら前後の穴に充てがうと、脱力して重力に身を任せた。遠慮していたアウディーも、こうなれば快楽を享受する他ない。それでも時間を見てエルデルを仕事に向かわせる。
─夜はファルナーと…─
「アウディー様?顔に出てますよ?」
やはり顔に?いやまさか。エルデルと教会に向かう彼は街の様子を眺めながら歩いていた。街に溶け込んでいた兵が明らかに増えて溶け込み切らなくなっていた。そろそろ姫様のお相手が到着するのだろう。
「俺は仕事でギルド等に寄る。司祭様にはその旨伝えて欲しい。夜は必ず、ともな?」
「私は?」
連日厄介になるのはダメだろう、と遠慮させた。【恩恵】で汚れは落としているが、連日同じ下着では気になるらしく、エルデルは俺の指示を受け入れた。
「先触れが街に入ったそうで、あまりウロウロしない方が良いですよ?」
そして見送りを終えて冒険者ギルドに向かうと、暇を持て余していた受付嬢に釘を刺された。普段でも冒険者が賑わいを見せるギルド内は、人の姿も疎ら。移動の最中も多く見なかった。皆宿や酒場、路地裏等、大通りから見えない所に引き払っていると言う。
「明日にはランクアップ依頼を受けられそうか?」
「街を出たら入れませんよ?大人しくしていた方が良いですね」
「1日2日休んでから王都へ向かうとなれば、それまで暇を持て余す事になるのか…」
「冒険者さんとお喋り出来るくらいには、コチラも暇になりますね」
「光栄な話だが、俺はさっさとランクを上げたいな」
「強くなるなら訓練所で剣を振るのも良いですよ?私も暇なので顔を出しますし」
─訓練か。久しく真面に剣を振ってなかったな─
訓練所はギルドの地下を堀抜いて作られていると言う。そこでは木製の得物を振る事しか出来ないが、手足に巻く重りが使い放題と聞いて興味を覚えたアウディーは、地下への階段に足を向けた。
弧を描く階段を下って行くと、魔道具の光に照らされた空間が目の前に広がった。そこでは数人の冒険者が剣を振ったり試合っていて、それを眺める者もチラホラ。暇人達の憩いの場になっているようである。
─武器と…重りは、これか─
樽に差された木剣を指し、紐の付いた横長の砂袋を手に巻いて軽く腕を振る。肉体Lvの上がった体には、剣の重さすら軽過ぎる。これでは負担にならんともう二巻き。
「あンた。それで腕が振れるのかい?」「誰もあンたなんて見てないんだ。見栄張ンの止めなって」
─ちゃんと見ているではないか─
声を掛けて来た2人は内側での試合に見飽きて動きたくなったのか、樽から木剣を抜き取ると構えを取って手に馴染むかを確認する。2人共に細剣で、腕力に欠ける女冒険者の使用者は多いと聞いている。腕力に欠ける貴族の坊ちゃんもよく腰に差していた。
「得物の重さに近付けようとしただけだ。安物で重いのでな」
「フンッ、好きにしたら良いさ」「危ねーからアタイ等からは離れてやンな」
「優しいのだな。疲れたら1つ外そう」
「あ?ケンカ売ってンのかい?」
「本心だ。お前達は親切だよ。それに重さの違いは戦闘スタイルの違いだ。細剣と中剣では重さが違うからな」
内側の端、人のいない場所を選んで木剣を振る。最初は重さを確かめて、徐々に速さを増して行った。
6
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる