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第六章 雨に濡れた髪
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俺は人で溢れた小町通りを逆行して、鎌倉駅へと戻っていた。そして人混みを掻き分け進むことしばらく、鎌倉駅のホームが見えてくる。駅前もまた旅行ツアー客やら髪色の激しい外国人たちで溢れかえっていた。
と、その中に。
「今更なにそわそわしてんだか」
めかし込んだ蘭子が、まわりをキョロキョロしながら落ち着かない様子で佇んでいた。気分はすっかりデート気分なのか、緊張具合が遠くにいる俺にすら伝わってくる。
「大吾、デートの場所は龍之介さまに言わないでね。あんたも絶対ついてきちゃダメだからね。いい? 約束よ!」と、今朝方そんなことを言ってきた蘭子の言葉を思い出す。だったら俺に言うなって、あいつは妙にバカ正直だ。
俺は蘭子にバレないよう、小町通りを出てすぐのアーチ付近に隠れその様子を伺うことに。確かデートの約束は十三時。もうすぐ蘭子みたいな変わり者を好いた男が現れる頃合いだろう。
こうしていることに、特に深い意味はなかった。ただ小さい頃から蘭子を見てきた身として、その成長ぶりくらい見届けてやろうかという老婆心から。あとはそうだ、ついで。賢一の野郎と話すのもこれで最後になるだろうから、そのお別れついでだ。
賢一は、相変わらずの能天気野郎であった。ただそうだな、賢一とは昔からそういう奴だった。
一緒に歩いているのに一人だけ迷子になっていて、慌てて探し回れば駄菓子屋の婆さんと仲良く茶菓子を食っているような、とにかく掴み所のない男だった。
涼子はそんなにも危なっかしい賢一のことを、いつも口うるさく注意していた。だが、それもそのうちなくなった。多分、賢一にはなにを言っても無駄だと悟ったのだろう。
そしてある日、こんなことを言い出したのだ。
「もう、賢一には私がついてないとダメね」
俺は大ちゃんで、あいつは賢一。その呼び方からしても、涼子があいつのことをどういう感情で見ているのか、子供ながらにも分かってしまっていた。
昔は、賢一みたいな甲斐性もない奴のどこに惚れたんだって納得がいかなかったが、今ではそれもない。
賢一は、とにかく優しい。邪気なんてものがまるでない、優しさの塊のような男だ。あいつは人だとかあやかしだとか、そういう差別を一切しない。そんな賢一の優しさに、涼子は次第に惹かれていったのだろう。
しっかり者の涼子と、危なっかしい賢一。実にお似合いのカップル。そんなことは俺が一番理解している。だったらもういい。俺は幼馴染として、あいつらの結婚を祝福するだけ。
問題は、蘭子だ。
涼子の結婚で一番気に病んでいるのは、多分あいつだ。表情には出さないが、きっとその心は泣いているのだろう。昔から蘭子のことを見てきた俺だから、そのことは我が事がのように理解できた。なにより、あいつは涼子と賢一のことが大好きだったからな。
今回のデートにしたってそうだ。あの蘭子が、単に相手の男が気になるからという理由だけでこんなことするわけない。
あいつはきっと、二人に見せたかったのだろう。もう自分は大丈夫だって、二人がいなくてもちゃんとやっていけるからって。
だから、俺たちを頼ってきたのだろう。
「ったく……世話が焼ける」
この俺が誰かのためになにかしてやるなんて、マジであり得ない事態だ。これも全ては龍之介のせい。あいつが来てからというもの、俺の日常は180度がらりと変わってしまった。
本当に、面倒だ。人のためになにかするってのは、これが結構骨が折れる。ただ、それで喜んでいる奴を見ているのは、存外悪い気もしなかった。そう意味では、賢一が言ったように俺は変わってしまったのかもしれない。
「(なあ桐枝、あんたが言いたかったのは、こういうことなのか?)」
今では、その返事も聞けない。だが今度墓参りに行くときは、伝えてみようと思った。なんだったら今日あたりにも。デートへ向かう蘭子を見届けたあとにも、龍之介でも連れて行ってみようか。あいつは嫌がるかもしれないが、そこは店長命令というやつだ。
それに、桐枝の忘れ形見を持っているのは龍之介だしな。その報告も兼ねて、連れて行ってやるのだ。そして、言ってやるのだ。
いろいろと遠回りしちまったが、今では龍之介と二人、なんだかんだ上手くやってるぜって。
そんな、報告を、この後にも──
「うわっ、あいつマジで来てるし」
その声は、俺のすぐ真横から聞こえてきた。見ると、高校生くらいの数人の男女であった。そう言えば、高校はもう冬休みに入っているのか。どうりで今日はガキが多いわけだ。
にしても、遅い。時間は既に13時を過ぎているのに、蘭子は相変わらず一人待ちぼうけ状態だ。デートの約束すら守れないとは、男の風上におけない。これが少女漫画だったら、別の男に掻っ攫われてもおかしくない場面だが。
「てか、あいつなんかいつもと違くね?」
「うわっ、マジだ。あれじゃん。あいつ、本気で武史とデートできるとか思ってたんじゃない?」
「うっわー武史、お前最低だな。いくら遊びだったにしてもやり過ぎだろー」
「あーあ、今回の賭けは武史の一人勝ちかー」
ガキたちのよく分からない会話が、やけに耳障りであった。
「やっぱイケメンずるいわ、モテない女キラーかよ。武史、お前これで何人目なの?」
そう言ったチャラチャラした男の一人が、半笑いで後ろに立つ男へ話しかける。どうやら、そいつがその武史というやつらしい。黒髪のマッシュルームカット頭の、いかにも好青年っぽい男であった。
「さあ、忘れた」
武史というやつは、あっさりとそう言い捨てた。その瞬間、周りにいた男女たちがゲラゲラと下品な笑い声を上げる。
そして、俺は聞いてしまう。
「で、武史どうすんのー? 蘭子のやつ、本気にしてるっぽいけどー。なんだったら、あたしがうまく誤魔化してこよっかー?」
?
「いや、いい。俺が行ってくるわ」
「うわっ、調子いいなお前! 昨日は散々『だりぃ』とか言ってたくせに」
「まさかあんた蘭子に惚れたとか。彼女いるくせに、ウケる」
???
「遊ぶくらいなら別にいいだろ。それにもう今の彼女は興味ないし。しばらくは蘭子で我慢するわ。じゃ、今夜にでも事後報告するわ」
それだけを言い残し、武史という男が蘭子へ向かって歩き出していく。
頭が、激しく倒錯する。
蘭子って、誰だ? 少なくとも、俺の知る蘭子ではないだろう。俺は切にそれだけを願う。だが、そんなにも都合良く物事は進まない。その武史ってやつの足は、真っ直ぐと蘭子に向かっていた。
だったら、まさか──
「(……蘭子は、騙されていた?)」
ようやくその結論にたどり着いた時、ふと、蘭子の幼き頃の姿が脳裏をかけ過ぎっていた。
それは、蘭子が生まれて間もない頃の記憶だ。蘭子をあやす涼子が、「そっと、優しくね」と微笑みながら蘭子の小さな体を渡してくる。当時まだ小学生だった俺は、その壊れそうなくらい柔らかい蘭子の体を、言われた通り優しく抱いてみた。その途端、蘭子がいきなり泣き出した。すると雨が降り出してきた。
「ふふ、大ちゃんの顔が怖いって」
涼子がそう言って、泣き喚く蘭子のマシュマロのようなほっぺたを指でつついた。
「大丈夫よ、蘭ちゃん。顔の怖いお兄ちゃんだけど、本当はすごく優しいのよ。だから、泣かないで」
そんなこと言っても分かるわけねえと思ったが、驚いたことに、蘭子はぴたっと泣き止んでいた。
そして、そのビー玉のような丸い目で、俺を見つめてくる。
「だぁー、だぁー」
必死に声を上げて、手を上げている。
「ほら、大ちゃん。仲直りの握手をしましょうって、蘭ちゃんが言ってるわよ」
んなわけない。頭では分かっている。そんなことないって、当時の俺ですらちゃんと理解していた。でも、なにか、胸に愛おしいものが澄み渡っていく気がして、俺はその小さな手を握ってみたのだ。すると、蘭子がにこっと笑ってくれた。
「ふふふ。蘭ちゃんと仲良くしてね、大ちゃん」
その瞬間だったかもしれない。俺は、生まれて初めて命というものを知った。そして命に、人もあやかしも、そんなものは関係ないのだと知った。だから優しくしようと思った。こいつが大きくなるまで、俺が見守ってあげようと思った。
なにがあっても、ずっと俺が蘭子の兄であろうって。
俺は、雨の上がった晴天の空に誓ったんだ──
俺は人で溢れた小町通りを逆行して、鎌倉駅へと戻っていた。そして人混みを掻き分け進むことしばらく、鎌倉駅のホームが見えてくる。駅前もまた旅行ツアー客やら髪色の激しい外国人たちで溢れかえっていた。
と、その中に。
「今更なにそわそわしてんだか」
めかし込んだ蘭子が、まわりをキョロキョロしながら落ち着かない様子で佇んでいた。気分はすっかりデート気分なのか、緊張具合が遠くにいる俺にすら伝わってくる。
「大吾、デートの場所は龍之介さまに言わないでね。あんたも絶対ついてきちゃダメだからね。いい? 約束よ!」と、今朝方そんなことを言ってきた蘭子の言葉を思い出す。だったら俺に言うなって、あいつは妙にバカ正直だ。
俺は蘭子にバレないよう、小町通りを出てすぐのアーチ付近に隠れその様子を伺うことに。確かデートの約束は十三時。もうすぐ蘭子みたいな変わり者を好いた男が現れる頃合いだろう。
こうしていることに、特に深い意味はなかった。ただ小さい頃から蘭子を見てきた身として、その成長ぶりくらい見届けてやろうかという老婆心から。あとはそうだ、ついで。賢一の野郎と話すのもこれで最後になるだろうから、そのお別れついでだ。
賢一は、相変わらずの能天気野郎であった。ただそうだな、賢一とは昔からそういう奴だった。
一緒に歩いているのに一人だけ迷子になっていて、慌てて探し回れば駄菓子屋の婆さんと仲良く茶菓子を食っているような、とにかく掴み所のない男だった。
涼子はそんなにも危なっかしい賢一のことを、いつも口うるさく注意していた。だが、それもそのうちなくなった。多分、賢一にはなにを言っても無駄だと悟ったのだろう。
そしてある日、こんなことを言い出したのだ。
「もう、賢一には私がついてないとダメね」
俺は大ちゃんで、あいつは賢一。その呼び方からしても、涼子があいつのことをどういう感情で見ているのか、子供ながらにも分かってしまっていた。
昔は、賢一みたいな甲斐性もない奴のどこに惚れたんだって納得がいかなかったが、今ではそれもない。
賢一は、とにかく優しい。邪気なんてものがまるでない、優しさの塊のような男だ。あいつは人だとかあやかしだとか、そういう差別を一切しない。そんな賢一の優しさに、涼子は次第に惹かれていったのだろう。
しっかり者の涼子と、危なっかしい賢一。実にお似合いのカップル。そんなことは俺が一番理解している。だったらもういい。俺は幼馴染として、あいつらの結婚を祝福するだけ。
問題は、蘭子だ。
涼子の結婚で一番気に病んでいるのは、多分あいつだ。表情には出さないが、きっとその心は泣いているのだろう。昔から蘭子のことを見てきた俺だから、そのことは我が事がのように理解できた。なにより、あいつは涼子と賢一のことが大好きだったからな。
今回のデートにしたってそうだ。あの蘭子が、単に相手の男が気になるからという理由だけでこんなことするわけない。
あいつはきっと、二人に見せたかったのだろう。もう自分は大丈夫だって、二人がいなくてもちゃんとやっていけるからって。
だから、俺たちを頼ってきたのだろう。
「ったく……世話が焼ける」
この俺が誰かのためになにかしてやるなんて、マジであり得ない事態だ。これも全ては龍之介のせい。あいつが来てからというもの、俺の日常は180度がらりと変わってしまった。
本当に、面倒だ。人のためになにかするってのは、これが結構骨が折れる。ただ、それで喜んでいる奴を見ているのは、存外悪い気もしなかった。そう意味では、賢一が言ったように俺は変わってしまったのかもしれない。
「(なあ桐枝、あんたが言いたかったのは、こういうことなのか?)」
今では、その返事も聞けない。だが今度墓参りに行くときは、伝えてみようと思った。なんだったら今日あたりにも。デートへ向かう蘭子を見届けたあとにも、龍之介でも連れて行ってみようか。あいつは嫌がるかもしれないが、そこは店長命令というやつだ。
それに、桐枝の忘れ形見を持っているのは龍之介だしな。その報告も兼ねて、連れて行ってやるのだ。そして、言ってやるのだ。
いろいろと遠回りしちまったが、今では龍之介と二人、なんだかんだ上手くやってるぜって。
そんな、報告を、この後にも──
「うわっ、あいつマジで来てるし」
その声は、俺のすぐ真横から聞こえてきた。見ると、高校生くらいの数人の男女であった。そう言えば、高校はもう冬休みに入っているのか。どうりで今日はガキが多いわけだ。
にしても、遅い。時間は既に13時を過ぎているのに、蘭子は相変わらず一人待ちぼうけ状態だ。デートの約束すら守れないとは、男の風上におけない。これが少女漫画だったら、別の男に掻っ攫われてもおかしくない場面だが。
「てか、あいつなんかいつもと違くね?」
「うわっ、マジだ。あれじゃん。あいつ、本気で武史とデートできるとか思ってたんじゃない?」
「うっわー武史、お前最低だな。いくら遊びだったにしてもやり過ぎだろー」
「あーあ、今回の賭けは武史の一人勝ちかー」
ガキたちのよく分からない会話が、やけに耳障りであった。
「やっぱイケメンずるいわ、モテない女キラーかよ。武史、お前これで何人目なの?」
そう言ったチャラチャラした男の一人が、半笑いで後ろに立つ男へ話しかける。どうやら、そいつがその武史というやつらしい。黒髪のマッシュルームカット頭の、いかにも好青年っぽい男であった。
「さあ、忘れた」
武史というやつは、あっさりとそう言い捨てた。その瞬間、周りにいた男女たちがゲラゲラと下品な笑い声を上げる。
そして、俺は聞いてしまう。
「で、武史どうすんのー? 蘭子のやつ、本気にしてるっぽいけどー。なんだったら、あたしがうまく誤魔化してこよっかー?」
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「いや、いい。俺が行ってくるわ」
「うわっ、調子いいなお前! 昨日は散々『だりぃ』とか言ってたくせに」
「まさかあんた蘭子に惚れたとか。彼女いるくせに、ウケる」
???
「遊ぶくらいなら別にいいだろ。それにもう今の彼女は興味ないし。しばらくは蘭子で我慢するわ。じゃ、今夜にでも事後報告するわ」
それだけを言い残し、武史という男が蘭子へ向かって歩き出していく。
頭が、激しく倒錯する。
蘭子って、誰だ? 少なくとも、俺の知る蘭子ではないだろう。俺は切にそれだけを願う。だが、そんなにも都合良く物事は進まない。その武史ってやつの足は、真っ直ぐと蘭子に向かっていた。
だったら、まさか──
「(……蘭子は、騙されていた?)」
ようやくその結論にたどり着いた時、ふと、蘭子の幼き頃の姿が脳裏をかけ過ぎっていた。
それは、蘭子が生まれて間もない頃の記憶だ。蘭子をあやす涼子が、「そっと、優しくね」と微笑みながら蘭子の小さな体を渡してくる。当時まだ小学生だった俺は、その壊れそうなくらい柔らかい蘭子の体を、言われた通り優しく抱いてみた。その途端、蘭子がいきなり泣き出した。すると雨が降り出してきた。
「ふふ、大ちゃんの顔が怖いって」
涼子がそう言って、泣き喚く蘭子のマシュマロのようなほっぺたを指でつついた。
「大丈夫よ、蘭ちゃん。顔の怖いお兄ちゃんだけど、本当はすごく優しいのよ。だから、泣かないで」
そんなこと言っても分かるわけねえと思ったが、驚いたことに、蘭子はぴたっと泣き止んでいた。
そして、そのビー玉のような丸い目で、俺を見つめてくる。
「だぁー、だぁー」
必死に声を上げて、手を上げている。
「ほら、大ちゃん。仲直りの握手をしましょうって、蘭ちゃんが言ってるわよ」
んなわけない。頭では分かっている。そんなことないって、当時の俺ですらちゃんと理解していた。でも、なにか、胸に愛おしいものが澄み渡っていく気がして、俺はその小さな手を握ってみたのだ。すると、蘭子がにこっと笑ってくれた。
「ふふふ。蘭ちゃんと仲良くしてね、大ちゃん」
その瞬間だったかもしれない。俺は、生まれて初めて命というものを知った。そして命に、人もあやかしも、そんなものは関係ないのだと知った。だから優しくしようと思った。こいつが大きくなるまで、俺が見守ってあげようと思った。
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