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新学期が始まりました
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しおりを挟むHRが終わり、まだまだ日が高いうちにシューカ様と寮への帰り道のこと。
「ココで会ったが100年目ェー!!」
絡まれました。
え?誰かって、弟弟子です。五人ほどの取り巻きが居ますが、後ろ2人は護衛のようですね。軽く会釈しときましょう。
脳筋のお世話、お疲れ様です。
ところでこの人、お父様がまだ騎士団長だった頃にお城で剣の修行を見習い騎士達と一緒にしていた王子様ですね。何回か王城にお弁当を届けにお父様に会いに行った際に稽古を着けてもらっていたのですが、見習い兵士や騎士達と共に同じくらいの子供が居たんだっけ…。その時は、ほとんど知らずにボコボコにしてあげたわけですが、それからというもの私を見つける度に手合わせを、手合わせをと、うるさい小僧に仕上がりました。
それが今、目の前で行く手を遮っている。
まぁ、私に気後れすること無く話し掛けてくれる男性という事では珍しい部類の人でもある。
ただ…声が大きくてうるさい。非常にうるさい。思わず眉を寄せてしまいましたよ。
あれ?そういえば、うるさい小僧もしくは、王子と認識していたせいか名前が思い出せません。う~ん…
「ごきげんよう、………(え~っと)、殿下?」
「オイ!」「オイ~」
「うるさいですよ?」
「貴様、俺様の名前はまだ覚えんのか?」
「覚えろ!」
「私より弱いお人の名前など、覚える気にもなりませんので。」
「じゃあ勝負だ!!」「勝負だ!」
「面倒なので結構です。それでは……」
そういって、避けて行こうとすると……
「そうは行くかってんだ!!」
「行くかってんだ!」
「………(取り巻きがうるさい。)」
避けた私の前にわざわざ移動してまで目の前にやって来てシャドーボクシング。
隣のシューカ様がアワアワしています。可愛いねぇ。
「はぁ……しかたありませんね」
「よし!じゃあ行くぞ!」
「いってらっしゃい」
さすがに学院に剣の類いは持ってこれなかったのか、格闘術の格好で突っ込んで来た。
服が汚れない程度にサクッとやっちゃいましょう。
突っ込んで来たうるさいヤツが私の顔に向けて右ストレートを放ってきた。
普通、女性の顔面にパンチを放つって頭おかしいんじゃないだろうか?おかしいんじゃないだろうか?!
パンチをしてきた腕を身体ごと左避けながら、真横から右拳を作って真横に突き出すと、あら不思議。王子のアゴにクリティカルヒット!
ココで注意するのはアゴの骨に拳の骨を直接当てないことです。昔とっても痛い思いをしましたので。
さて、脳震盪を起こしているうるさいのは放っておいて、騒ぎになる前に帰ることにしましょう♪
「貴様ーー!!」
「さぁシューカ様、こんなのは放っておいて帰りましょう」
「……はい。」
「待てーーー!!」
☆☆☆☆☆
どうも。俺です。
え?誰かって第2王子殿下の取り巻きを装っている護衛です。
いや~、我々二人は今年から配属になったので初めて王太子殿下に言われた『リーフウッド家のご令嬢には気を付けろ』って言われたのがどういう意味か分かりましたよ。
取り巻きに紛れた我々護衛を一瞬で気付いて、目線でお疲れ様って言われた気がします。
隣の同僚も同じように思ったのでしょう。同僚と目線を合わせ、リーフウッド嬢に目礼を返しておきました。
そんなこんなしているうちに、取り巻きに煽ててられた第2脳筋殿下…
(あぁ!!)
まさかまさか!顔面を狙うとは!?
(えぇーーー!?何あの脚さばき!)
(右腕が一瞬だけ消えたんですけど?)
(おぅ……一瞬じゃねぇか…)
(はい。お疲れ様でした~…。)
ってコレ上に報告するの、俺?え?嫌なんだけど?絶対何で止められなかったのか怒られるじゃん?
お前報告上げて?って目で同僚と擦り付け合っていたら、いつの間にか例の令嬢は消えていた……。
呆然としていたら同僚も消えていた……。
はい。報告は俺決定です。
後日、王太子殿下に報告したら爆笑されました。
「弟のアゴは無事だったかい?」
と、聞かれたので「?……はい」と答えると、
「上手くなった」と、また笑われました。
何があったのか、聞く前に部屋から追い出されたのですが、第2王子殿下に聞いたら怒られそうで、でも聞かないとモヤモヤする。
あ"あ"ぁ~~モヤモヤする!!
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