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2 王国から帝国へ
即席パーティー
しおりを挟む「これでは時間が掛かり過ぎるぜ」「しゃーねー。俺等も出るか」
怪我をもらう事は無いものの、多勢に無勢では時間を要し過ぎるとして他の露払い達も戦線に加わった。そしてシャンク達3人はアウディーの戦場へ追い出される。アウディーは1人奮戦していたので誰も戦線に加わらなかったのだ。
「一人で平気だったか?」
シャンクは比較的手薄な左手に回る。
─護衛はどうした?背後が厚いから問題は無い、か─
「腹が減るな。だが、問題無い」
「帰ったら食事でもどうだ?」
「男に誘われるのは初めてだな、良いだろう」
リュカオーンは右手に着き、漏れを防ぐ。広い通路で道を塞ぐのはアウディーでも面倒と思っていたので、2人の加入はありがたかった。回復のシャルマンはアウディーの背後に陣取り、いつでも魔法が使えるよう準備を怠らない。左右に壁が出来てアウディーの負担が減ると1人の時より殲滅速度が増した。
「お前、ギガンテスハードウォリアーを単騎討伐したってのは嘘だったんだな」
「何か言ったか?」
アウディーが気持ち良く体を動かしていると、動きもしないで野次を飛ばす男が現れる。『雷撃の剣』の代表の男だ。名乗りは聞いていない。
「こんな所でチンタラ殺ってて、階層主を殺れんのかって話だよ!」
「なるほど。本気を出せ、と言う事だな?」
「おうよ、10体くらい一撃で殺って見せろや」
「アウディー、無理はすべきではない。ここはまだ二階層なのだ」
「ドラゴン討伐なので体を温めようと思ったが、少し分からせてやらねばなるまいよ」
冷静な判断をするリュカオーンに声を掛けて、アウディーは【恩恵】を使用する。とは言え何か光るとか、派手な演出は何も無い。何も無いが、目の前に群れていた無数とも思える雑魚は小さな魔石に変わった。
「え?何だ?」「急に魔石に変わりやがった」「おい!拾え拾え!」
「何か、したのだろうな」
「もちろんだ。だが全ての階層でコレをやったら、どう思う?」
「楽だな!」
「違うでしょ。敵が増えるわよ」
シャンクは少し頭が軽いようだ。シャルマンに指摘されてやっと気付いたようで、彼女の言う敵が誰かを察して顔を青くした。
「ひ、卑怯な手を使いやがって…」
「その男の言葉では無いが、楽になったのだから良いではないか」
悔み言を放つ『雷撃の剣』の代表に声を掛けるのは『古龍の血』の代表。こちらも名乗りを聞いてないが、アウディーがした何かを現状必要な手段であると判断したようだ。
階層に密集していた敵が一掃され、決死隊は二手に別れて行動する事となった。モンスターハウスを破壊するためである。『雷撃の剣』と露払い3パーティー、『古龍の血』とソロ4人に魔道士ギルドの6人。それぞれに商業ギルドが7人と8人が編入され、魔石を拾いながらモンスターハウスへと向かった。
「あのあのっ、アウディーさん、でしたよね?さっきのアレ、魔法ですか?それともスキルで?」
「貴女、冒険者の手の内は聞かないモノよ?」
前線を歩くアウディーに不躾な質問をするのは魔道士ギルドの女。フードから覗く顔はだいぶ若く見える。杖を持たず、背嚢を背負っているので魔道具に長けた者であろう。アウディー達のすぐ後ろにいる魔道士ギルドの面々も、知りたくて仕方ない様子で聞き耳を立てていたがシャルマンに指摘されてアワアワしながら謝罪した。
「少なくとも大勢のいる場で話す事ではないな。それに…」
─早いな─
「シャンク、左から1匹。鉢合わせるぞ」「おうよ」
敵の発生が早いので、お喋りする程気を抜く訳には行かない事を説いた。
モンスターハウスの破壊は魔道士ギルドの面々が土魔法で床に穴を掘る事で成し遂げた。『雷撃の剣』側は編成を後悔した。
「階段を降りたら休憩する。各自食事と休息、装備の点検を怠るな」
階段前にて分隊と合流すると、『古龍の血』の代表は声を上げる。そう言う手筈なのだろう、『雷撃の剣』は口を挟まなかった。
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