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2 王国から帝国へ
お預けの腹癒せ
しおりを挟む「マスター!ご用意でき……マスター!?」
「済まないな。長く迷惑を掛けたね」
「遅過ぎて治してしまったぞ?」
執務室に戻って来た受付嬢は変わり果てたギルマスを見て貴重な痛み止めを床にばらまいた。
「そんな事より!下を履いてください!変態に見られてますっ!」
「見なきゃ治せんし、これから孕ませるのだから問題無い」「無い訳無いでしょーがっ!」
「問題は無いが、一応履こうかね。サイズが合うか分からないけど」
トロイヤの言葉の通り、腐って乾いた頃のズボンでは、今のムチッとした太腿にはキツ過ぎたようだ。受付嬢はスカートを買いに行くと言って再び飛び出して行った。ぶちまけた薬品を放ったらかしにして…。
「前よりキレイな脚になったよ。あンたの好みかい?」
「好みなのは脚だけじゃないがね」
「その割には触れても来ないわね」
「その前に奴が撒き散らした物を片付けなくてはな。帰って来たら、今度は蹴り散らすだろう」
「確かに、ね」
ズボンを脱ぎ、お尻をプリプリと揺らしながら撒き散らされた薬品を拾って行くトロイヤに、アウディーは我慢が出来なかった。
「あん、片付けてから。でしょ?」
鎧を外した手による接触にトロイヤは抵抗する事なく、言葉だけで止めた。
「そうだな。俺に好意がある事は受け取ってもらえたか?」
「そうね。目の色が違うもの、私にだって分かるわ。ただ、ね?私、初めてだから…さ」
「痛みは無いよ。施術の効果でな」
「初めては痛いって聞いてたから、少しだけホッとするわね」
「今夜は寝かせないが、足慣しは必要だろう。明日からは鍛錬してもらう事になる」
「で、夜は寝かせてもらえないのね。酷い男」
「ランクアップ依頼を台無しにされた礼に魔物を斬ってやろうかと思ってる」
「私は一晩だけ?」
「10日は痛み止めが効いてるからな。その間は快楽も感じ無くなってるハズだ。感じるようになってから抱きたい」
「なら今夜は?」
「俺が我慢出来ないんだ。悪いな」
「楽しみにしているわ。それと、ランクアップ依頼は変更してあげる。護送依頼なんかより凄い事してくれたんだから、それくらいは、ね」
その後、スカートを買って戻って来た受付嬢に舌を絡ませている所を発見され、受付嬢がしてはならない顔をしながらランクアップ依頼の内容を変更されてギルドを追い出された。
変更された依頼内容は、ダンジョンとその周辺での討伐である。ダンジョンの魔物が地上に溢れるダンジョンフィーバーが近い事もあり、ダンジョン入口では魔法による壁が作られていた。しかし完全に塞ぐ事は入口を広げる結果を招くので出来ず、人1人が立って通れるだけの空間は確保されていた。
「ダンジョンに入る?依頼だからって無茶はするな」「周辺の魔物も増えてるんだ。そっちを殺ったら良い」
「こんな軽装で深くまでは潜らんよ。それに俺、この依頼が終わったらギルマスを抱くんだ」
「おい馬鹿止めろ」「おいおい死んだわコイツ」
周りにいた冒険者からも呆れた声が飛んで来る。そして行って来い、死んで来いとエールをもらい、サダッシュダンジョンに侵入した。
─抱く前に死ねるかよ─
アウディーは元貴族。ダンジョンなんて当然未経験であったが、サダッシュダンジョンの大凡の情報はトロイヤとイチャイチャしながら聞かされた。狭い入口を入ると内部は広く、天井も高い。通路も部屋も大きく作られている。この広い通路を大型の魔物が押し寄せると思うと精神Lv2000を超えたアウディーでも俄に鳥肌が立った。
─先ずはこのレベルでどれだけやれるか、だな─
【限定察知・生命】には無数の点が見える。その殆どがダンジョンに棲む魔物である。人の姿もあり、5人と6人が赤い点を減らしていた。
─同じ敵と戦う物が仲間とは限らん─
アウディーは敢えてそれ等には近寄らず、端から丹念に魔物を狩って行く。地下一階層の敵であれば何匹いようと剣だけで問題無く狩る事が出来た。
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