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平凡姫と勃たないエルフ(異世界)
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「ウィーガン様、これはどういうことでしょうか?」
「どうもこうも見ての通りだが?」
「私達は子を成すために縁を結んだのです。私だけでは子は成せません。しっかりと協力して頂かないと」
「そうは言われてもだな……」
「政略結婚に愛を求めるほど幼くはありませんので、他に思い人がいるならいるで構いません。けれど最低限、勃起してください」
エリシアが『勃起』と口にすればウィーガンは目を丸く見開いた。
「女性がそんな言葉を口にするんじゃない」
呆れたようにため息と共に言葉を吐き出したウィーガンだが、エリシアとて好きでそんな言葉を口にしたのではない。
ただ、もう今日でウィーガンと縁を結び、寝所を共にしてから半年が経過しようとしている。
気長に待とうと決めていたエリシアも、そろそろ本格的に相手側にも協力を仰がねばならない段階になったと考えざるを得なかったのだ。
神に許しを得たあの日の晩、エリシアは風呂あがりに痛くないようにと香油でつぼみを湿らせた。王家に伝わる媚薬を飲み、ほてった身体でウィーガンの待つベッドへと身体を滑り込ませた。気持ちをリラックスさせるアロマは人工的に作り出した香りをエルフが嫌うかもしれないと言う理由で用意出来なかったが、エリシアの身体は準備万端。
これで初夜もとい子作りは問題なく行われると確信した。
けれど実際のウィーガンはといえば、媚薬によって些細な刺激でも熱を帯びてしまうエリシアを横目に爆睡。陽が昇るまで一度たりともまぶたを開けることはなかった。おかげでエリシアは夜中、犯されることを求めて身をよじるだけのはしたない娘になってしまった。
けれどエリシアの精神は強かった。
ウィーガンが起きる前にメイドを呼びつけ、張り形とタオルを用意させた。タオルを床へと引き、張り方をその上へと設置する。今日のために用意した薄めのネグリジェの裾から紐を解いたパンティを抜き出す。すでに蜜でぐっちょりと濡れていたそれはタオルの上に音を立てて落下した。すでに決壊寸前とはいえ、ダムの役割を担っていた下着を失ったことで、エリシアの下の口からはぽたりぽたりと雫が垂れ、タオルへと吸収されていく。エリシアは蜜源へと自らの指を誘い、つぼみを三本の指ですりあわせるようにしてもてあそぶ。初めて外部から与えられる刺激にエリシアの身体はビクッンと大げさなまでに跳ね上がる。そしてもっとくれ、とねだるように蜜を股に這わせるのだ。そのことに気分が良くなったエリシアは張り形を自らのつぼみへとあてがった。すでに蜜源は雄々しいそれを簡単に飲み込んでしまえるまでに緩くなっていた。
三刻だ。エリシアは快楽を与えられないまま、三刻も我慢したのだ。
ゆっくりと腰を下ろすが、媚薬のおかげで痛みは全くない。それどころか壁に張り形が擦れる度に意識を失いそうになる。けれどこんなところで意識を失えば、これ以上の快楽を与えられることはない。本来ならば刺激と子種を与えてくれるはずの旦那様はぐっすりと寝こけている。ここは自分で求め、与えるしかないのだ。
張り形の根元までずっぽりとくわえ込むと、腹の中は一気に満たされていく。けれどまだまだ快楽の壺は満たされぬまま。頬を緩ませ、下半身を持ち上げれば先ほどとはまた違う快感が押し寄せる。先端がくちゅっと卑猥な音を立てれば簡単に抜けてしまう。抜ける瞬間も先端の丸められた部分がキスをするように入り口を撫でた。けれど肉壁を全体で撫でられる感覚には敵わない。だからエリシアは入り口を二本の指でしっかりと開いて緩くなった穴に再び張り形を誘うのだ。ずっぽりと根元までハメ、様子見はもう十分。足と腰で支えるのも辛くなり、張り形をそのままに仰向け状態になる。先ほどまで酷使した足を空に彷徨わせ、今度は手を動かす。体重分の重さがなくなった分、快感も軽くなるかと思えばそんなことはない。手だからこそ、微調整が効くようになり、軽く手首を捻れば蜜壺は簡単にキュッと締め付ける。
「はぁっ」
声を我慢することすら辛くなり、眠るウィーガンを横目に床に敷いたタオルに蜜を垂らしていく。
ーーけれどそんなエリシアだが幾度目かの絶頂を境にスッと快感の波が引いていった。
薬が抜けたのだろう。
エリシアは張り形を引き抜き、蜜まみれの股を綺麗なタオルで拭った。すっかりと乾いたパンティーを足に滑らせる。乾いた蜜により、絹の柔らかさはなくなっていたが、晒し続けるよりもずっといい。最低限、はしたない状態を隠してからメイドを呼びつける。桶を持ってきてもらったのだ。その中にタオルに包んだ張り形を入れて渡す。そして自身は風呂場へと向かった。エリシアが張り形で欲を収めたとは知らぬメイド達は彼女の乱れた髪や汗まみれの身体を洗いながら、頬をほころばせていた。
その身体にウィーガンの残した痕などないというのに。
それからエリシアは毎日、王家の媚薬を使った。
毎晩、ウィーガンは妻であるエリシアに指一本触れずに眠ってしまう。
もしもエリシアが『普通』の令嬢ならとっくに壊れていただろう。
夫に身体を求められぬ不信感と、媚薬に支配される性欲に。
けれどエリシアはどちらにも負けることなく、毎夜放置される身体を自らの手で慰めていた。
けれど半年経った頃、エリシアは作戦を変えることにした。
それが勃起しろ発言である。
自分の身体の具合は初めの数日で完全に把握し、張り形も何度か新調するくらいには放置される夜にも慣れている。朝風呂も習慣と化し、今では花を風呂に浮かべて楽しむほどには満喫している。
だからエリシアはウィーガンから女として魅力がないと思われていようとも構わなかった。
けれど子どもは産まねばならぬのだ。
子が成せねばわざわざ種族の違う相手と結婚した意味がない。
「どうすればウィーガン様は興奮されますか?」
エリシアは子を成すため、発情しない夫へ純粋な疑問をぶつける。
ーーもちろんウィーガンの雄は今日も無反応である。
「どうもこうも見ての通りだが?」
「私達は子を成すために縁を結んだのです。私だけでは子は成せません。しっかりと協力して頂かないと」
「そうは言われてもだな……」
「政略結婚に愛を求めるほど幼くはありませんので、他に思い人がいるならいるで構いません。けれど最低限、勃起してください」
エリシアが『勃起』と口にすればウィーガンは目を丸く見開いた。
「女性がそんな言葉を口にするんじゃない」
呆れたようにため息と共に言葉を吐き出したウィーガンだが、エリシアとて好きでそんな言葉を口にしたのではない。
ただ、もう今日でウィーガンと縁を結び、寝所を共にしてから半年が経過しようとしている。
気長に待とうと決めていたエリシアも、そろそろ本格的に相手側にも協力を仰がねばならない段階になったと考えざるを得なかったのだ。
神に許しを得たあの日の晩、エリシアは風呂あがりに痛くないようにと香油でつぼみを湿らせた。王家に伝わる媚薬を飲み、ほてった身体でウィーガンの待つベッドへと身体を滑り込ませた。気持ちをリラックスさせるアロマは人工的に作り出した香りをエルフが嫌うかもしれないと言う理由で用意出来なかったが、エリシアの身体は準備万端。
これで初夜もとい子作りは問題なく行われると確信した。
けれど実際のウィーガンはといえば、媚薬によって些細な刺激でも熱を帯びてしまうエリシアを横目に爆睡。陽が昇るまで一度たりともまぶたを開けることはなかった。おかげでエリシアは夜中、犯されることを求めて身をよじるだけのはしたない娘になってしまった。
けれどエリシアの精神は強かった。
ウィーガンが起きる前にメイドを呼びつけ、張り形とタオルを用意させた。タオルを床へと引き、張り方をその上へと設置する。今日のために用意した薄めのネグリジェの裾から紐を解いたパンティを抜き出す。すでに蜜でぐっちょりと濡れていたそれはタオルの上に音を立てて落下した。すでに決壊寸前とはいえ、ダムの役割を担っていた下着を失ったことで、エリシアの下の口からはぽたりぽたりと雫が垂れ、タオルへと吸収されていく。エリシアは蜜源へと自らの指を誘い、つぼみを三本の指ですりあわせるようにしてもてあそぶ。初めて外部から与えられる刺激にエリシアの身体はビクッンと大げさなまでに跳ね上がる。そしてもっとくれ、とねだるように蜜を股に這わせるのだ。そのことに気分が良くなったエリシアは張り形を自らのつぼみへとあてがった。すでに蜜源は雄々しいそれを簡単に飲み込んでしまえるまでに緩くなっていた。
三刻だ。エリシアは快楽を与えられないまま、三刻も我慢したのだ。
ゆっくりと腰を下ろすが、媚薬のおかげで痛みは全くない。それどころか壁に張り形が擦れる度に意識を失いそうになる。けれどこんなところで意識を失えば、これ以上の快楽を与えられることはない。本来ならば刺激と子種を与えてくれるはずの旦那様はぐっすりと寝こけている。ここは自分で求め、与えるしかないのだ。
張り形の根元までずっぽりとくわえ込むと、腹の中は一気に満たされていく。けれどまだまだ快楽の壺は満たされぬまま。頬を緩ませ、下半身を持ち上げれば先ほどとはまた違う快感が押し寄せる。先端がくちゅっと卑猥な音を立てれば簡単に抜けてしまう。抜ける瞬間も先端の丸められた部分がキスをするように入り口を撫でた。けれど肉壁を全体で撫でられる感覚には敵わない。だからエリシアは入り口を二本の指でしっかりと開いて緩くなった穴に再び張り形を誘うのだ。ずっぽりと根元までハメ、様子見はもう十分。足と腰で支えるのも辛くなり、張り形をそのままに仰向け状態になる。先ほどまで酷使した足を空に彷徨わせ、今度は手を動かす。体重分の重さがなくなった分、快感も軽くなるかと思えばそんなことはない。手だからこそ、微調整が効くようになり、軽く手首を捻れば蜜壺は簡単にキュッと締め付ける。
「はぁっ」
声を我慢することすら辛くなり、眠るウィーガンを横目に床に敷いたタオルに蜜を垂らしていく。
ーーけれどそんなエリシアだが幾度目かの絶頂を境にスッと快感の波が引いていった。
薬が抜けたのだろう。
エリシアは張り形を引き抜き、蜜まみれの股を綺麗なタオルで拭った。すっかりと乾いたパンティーを足に滑らせる。乾いた蜜により、絹の柔らかさはなくなっていたが、晒し続けるよりもずっといい。最低限、はしたない状態を隠してからメイドを呼びつける。桶を持ってきてもらったのだ。その中にタオルに包んだ張り形を入れて渡す。そして自身は風呂場へと向かった。エリシアが張り形で欲を収めたとは知らぬメイド達は彼女の乱れた髪や汗まみれの身体を洗いながら、頬をほころばせていた。
その身体にウィーガンの残した痕などないというのに。
それからエリシアは毎日、王家の媚薬を使った。
毎晩、ウィーガンは妻であるエリシアに指一本触れずに眠ってしまう。
もしもエリシアが『普通』の令嬢ならとっくに壊れていただろう。
夫に身体を求められぬ不信感と、媚薬に支配される性欲に。
けれどエリシアはどちらにも負けることなく、毎夜放置される身体を自らの手で慰めていた。
けれど半年経った頃、エリシアは作戦を変えることにした。
それが勃起しろ発言である。
自分の身体の具合は初めの数日で完全に把握し、張り形も何度か新調するくらいには放置される夜にも慣れている。朝風呂も習慣と化し、今では花を風呂に浮かべて楽しむほどには満喫している。
だからエリシアはウィーガンから女として魅力がないと思われていようとも構わなかった。
けれど子どもは産まねばならぬのだ。
子が成せねばわざわざ種族の違う相手と結婚した意味がない。
「どうすればウィーガン様は興奮されますか?」
エリシアは子を成すため、発情しない夫へ純粋な疑問をぶつける。
ーーもちろんウィーガンの雄は今日も無反応である。
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