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2 王国から帝国へ
経験値の差
しおりを挟む尻の中で威力メイドの細指が動く。確認が終わったのなら早く抜いて欲しいが、彼女は更なる動きを見せる。アウディーは身を震わせた。
「それもメイドの仕事か?」
「なふぁにろふお……」
尿道に毒を仕込んでいるかも知れないから、だそうだが、それは夫人と体を重ねる前提での話だろう。蜜事をしなければ確認はいらないのではないかと彼は思ったが、メイドが納得するならとそれ以上は考えないようにした。
「お勃ちになりませんね。男色のお方でしたか」
「明日にでも試してみるか?1日暇を取ってもらうが」
「疑わしき方を奥様に会わせる訳には」
「血を流さず次代を決めさせたいのは事実だ」
「……仕方ありません。奥様に何かなさるのでしたら、覚悟を決めてなさってください」
「同意なら良いのだろう?」
「疑わしいですね…」
自分の技量の無さを男色と勘違いするメイドはどうかと彼は思ったが、数日前までその手の手練と何十日も同衾していたのだ。素人程度では耐えうるのも然りだと思い直した。が、それを言うと益々時間を取られてしまいかねんので胸に収める。
「貴方が私に目通りを?」
「冒険者アウディーと申します」
小さな屋敷から地下道を通ると、大きな屋敷の地下室へ繋がる。目的の相手は室内に設えられたソファーに斜め掛けになり、まるでサロンの壁に掛けられた絵画のようであった。アウディーは貴族式の礼を取り、隠された身分を晒すと絵画の前に跪いた。
「目的が…ありそうね」
「今変わりました」「奥様」
「シュンイ、ここからは仕事の話。下がりなさい」
「……はい、奥様」
奥様と呼ばれた女性は威力メイドのシュンイを下がらせる。同時に部屋を包んでいた気配が消えた。
「結界魔法を張らせましたわ。アウディーとやら、貴方私に何を?」
「ご寵愛を頂きたく思います」
「正直な方。それで?」
夫人の脚がスカートから零れ、脹脛の1つがアウディーの肩に掛かる。頬に当たる女の柔らかさが恋しくなり、掌を添えて頬擦りした。夫人は彼の返答を微笑みながら聞く。
「ご令息を上へ」
「その上は?」
2つ目の脹脛が肩に。アウディーは少し顔を振り、目線は外さずキスをする。夫人はずっと彼を見ていた。
「平和裏に降りて頂きます」
「なら、下は?」
脹脛に力が掛かり、彼は夫人に引き寄せられる。顔を太腿で挟まれて両膝を着く姿勢になったアウディーは更に頭を下げ、夫人への敬意を示した。
「下は婿に入る気でおります。上は我が兄にでもなって頂きましょう」
「お姉様がいらっしゃるのね」
「父も喜びましょう」
「貴方は?家を取られてしまうわよ?」
「そもそも家を捨てた身です」
「それで、女に慣れておいでなのね」
「ご満足、頂けたら幸いです」
スカートを捲り、露になった太腿を両手で撫でる。夫人は下着を着けておらず、最初からソレも視野に入れての会合であったと彼は察した。急に男を招く等不審に思うのが普通であるし、【恩恵】に与えた指示も、相手に不信感を抱かせないように等とは付け加えられてはいない。アウディーが不安に感じていたのは間違いではなかった。
「私、何でもするわ」
「では、頂戴致します」
アウディーは夫人の股へ顔を埋めた。話がまとまったと両者は認識した。
地下室は時間の感覚が鈍る。それは夫人も同様で、寝る間も惜しんで愛し合い、メイドのノックで時間である事に気付かされていた。
「私、普段はこんなに、はしたなく淫らな女では、御座いませんのよ?」
「俺は大好きです。愛おしいエラン、離れたくない」
「ああっ、アウディー様っ、好きっ好きですっ!愛しておりますっ」
ノックが続く中、更に愛を深めた。威力メイドには凄く怖い顔をされた。
1日休み、次の仕事に取り掛かる。大きな屋敷は朝から使用人達が仕事をこなし、子供の頃を思い出させる。
「奥様、まだ近付いてはなりません」
アウディーは捕まっていた。
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