取り憑かれた転生令嬢の日常 ~私は今日もボッチです~

太もも大使

文字の大きさ
20 / 27
新学期が始まりました

10

しおりを挟む


HRが終わり、まだまだ日が高いうちにシューカ様と寮への帰り道のこと。



「ココで会ったが100年目ェー!!」

絡まれました。

え?誰かって、おとうと弟子です。五人ほどの取り巻きが居ますが、後ろ2人は護衛のようですね。軽く会釈しときましょう。
脳筋のお世話、お疲れ様です。
ところでこの人、お父様がまだ騎士団長だった頃にお城で剣の修行を見習い騎士達と一緒にしていた王子様ですね。何回か王城にお弁当を届けにお父様に会いに行った際に稽古を着けてもらっていたのですが、見習い兵士や騎士達と共に同じくらいの子供が居たんだっけ…。その時は、ほとんど知らずにボコボコにしてあげたわけですが、それからというもの私を見つける度に手合わせを、手合わせをと、うるさい小僧に仕上がりました。

それが今、目の前で行く手を遮っている。

まぁ、私に気後れすること無く話し掛けてくれる男性という事では珍しい部類の人でもある。

ただ…声が大きくてうるさい。非常にうるさい。思わず眉を寄せてしまいましたよ。

あれ?そういえば、うるさい小僧もしくは、王子と認識していたせいか名前が思い出せません。う~ん…

「ごきげんよう、………(え~っと)、殿下?」

「オイ!」「オイ~」

「うるさいですよ?」

「貴様、俺様の名前はまだ覚えんのか?」
「覚えろ!」

「私より弱いお人の名前など、覚える気にもなりませんので。」

「じゃあ勝負だ!!」「勝負だ!」

「面倒なので結構です。それでは……」

そういって、避けて行こうとすると……

「そうは行くかってんだ!!」
「行くかってんだ!」

「………(取り巻きがうるさい。)」

避けた私の前にわざわざ移動してまで目の前にやって来てシャドーボクシング。
隣のシューカ様がアワアワしています。可愛いねぇ。


「はぁ……しかたありませんね」

「よし!じゃあ行くぞ!」
「いってらっしゃい」

さすがに学院に剣の類いは持ってこれなかったのか、格闘術の格好で突っ込んで来た。

服が汚れない程度にサクッとやっちゃいましょう。

突っ込んで来たうるさいヤツが私の顔に向けて右ストレートをはなってきた。
普通、女性の顔面にパンチを放つって頭おかしいんじゃないだろうか?おかしいんじゃないだろうか?!

パンチをしてきた腕を身体ごと左避けながら、真横から右拳を作って真横に突き出すと、あら不思議。王子のアゴにクリティカルヒット!
ココで注意するのはアゴの骨に拳の骨を直接当てないことです。昔とっても痛い思いをしましたので。
さて、脳震盪のうしんとうを起こしているうるさいのは放っておいて、騒ぎになる前に帰ることにしましょう♪

「貴様ーー!!」

「さぁシューカ様、こんなのは放っておいて帰りましょう」

「……はい。」

「待てーーー!!」




☆☆☆☆☆







どうも。俺です。

え?誰かって第2王子殿下の取り巻きを装っている護衛です。
いや~、我々二人は今年から配属になったので初めて王太子殿下に言われた『リーフウッド家のご令嬢には気を付けろ』って言われたのがどういう意味か分かりましたよ。
取り巻きに紛れた我々護衛を一瞬で気付いて、目線でお疲れ様って言われた気がします。
隣の同僚も同じように思ったのでしょう。同僚と目線を合わせ、リーフウッド嬢に目礼を返しておきました。

そんなこんなしているうちに、取り巻きに煽ておだてられた第2脳筋殿下…

(あぁ!!)

まさかまさか!顔面を狙うとは!?

(えぇーーー!?何あの脚さばき!)

(右腕が一瞬だけ消えたんですけど?)

(おぅ……一瞬じゃねぇか…)

(はい。お疲れ様でした~…。)

ってコレ上に報告するの、俺?え?嫌なんだけど?絶対何で止められなかったのか怒られるじゃん?
お前報告上げて?って目で同僚と擦り付け合っていたら、いつの間にか例の令嬢は消えていた……。

呆然としていたら同僚も消えていた……。

はい。報告は俺決定です。


後日、王太子殿下に報告したら爆笑されました。

「弟のアゴは無事だったかい?」

と、聞かれたので「?……はい」と答えると、

「上手くなった」と、また笑われました。

何があったのか、聞く前に部屋から追い出されたのですが、第2王子殿下に聞いたら怒られそうで、でも聞かないとモヤモヤする。

あ"あ"ぁ~~モヤモヤする!!



 






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

失踪していた姉が財産目当てで戻ってきました。それなら私は家を出ます

天宮有
恋愛
 水を聖水に変える魔法道具を、お父様は人々の為に作ろうとしていた。  それには水魔法に長けた私達姉妹の協力が必要なのに、無理だと考えた姉エイダは失踪してしまう。  私サフィラはお父様の夢が叶って欲しいと力になって、魔法道具は完成した。  それから数年後――お父様は亡くなり、私がウォルク家の領主に決まる。   家の繁栄を知ったエイダが婚約者を連れて戻り、家を乗っ取ろうとしていた。  お父様はこうなることを予想し、生前に手続きを済ませている。  私は全てを持ち出すことができて、家を出ることにしていた。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

地味な私では退屈だったのでしょう? 最強聖騎士団長の溺愛妃になったので、元婚約者はどうぞお好きに

reva
恋愛
「君と一緒にいると退屈だ」――そう言って、婚約者の伯爵令息カイル様は、私を捨てた。 選んだのは、華やかで社交的な公爵令嬢。 地味で無口な私には、誰も見向きもしない……そう思っていたのに。 失意のまま辺境へ向かった私が出会ったのは、偶然にも国中の騎士の頂点に立つ、最強の聖騎士団長でした。 「君は、僕にとってかけがえのない存在だ」 彼の優しさに触れ、私の世界は色づき始める。 そして、私は彼の正妃として王都へ……

え、恩返しが結婚!?エルフの掟では普通なんですか!?

小野
恋愛
うっかり怪我をしたエルフを助けたら恩返しとしてエルフに誘拐されてめちゃくちゃ大事(意味深)されちゃう女の話。

処理中です...